月別アーカイブ: 5月 2012

防災・減災ニューディール政策の財源

日付は忘れてしまいましたが、少し前の日経新聞の経済教室『巨大地震と法制(下)』として、神戸大学の井上典之教授が指摘していたことがどうしても脳裏からぬぐえません。
それは、『「想定外」というのは、科学的に想定していなかったのではなく、コスト的に無視していた状況だ』(趣意)という主張です。私も全くその通りだと思います。
私たちがコストの問題を考えるときに、大前提としておかなければならないことは、東日本大震災によって、わが国の地震災害が終わったわけではないという当たり前の事実です。
私たちが、好むと好まざるとにかかわらず、これからもずっと、地震は繰り返し起こるし、津波は繰り返しくるということです。
そして、最も可能性として高いのが、太平洋沿岸部の地震や津波であり、その発生確率は30年以内で88%ですから、いつ来るかが分からないだけです。
もし仮にそれが、東海、東南海、南海という三連動だった場合、死者2万から3万人、経済損失は80兆円を超えると推定されています。人命の尊さは言うまでもありませんが、経済損失も80兆円となると、阪神淡路の8倍ですから、日本経済が破たんの危機にさらされます。
相手は自然界です。財政が苦しいとか、時間が足りないといった人間社会の都合でどうにかなるものではありません。
これから間違いなくやってくる地震や津波に対して、いかに人々の命を守るか、いかに財産を守るか、いかに日本経済を守るかという対策を講じていくのが政治の使命だと思います。
それが、『防災・減災ニューディール政策』というわけです。
延喜元年(901年)に成立した史書「日本三大実録」には貞観地震(869年7月)とその18年後の仁和地震(887年8月)のことが記述されています。
貞観地震は『5月26日20時、陸奥国で大地震が起きた。(略)雷鳴のような海鳴りが聞こえて潮が湧き上がり』(Wikipediaから。日付のズレは暦の違いによります)
とありますように東北の地震と津波です。
仁和地震は、五畿七道諸国を揺るがす大地震と記載され、現在では震源が南海道沖と推定されています。まさに東北のあとに関西が襲われた形です。
阪神淡路から東日本大震災の間隔も16年ですからこの符号も考えさせられるものがあります。
財源問題は、そうした現時点の状況をすべて考えあわせたうえで検討しなければなりませんし、コスト的な想定外は絶対に避けたいと思うのです。

気になる活褶曲

私たちの住む千葉県において、最も注意しなければならない地震関連の災害は、『津波』と『液状化』だと主張してきました。
それは、私が県議会に初当選させていただいて日の浅いころに、茨城大学名誉教授の楡井久先生から受けたレクチャーから導き出された結論でした。
鴨川低地断層については、専門家の間でも活断層なのかどうか意見が分かれていますし、現在までのボーリング結果では活断層ではなさそうな気がします。
さて、問題は、『活断層』ではなく『活褶曲』です。(「週刊東洋経済」2010年11月13日号に鎌田浩毅京都大学教授が指摘していました)
2004年10月に起こった新潟県中越地震において見られた活褶曲は、まさに台地は生きていることを再確認させられました。
太平洋プレートやフィリピン海プレート等によって絶えず巨大な力が加えられている日本列島ですから、新潟中越地震のような褶曲によって地震も起こります。
すると、仮に千葉県に活断層がなかったとしても直下型地震は起こることになります。つまり、結局のところ日本に住む限り地震と共生するしかなく、止めることができない以上、減災に知恵を絞るしかないということになります。
むしろ、直下型地震の確率が低いことを素直に幸いととらえつつも、それを油断しない心構えが必要です。
今後も、自助・共助・公助に油断なく努めていかなければならないと思います。

