日別アーカイブ: 2011年12月20日

活断層と居住適地問題

12月19日の朝日新聞朝刊は『活断層真上に225学校』と報じました。
また『専門家が全国調査 200メートル以内は1005校』というのが第二の見出しです。
1980年に東大が『日本の活断層』という本を出版してから30年以上経っているわけですが、地上の構造物、公共施設の設置について活断層の存在には何の配慮もしてこなかったわけです。
もっとも、今さら言うことでもありませんが、そもそも活断層だらけの日本の国において、町全体が活断層というところすらあります。
長野盆地や松本盆地に沿って断層が走っていますが、平坦な盆地は人の居住に適していますし、山と山に囲まれた地域ではそもそもそれ以外にどこに住めばよいのかということになります。実際問題、長野は動いた断層を削って、県庁などの主要施設がすでに建っています。
活断層による地震は、海溝型と異なり非常に長い年月の中で起こります。つまり、海溝型であれば「数百年に一度起こっている」という言い方ができますが、活断層の方は有体に言えば「いつ起こるかわからない」ということです。
もっと言えば、断層が動いたから地震が起こったのか、地震が起こったから断層ができたのか、という根本問題もあります。
阪神淡路の時に一番揺れた部分と断層が切れた部分と異なっていたという事実は、地震の結果として断層ができたという証拠にもなり得ます。この点は専門家に議論をお任せしなければなりませんが。
1995年に阪神淡路大震災を経験した今、可能な限り活断層付近に住まない努力は必要でしょう。また、今回起こった液状化の問題は、木造建築の脆弱性を露わにしました。
ただでさえ居住適地の乏しい日本列島においてはきわめて頭の痛い問題です。
今後ますます進む高齢化を考えると、医療や介護体制の整備状況とも考えあわせて、今後はいよいよ居住地の選択まで迫られることになるのかもしれません。