月別アーカイブ: 11月 2011

ホット・ピンスポット対策を

文部科学省が航空機モニタリングの測定結果を出しました。
文部科学省の説明にはこう書かれています。
『本航空機モニタリングの結果は、ヘリコプターに搭載した高感度の放射線量率検査器を用いて、飛行中の航空機直下の地上の地点を中心とした、飛行高度の概ね2倍の直径の円の範囲に蓄積した放射性物質から放出されるガンマ線を測定し、その結果から、地上において専用のソフトウェアを使用し、各地点の空間線量率を算出しています。』
写真を載せますが、9月18日の値で換算したものだそうです。

航空機モニタリングは3月の事故直後、米軍の測定したものを見るしかありませんでした。
隠していたのか、やる能力がなかったのか、やる気がなかったのか、わかりませんが、国はそういうことを一切やらず(やっていたのに知らせず?)、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の活用もせず、放射性物質の拡散状況の情報が全く伝わりませんでした。
日本国内で起こっていることを知るのに米軍からの情報しかないというのは悪い冗談としか思えません。
ようやく文科省が作成した地図を手にしてみて、あの3月下旬の馬鹿にされたような日々をしみじみ思い出しました。
さて、この地図によれば、毎時0.23~0.5マイクロシーベルトの地域は、千葉県では流山市の9割、柏市の7割、松戸市・我孫子市の4割、野田市・白井市・印西市の一部といった状況です。
茨城県を見ると、牛久市・阿見町で9割、守谷市で6割、取手市で5割、土浦市・稲敷市・龍ヶ崎市・美浦村の一部といったところです。
これらがいわゆるホット・スポットと呼ばれている地域で、私の住む松戸市北部もすっぽりと入ってしまっています。
では、これら以外の地域は放射性物質はないのかというとそういうことではありません。
歩道がたるんでいて、雨のたびに水や土が溜まるところは放射性物質が集積しますので、地表に近い5センチメートルでは毎時1マイクロシーベルトの測定値が出ることもまれではありません。
そうした『ホット・ピンスポット』問題も今後相当数持ち上がってくるでしょう。これからの長い時間を考えると安価で高性能な除染剤の需要が高まる一方だと思われます。

カイロからの絵葉書

エジプトへ出張した友人から絵葉書が2通届きました。
2通とも10月21日の日付です。つまり1か月もかかって日本に届いたのです。随分かかったものです。
でも、全く同じ文面が2通。何かの手違いかと思いました。
ところが、文面を読んで理解できました。ちょっと紹介してみます。

『この国の大きな特徴としてモノに定価がなくすべて交渉、(略)空港について早速タクシーと交渉。結局、市内まで15ドルになったが、相手の最初の言い値は100ドル。』
『交通渋滞がひどいのは道が狭い上に信号機が一切無く交差点で人と車がカオス状に入り混じっている。お人よしでは生きてゆけない国で久しぶりに中東での昔仕事を思い出した』

この友人は、20代のころ中東でエレベーターを売っていた商社マンでした。
そして、なぜ葉書が2通だったのかです。

『郵便局員ですら真面目に、あるいは正直に、この葉書が日本に着く確率が50%ぐらいと明言(?)したので同じ文面でもう一通出します』

まったく世界は広いですね。日本特殊論もわかるような気がします。
絵葉書の写真を2枚ともアップしておきます。

パワーポイントは難しい

県政報告のためにいくつかのテーマでパワーポイントのファイルをつくりました。
11月25日の読売新聞の世論調査は非常に興味深かったのでなかなかの材料になりました。
この世論調査をもとに、視覚に訴える円グラフなどを入れながら作成してみましたが、今ひとつ面白さに欠けます。
結論は何か?そして、その結論へのもって行き方がどうもうまくない感じです。
そこで次に、放射性物質問題をテーマにしたものをつくってみました。
しかし、これはどうしても『レベル7という最悪の事態から目をそらしてはならない。直視しなければならない』といったシリアスすぎる内容です。これも少し違う感じがします。
そこで、さらに年金をテーマにしたものも作成しました。
これはそこそこ興味を持ってもらえそうですが、やっているうちに何が良くて何がダメか自分ではわからなくなってしまいました。
夜に数十人の方に、この『年金を考える』をプレゼンしてみました。完成度が低い割にはまあまあ好意的な反応でした。
してみると、パワーポイントが難しいのではなく、そもそも問題意識や結論へ向けての論理が練れていないことに嫌でも気付かされました。パワーポイントというソフトは、一筋縄にはいかない、実は心底恐るべきツールなのかもしれないと思った次第です。

放射線量調査 - 角度7°の差

23日に時間切れで回れなかった県立関宿城博物館の裏庭、我孫子の「水の館」、手賀の丘公園をまわりました。
さらに、前回は暗くて今一つ納得できなかった流山市総合運動公園も2か所だけ計測しました。
放射線量を測定してみて言えることは二つです。
「関宿城は問題なし」「そのほかはやはり高い」ということです。
松戸市幸田から、車中で測定器を作動させてそのまま走っていくと、谷地の低地部分に来ると放射線量があがり、高台部分に来ると下がります。流山総合運動公園に近づくと上がり、以前の松戸野田有料道路周辺では下がる、そんな感じです。
そして、どういうところであっても雨水で土が流されて溜まったところや側溝の集水桝が大体高い値です。
こうした低線量の放射性物質が人体にどういう影響を与えるかは本当のところ誰にもわかりません。
問題があるのかもしれませんし、問題がないのかもしれません。
また、30年ほどもたてば何か人体への影響が出るのか、何年経っても影響が判別できないのかも分かりません。
わからないことをいつまで議論しても仕方がありませんし、何も分からない行政の担当者に尋ねても何もわかりません。
したがって、わからないのでなるべく放射性物質に近づかないようにしようというわけです。
福島第一原発から見て、関宿城と流山総合運動公園はわずか7°の角度の違いです。緯度でみた距離の差は65キロメートルほどです。
この7°の間のどこかに放射性物質の流れる筋のようなものがあることを思うと実に複雑な思いに陥るのです。

行政の保有財産の活用は?

私自身、行政に対して不必要な県有資産は売却すべきだと主張しています。
使用しなくなった県職員住宅などはまさに売却対象であって、私が言うまでもなく千葉県も積極的に売る方針を立てています。
昨今の千葉県財政の厳しさを考えれば、ある意味議論の余地のない結論であり、この方針について議会で反対を表明する人を見かけたことはありません。
しかし、別の角度から考えると本当にそうなのかという議論が実はあります。
それは、活用されていない県有地があるとして、この土地を保有するコストが十分に低かったとしたら持っていてもいいではないか、という理屈です。
かつて、旭化成の社長だった宮崎さんがそういう考え方から、高度成長期に現金ではなく土地を保有していたことがあります。その結果、旭化成は研究開発費の捻出に土地の売却益をあてていたり、同社の財務体質は常に優良だったという話を聞いたことがあります。
地価が右肩上がりでなくなった今日では許されない企業行動なのかもしれませんが、仮に土地の保有コストが十分低ければありうることです。
そして、保有土地がいつでも売れる財産であれば、将来世代のために売らずに残しておくべきという意見があってもよいでしょう。
将来世代のためにということまでいかなくても、地価の低迷するときにあわてて売るのはいかがなものか、という意見はあります。
千葉県にせよ、市にせよ国にせよ、資産を売却するときには「ちょっと待てよ」ともう一度立ち止まって考えることが必要のようです。