国民年金の大いなる誤解

今朝の日経新聞に『国民年金の不払い40%超え 国の徴収体制不備で拍車』という検証記事が出ていました。
特に、あれほど年金未納問題を批判材料にしていた民主党が政権を取ったのちには未納対策を何もしていないという指摘はまさにその通りだと思います。
しかしながら、徴収主体を市区町村から社保庁に移行してから未納率が増加したという指摘は少し単純な切り口かと思います。
と言うのも、この日経記事には未納率のグラフが掲載されています。
そのグラフによれば、若者の納付猶予制度を導入した2005年から2011年まで一直線に増えているものの、徴収主体が社保庁に移行した2002年から2005年までの間は未納率は下がっているのですから。
むしろ私は、2005年から一直線に未納率が増えた原因は、民主党の「年金は破綻する」というネガティブキャンペーンの浸透ではないかと見ています。
だからこそ、多段階免除制度を導入した2006年においても未納率が一段と増えているのではないかと思うのです。
本年10月には(多分)年金確保支援法が施行されます。
本来ならこれによって、未納率が減るか少なくとも未納率の伸びは鈍化するはずです。また、鈍化させなければならないのです。
そのためには、免除申請の情報、多段階免除申請の情報、さらには若者の猶予制度や年金確保支援法の情報をどんどん出して、年金制度を広くアッピールしなければなりません。
自分の言ったこと、自分たちの主張がブーメランのようにわが身に帰ってくるというのはいつもの民主党のパターンではありますが、ここまで年金制度の不信感を根付かせてしまった民主党の当然の義務として、年金制度の本当の姿を国民に示すべきだと思うのです。

松戸市のクリーンデー

朝8時開催予定の千葉市内での会議が中止になったお蔭で、松戸市クリーンデーで参加できました。
昨日も朝8時に会議があり、小金小学校の運動会に参加できず、松戸市と流山市合同の水防訓練にも参加できず、大変申し訳なく思っていました。(先週は、末っ子の運動会でしたが、ホルムアルデヒドによる断水問題が惹起してそれにも顔を出せませんでした)
どうも公の集まりや参加すべき大会などになかなか参加できず、不義理を重ねてしまいます。
思いとしては、わざわざお声をかけていただいているのだからすべて参加したいと思っているのです。
ところが、現実には参加すべき会合が重なり重なり重なってしまいます。
昨日の夜は、千葉県社会保険労務士会の会合と千葉県行政書士会の会合が重なっていたといいますし、今年年頭の私どもの「新春の集い」は、これまた千葉県行政書士会の賀詞交歓会と重なっていました。
そんなあれこれを考えながら、東漸寺とわが家周辺の草むしりをしました。
私は土地を持ってはいませんが、草むしりをしながら、つくづく自分は土地を所有する資格はないなあと実感しました。
草は生え放題、本当に申し訳ありません。

驚きの原子炉水位

今朝の日経新聞の『福島原発1号機容器内水位40センチ』は驚きでした。
目立たない1段の記事でしたがこう書かれていました。
『原子力安全基盤機構は22日までに、福島第1原子力発電所1号機の格納容器内の水位について、東京電力が推定した1.9メートルより低い40センチ程度とする解析結果をまとめた。』
さらに、同記事には『2号機は内視鏡測定で、格納容器内の水位が60センチにとどまることが判明している』とも書かれているので再度びっくりです。
2号機の60センチが確定しているのなら、1号機の40センチは十分あり得ることです。おそらく間違いない解析結果でしょう。
その一方で、同記事は『東電は同日の記者会見で「容器内の温度は上がっておらず、現状でも燃料は水につかって冷やされていると判断している」と、安定した状態を保っているとの見方を示した。』とも報じています。
もしこの両者の意見が正しいとするならば、容器内燃料は40センチ以下の高さということになります。つまり、6メートルの長さだった燃料がメルトダウンによって40センチ以下の高さにおさまっているということです。
ところが、記事にはさらにこう書いてあります。
『1号機は昨年3月の事故で核燃料が格納容器に溶け落ちた。水を注入して冷やしているが水位は上がらず、格納容器が破損し汚染水が漏れているとみられる。』
以上のことから2つの可能性があることになります。
一つは、核燃料が40センチの高さにおさまっていること。もしそうであるなら、東電の言うとおり『燃料は水につかって冷やされている』ので、放射性物質の拡散はある程度おさまることが見込めます。
もう一つは、水位は40センチでも核燃料が水につかっていないかもしれないということです。
この場合は、常時水の注入をしているにもかかわらず『水位は上がらず、格納容器が破損し汚染水が漏れている』ということになります。
記事には二つのことが書かれていますので、どちらが正しいのかの判別はつきません。ただ、もうこれ以上に驚くような事態は本当に無しにしてほしいと切に思います。