月別アーカイブ: 10月 2012

日銀の追加緩和策

公明新聞のコラム『経済ウォーキング』は、ジャーナリストの尾林賢治氏の連載ですが、今日のテーマ『日銀の追加緩和策』は、時期と言い内容と言いさすがプロの仕事だと思いました。
数日前の一般紙の1段記事で、日銀の白川総裁が「2014年度まで1%の物価上昇」という目標達成が困難になったという記事を切り抜いていました。しかし、その記事には、達成困難だからこれをやるということは出ていませんでした。
もしかすると記者会見の場ではこういう対策を打つという発言があったのかもしれませんが、少なくとも読者には伝わっていません。しかし、本当に知りたいのはその部分なのです。
その意味でも今日の尾林氏のコラムは貴重でした。
『(国債などの資産買入れ基金の)積み増しなどを軸とする追加金融緩和策を決めると予想されている』
『次の一手として日銀による外債購入案が浮上している』といった内容がコラムに書かれていました。
経済の世界はまだまだ分からないことばかりです。実需に関係なく単純に日銀券を増やせばよいという主張もあります。これが仮に正しいものだとしても、たとえば資産買入れの仕方にしても一気に100兆円にする、あるいは10兆円ずつ10回に分けてじわじわ積み増していくといった手法の違いによっても政策効果はガラッと変わってしまうのだと思います。
さらに、そのとき正しかった手法も常に正しいかどうかは誰にもわからないというのが真実だと思います。
日銀はじわじわ資産買い取り基金を積み増す方向のようですし、外債購入については検討段階のようです。じわじわ手法は、一見穏便な策のように見えますが、意地悪を言えば、効果が出ないうちに積み増しすぎて、一気に潮目が変わるということも考えられます。
どういう結果になるのかは誰にもわからないのですが、「こういう事象に対してこう考えた、だからこういう対策をした結果こうなった」という説明責任だけはしっかりと果していただきたいと思います。

「いけ」+「しゃあしゃあ」

将棋を指す人ならご存知だと思いますが、王将が詰みになる前に「もう勝てない」と分かった時には「投了」をします。
この「投了」にも形があって、上手な人は先まで読み切っていますので早めに投了しますが、私のようなへぼは手が読めないのでひどい形になって初めて投了となります。
将棋は囲碁と違って、負けた方は最後の形がぼろぼろになっているのが普通ですから、そういう見苦しい形になる前に負けを認めるわけです。
昨日の民主・自民・公明3党の党首会談は非常に残念な結果でした。
野田総理は「環境が整えば解散する」のだと言います。では、その環境が整うとはどういう状態かといえば、(1)特例公債法案の早期成立(2)選挙制度改革の実現(3)社会保障制度改革国民会議の早期設置だというのです。
朝日新聞の社説では『要求するばかりで相手の求めにはゼロ回答では、話し合いは成り立たない。』『「0増5減」法案を自民党が提案しているのに、あれこれ理由をつけて審議を拒んできたのは、ほかならぬ民主党ではないか』とばっさり切り捨てています。
広辞苑によれば、「しゃあしゃあ」とは『羞恥心がなく言動があつかましいさま』とあります。
野田総理の言動は「しゃあしゃあ」に、さらに強調の接頭語「いけ」をつけたとしても到底及ばないレベルように私には思えます。
野田内閣は、今回の組閣において国会召集前に早くも法務大臣が辞任へ追い込まれるようなぼろぼろなありさまです。
誰の目からも「投了」すべきなのです。ところがその機が分からず、最後の最後の詰みまでいかないと「もう終わっている」ことが分からないのですね。

旭市の復旧・復興

今日は旭市の復旧復興状況の視察にいきました。
大震災・津波の際に、海から来た津波と海へ戻る津波がちょうどぶつかって、まっすぐ上に持ち上げられてしまった日の出橋という橋があります。
震災直後、この橋はまっすぐ上に持ち上げられて陸側の車道に乗り上げていました。その写真と今回それをもとの位置に戻した写真を掲載します。
旭市飯岡のあの津波に被災した町は大体6割から7割が復旧した印象でした。
あの津波直後にがれきに埋もれていた文房具屋さんはこうなったのか!
あの時、基礎からそっくりもって行かれたあの家は無くなって更地になっている!車が逆さに乗り上げていた街路灯が無くなっている!
などなど、あの時の驚くべき光景が思い出されました。
津波はこれで終わりではありません。これからも繰り返し繰り返し町を襲います。
そのときにどうやって命と財産を守るか、3・11の教訓を生かさねばなりません。
津波タワーをつくる、防潮堤をつくる、RCの住宅を建てる、やれるべきことは幾つもあります。
そのうえにスピード感を持つことが大事です。
15人の犠牲を決して無駄にしてはならないとあらためて決意しました。

