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公金運用の勝者と敗者

今朝の日経新聞に千葉県の公金運用益が低下との指摘がありました。
私は、これまでいかに運用益を上げるかという観点から、県に対していくつもの提案をしてきました。
たとえば「一括運用」など実施していただいたものもあれば、未実施のものもあります。
2015年6月議会で、私は大要以下の発言をしました。
『公金管理方針には不満な点があります。債券のところにこう書かれています。「金利変動による差損を回避するため満期又は期限まで持ち切ることを原則とする」。歳計現金の記述にも同じ文言があります。
しかし、今持っている債券よりももっと有利な債券が市場に出ることがあります。すると、手持ちの債券を売って有利な債券を買うというごく当然のことが行われてしかるべきだと思います。つまり、買いかえることによって、結果として県民の利益を増大させることができます。したがって、私は「満期又は期限まで持ち切る」ことにこだわる必要はないと考えます。
 このような債券の入れかえについて、どう考えておられるのかお尋ねいたします。』
私は、債券の買いかえなしにはなかなか運用益を上げることはできないと思います。
ただ、この運用競争をあおりすぎると、信用度の高い自治体が、別の自治体の債券で金利を稼ぐこともあり、「ふるさと納税」と同じ構図の自治体間競争になってしまいますので注意が必要です。

心配な国の経済財政議論

内閣府のHPにアップされている5月11日の「第7回経済財政諮問会議」議事要旨を読んでいると、本当に心配になります。
石原伸晃特命大臣が「地方財政改革について議論したい」と宣言し、高橋進議員がこう述べます。
「資料3-2をご覧いただきたい。(略)自治体の基金積立残高は21兆円に達している。(略)21兆円というのは新たな埋蔵金と言われかねない状況ではないか。(略)」
何だか、地方の基金積立が不正蓄財かのような発言です。
そこで「資料3-2」をみると、千葉県の基金積立額は2088億円だとされています。
この数字の根拠は何でしょうか。
実は、この金額には減債基金353億円が含まれています。減債基金というのは、たとえば30年後の満期が来たら一括で返さねばならない借金を確実に返すために、毎年30分の1ずつ積み立てておく基金です。これは言わば、国の指示で行っているもので、満期が近づけば増えていくのが当たり前の基金です。
さらに、使途が決まっている特定目的基金1263億円も含まれていますので、千葉県の実質的な基金積立額は472億円ということになります。何と2088億円の4分の1以下です。
他の自治体も同様だとすると、「21兆円に達している」不正蓄財どころか、「5兆円しかない」自転車操業に近いことになります。
そもそも地方財政は国の方針に大きく左右されます。
地方財政ショックと言われた平成16年度は、地方自治体は基金を取り崩すことで何とかやりくりしました。ちなみにこの時の千葉県の基金は完全に空っぽ・ゼロ円でした。
こんな綱渡りのような財政が良いはずがありません。再び起こるかもしれない地方財政ショックに備えるために、少しでも余裕のある時に基金を積み立てておこうと思うのはごく普通の感覚です。
そういうことには触れずに議論が進んでいることに、私は危うさを感じるのです。

あまりにアバウトな交付税論議

20170511地方財政記事5月10日の日経新聞に経済財政諮問会議の議論が報じられました。
『地方の基金 残高21兆円』『諮問会議 見直し要求へ』というものです。
国から地方交付税を受け取りながら地方自治体は基金をため込んでいるので交付税の見直しを求めるという内容です。
何とアバウトな議論なのかと思います。
年間で7900億円の増加ですから、自治体当り約4億円の増加です。
国は、いきなり地方交付税を削減した前例がありますので、日々の住民サービスを担っている自治体なら貯金しておかねばと思うのが普通です。
さらに、口蹄疫で畜産業が壊滅的打撃を受けたり、不況で地場産業が苦境に陥ったりという万一にも備えなければなりません。
その時に「まったく備えはありません」と国や県に要請すれば済むのでしょうか。
そんな首長は当選できません。住民の生活がかかっているのですから。
仮にも、交付税の見直しを言うのであれば、すべての自治体のおかれた状況を綿密に把握して欲しいものです。
また、「基金が増えたら交付金を減らす」という発想も問題です。それは無駄遣いへのインセンティブに他なりません。
諮問会議には、1800の自治体の目にたえうる議論をお願いいたします。

地方財源の見直しを

20170409無線LAN国の平成29年度予算の中に「公衆無線LAN環境整備支援事業」がありました。
無線LAN整備の際、財政力指数0.8以下の団体に補助率2分の1、0.4以下には3分の2の補助をするとされています。
財政力指数とは、自治体の基準財政収入額を基準財政需要額で除した数値であり、1以上ならその自治体内の税収入等を財源として行政を遂行できることを意味します。
さて、千葉県内自治体の財政力指数はどうでしょうか。
1以上の団体は、浦安、成田、袖ヶ浦、市川の4市です。そして、0.8以下の団体は28、0.4以下の団体は3です。
つまり、県内自治体の財政力指数はかなりばらけています。
ところが、都道府県では様相が一変します。
1を超えるのは東京都のみであり、0.8以上の団体は神奈川と愛知しかないのです。
その一方で、0.2台の団体が4団体、0.3台が14団体もあり、実に27団体が0.5以下なのです。
せめて半数が0.8以上になるよう、地方財源の見直しを強く求めたいと思います。

夕張市の新たな挑戦

3月8日の日経新聞は、10年ぶりに総務相が夕張市の新規事業を認めることを報じています。
財政破綻した夕張市は、徹底した歳出削減と市民税や公共料金を引き上げなどを強いられてきました。
ところが、そうした夕張市再生計画が、結果として人口流出を加速し、地域の存続の危機を招いたということのようです。
そこで、国が特別交付税を出すなどして、子育て支援などを行うことを決めたという記事でした。
夕張市の財政破綻は、観光開発に巨額投資をして失敗したことが原因ですが、その淵源は人口減少につきます。
夕張ほどの急激な人口減が起これば、首長が起死回生の手を打とうとすることも理解できなくもありません。
本来なら投資資金を貸付けた金融機関にも破綻の責任があるはずですが、債権放棄を迫られれば今後一部自治体への貸付を躊躇するかもしれません。
見方によれば、夕張市は全国自治体の円滑な資金調達のために犠牲になったとも言えます。
さて、夕張市は今後10年間で113億円の新規事業を行うとのことです。その内容は市営住宅や市立診療所への投資、2子以降の保育料軽減や中学生までの医療費助成など、新規事業と言ってもそれほど目新しいものはありません。私には、これで夕張に人が集まるとは思えないのです。
本当に夕張市に人を呼び込もうというのなら、全国自治体の施策を超えた内容でなければなりませんが、果たして総務相はそこまで考えているでしょうか。
中途半端な施策でお茶を濁そうと言うのであれば、私は特別交付税を出す意味がないのではないかと思うのです。