月別アーカイブ: 5月 2011

モニタリングの限界

青森県青森市1.8メートル
岩手県盛岡市14.7メートル
宮城県仙台市80.3メートル
秋田県秋田市23メートル
山形県山形市20メートル
福島県福島市1メートル
茨城県水戸市3.5メートル
栃木県宇都宮市20メートル
群馬県前橋市21.8メートル
埼玉県さいたま市18メートル
千葉県市原市7メートル
東京都新宿区19.8メートル
神奈川県茅ケ崎市4.9メートル
新潟県新潟市10メートル
山梨県甲府市17メートル
長野県長野市10メートル
上記は、もちろん16都県各地の海抜ではありません。
モニタリングポストが地表からどのくらいの高さにあるかの一覧です。(5月29日付千葉日報より)
千葉日報によれば「文科省から『地表から放射性物質の影響を受けない高さの目安として10メートルが推奨される』と聞いた」という自治体担当者の話が報じられています。
要するに、各地の放射線量の比較にはあまり意味がないということがわかります。
今後は、都道府県に限らず市町村においても少なからぬ地点において測定が始まることでしょう。
それぞれがばらばらに測定すれば、まったく無駄とは言わないまでも、あまりに非効率な運用となります。
とりあえず文科省でも官邸でも結構ですから、早急に一定の基準・測定方法を統一してほしいと思います。
また、測定地点がほとんど同じ場所でも大きく数値が異なることも承知しておかねばなりません。
たとえば道路よりも側溝の数値が大きく出ます。
汚泥には放射性物質が溜まりやすい性質があるようです。
そういうモニタリングの限界もまた十分にアナウンスして欲しいと思うのです。

浄水場汚泥から放射性物質

本日、5月27日の夕刻、千葉県水道局から「ちば野菊の里浄水場」の「汚泥の放射線量の測定結果」がFAXで届きました。
それによれば採取日5月17日の汚泥について、野菊の里では放射性ヨウ素300ベクレル/キログラム、放射性セシウム134が2480(同)、放射性セシウム137が2910(同)、合計5390(同)とのことです。
報道などを見ても、千葉県内の浄水場からも神奈川県内の浄水場からも放射性ヨウ素が158から687ベクレル/キログラム、放射性セシウムが2650から5950ベクレル/キログラム検出されています。
そもそも浄水場の汚泥とは何かといえば、取水した水に混じっている砂や不純物をポリ塩化アルミニウムなどの薬品で固めて沈殿させたものです。
私たちはその上澄みを飲んでいることになります。
沈殿させた汚泥から放射性物質が検出したことイコール水道水が危険ではありません。
実際問題、上記の浄水場の水からは放射性物質が検出されていません。
むしろ沈殿がうまくいっているから汚泥の方に放射性物質が凝集していると見るべきかもしれません。
さらに言えば、浄水場の水よりも水道の蛇口から出る水の方が時間がたっているはずなので、私たちが飲むときにはさらに放射線量は減っていることも一つの安心材料です。
とは言え、浄水場の汚泥は、これまで再利用をして歩道のタイルなどに使っていましたので、放射性物質が検出したとなると今後の処理方法は難しいことになります。
また、浄水場によっては排水系統の(排水池の)うわ水を浄水系統の着水井にもどすタイプのものがありますが、ちょっと気になります。心配しすぎでしょうか?

銚子漁港の再生へ

5月24日付の朝日新聞朝刊に『銚子漁港 活気づく』という記事があった。
「東日本大震災の影響で、宮城県のマグロはえ縄漁船が銚子漁港に続々と水揚げをしている」と報じられている。
この記事で思い出すのは、1995年の阪神淡路大震災である。
震災前にはコンテナ取扱個数で世界第6位だった神戸港が、震災後の現在は第23位。
取扱量は半減し、業務機能が回復したにもかかわらず低迷から抜け出せないでいる。
昔から、地震によって土地が隆起して海だったところが陸になることも、陸地だったところが海面下になったこともあった。
それにより地所を増やした者がいる一方で、地所を失った者もいた。
日本は地震国であり、また災害の多い国であるがゆえに、天災により経済的な損得が分かれてしまったケースが多々あったろう。
今回の銚子漁港の活気が、銚子漁港の再生と同時に東北・三陸の漁業者の元気につながり、そして三陸の漁港の復活につながってほしい。
この東日本大震災ばかりは、損と得が分かれるのではなく、ウィン・ウィンの関係であってほしい。
未曾有の被害、未曾有の悲しみを乗り越える英知をともどもに出し合いたいと思うのである。

閉鎖できるか?防潮扉

千葉中央警察署

週刊ダイヤモンド5月14日号に気になる記事が出ていた。
東日本大震災発生時に大阪で津波注意報が発令され32の防潮扉が閉鎖されたという。
ところがその閉鎖に1時間かかったというのである。
多くの防潮扉は人力で4人がかりで閉鎖するという。
すると、当然のように、閉鎖するための人手が被災などで確保できない可能性はないのか?
どこから閉鎖の指示が出て、誰がどういう手順で閉鎖に当たるのか?
そもそも防潮扉の耐震強度は大丈夫か?
何らかの不具合で閉まらなかった場合はどういうことになるのか?など様々な疑問がわいてくる。
さて、わが公明党千葉県本部のある千葉港周辺にも防潮扉が4か所ある。
正式名称は「中央2号横引きゲート」「中央3号横引きゲート」「中央4号(A)(B)横引きゲート」「中央5号横引きゲート」という。
すべて人力で閉鎖し、作動時間は10~25分とされている。
しかし、大阪では1時間かかったのである。本当に30分弱で閉鎖できるのかどうか心配になる。
そして、これらゲートの位置を地図で見てみると、これらゲートの外側、すなわち海側に千葉中央警察署があるのである。
もし本当にゲートが閉鎖される事態になったとしたら中央警察署は・・・・。

放射能汚染水の放出

4月5日付・読売新聞朝刊の『低濃度汚染水 海へ放出』という記事は本当に驚いた。
なぜなら、記事には「4日午後7時過ぎ~(略)~低濃度の汚染水約1万1500トンの海への放出を始めた。」と書かれていたからだ。
「放出を始める」でも「放出する方針」でもなく、「放出を始めた」なのである。
いわゆる「海洋汚染防止条約」、通称「ロンドン条約」の批准は1980年10月のことである。
当時、参議院議員秘書として外務委員会を担当していた私にとっては思い出深い条約である。
低レベルの放射性廃棄物の海洋投棄について外務委員会や科学技術振興対策特別委員会では毎回激しいやり取りが続けられていた。
今回、新聞に報じられた記事内容は、そうした国会での議論がいとも簡単に吹っ飛んでしまう決定である。
ではどうすればよいのか?と言われても確かに選択肢はなかったのかもしれない。
しかし、少なくともこうした国際条約に触れてしまいかねない重大な決定をする以上、関係各国へはもちろん、同じ海を持つ茨城、千葉など関係各県には知らせてしかるべきであろう。
ましてや本県は漁業県であり、海水浴やサーフィンのメッカをもつ観光県である。
そこで、5月19日に開会された千葉県議会環境生活警察常任委員会において私は質問した。
「放射能汚染水の放出について、千葉県への事前のせめて通告はあったのでしょうか?」「ありません」
「放出後、本県に対して陳謝などがあったのでしょうか?」
「あったとは聞いておりません」
「是非厳重抗議をお願いしたい。」

漁業者の方々や観光業など海を生活の糧にしている人たちの怒りを決して忘れてはならないと思うのである。