射撃場の再開

政策、施策というのは基本的にいつもトレード・オフの関係にあります。
何かを前進させれば何かが後退する。万民が諸手を打って賛意を表する政策、施策というものはありえないかもしれないと思います。
千葉県射撃場の再開もそんな施策の一つです。
本来の射撃練習場としてだけではなく、近隣住民の皆さんの雇用の場としても喜ばれていた千葉県射撃場の北側水路敷地境界で環境基準0.01㎎/ℓを超える0.071㎎/ℓの鉛が検出されたのが平成11年11月のことです。
平成13年8月には全面的に閉鎖され、鉛除去が始まりました。
近来、イノシシやシカなどの野生鳥獣による農林水産業への被害が深刻化し、射撃場の必要性は増す一方です。
捕獲に当たる人をどうやって増やすかで全国の自治体は頭を悩ませています。
ところが射撃の練習場所がなく、猟友会の人たちは茨城県の笠間や埼玉県の長瀞まで行かねばなりませんでした。
したがって、千葉県射撃場の再開は悲願であったわけです。
その一方で、場内に残る鉛弾はどうなるのか、それらは水質を汚染させないのか、また射撃による騒音をどうするかが近隣の人たちにとっては大きな問題でした。
このたび、1、鉛弾を撤去しきれていない防音堤は雨水が浸透しないようにコンクリートによる遮水工事を行う。
2、常時、水質をモニターする。
3、防音のために開口部を覆い、エアダクトも音の漏れないものにする。
ということでライフル場のみ再開することになりました。
写真は、100メートルのライフル射撃場で、空が見えている上部に屋根を設置して覆います。
閉鎖されてから10年以上たっていますのでそれなりの荒れ方をしています。
地域住民の理解を得ながら射撃場を再開するのだということを、利用する人にも十分理解していただきたいと思います。

行政刷新会議のお蔭で

最悪だった民主党政権のなかで、唯一評価できるのは内閣府の行政刷新会議の仕事だと思っています。
先ごろ、NHKがテレビ番組の中で復興予算が復興と直接関係のないところで使われているという事例の放映をしました。
この取材ネタも行政刷新会議の『行政事業レビュー』だとのことです。
内閣府のホームページからたどっていくと、「〇平成23年度行政事業レビューの取組関連」というコーナーがあります。
その下に「〇東日本大震災復興関連事業(平成23年度第3次補正予算関連)の精査について」があり、各省庁の各事業の説明があります。そして、それら事業の一つ一つを「整合性」「優先性」「効果」「費用対効果」「国、自治体、事業実施者の役割分担」「計画性」「透明性」などの観点から点検された模様がアップされています。
たとえば、問題となったシーシェパードへの安全対策は、『鯨類捕獲調査安定化推進対策』という事業名です。
問題となった優先度の高さですが、こう説明されています。
『被災した石巻周辺地域は、鯨関連産業が地域の主要産業となっており、当該地域の復興を図る上で、調査捕鯨の安定的な実施が不可欠であり、本事業は被災地のニーズや優先度が高い事業内容である』
効果的な事業かとの点検についてはこう説明されています。
『本事業の事業内容である調査費用についての支援や反捕鯨団体の妨害活動に対する安全対策の強化は、鯨類捕獲調査の安定的な実施に必要不可欠な措置であり、本事業の実施により、調査の安定的な実施が可能となる』
このように、極めて緩やかな点検がなされ、いとも簡単にほとんどの事業がすり抜けてしまい、復興予算が復興と結びつきにくいところに使われてしまった痕跡をたどることができます。
結果的には、税金の無駄遣いであれ、少なくともどのようにごまかされたかを検証することはできます。行政刷新会議のおかげで少なくとも歯ぎしりはできるというわけです。