月別アーカイブ: 1月 2014

自分のことは棚に上げがち

今日の毎日新聞に、千葉市美浜区の磯部63自治会の液状化対策が報じられていました。
地下水を抜いて液状化しにくくする「地下水位低下工法」が有効かつ経済的だという中間報告がなされたとのことです。問題は、やはり地盤沈下です。
地下水をどんどん汲み上げた結果、東京湾岸のいたるところでひどい地盤沈下が起こりました。そこで、地下水の利用を制限したのですが、今度は地下水位が上がり液状化の危険性が増すばかりです。
どの工法が、どの程度のどういう地震に有効なのか、まさに研究はスタートしたばかりです。
間違いなくいえることは、「地下水位が上がれば液状化の危険性が増す」「盛り土は地震に弱い」ということです。
これらは自明なのですが、だからと言ってそういうことを考えて家を買ってはいません。また、自分は備えをしているのかというと実はそうでもありません。
私自身、二階に倒れそうな巨大な鉄製本棚が二つもあります。3・11の際に見事に倒れた一階の本棚には器具を取り付けましたが、その隣の茶ダンスは手つかずです。
記事を読んでも、磯部に住んでいないと他人事に見えますが、実は他人事ではなく自分のことと受け止めないと減災などできるはずがありません。

貧国の悲しみ

2010年1月12日、中米の最貧国ハイチをマグニチュード7.0の地震が襲いました。
インフラ整備の遅れている国が巨大地震に襲われた時、どれほど悲惨かということをハイチの写真で見ることができます。
ニューズウィーク(2010・1・27号)には、遺体収容所に収まり切らない大勢の死体の写真が掲載されています。まさに地獄図です。
世界の大地震の死亡率の調査があります。1995年の阪神淡路大震災は0.17%でした。
1999年のトルコ・マルマラ地震が0.095%、台湾集集地震が0.1%、2008年の中国四川大地震が0.097%でした。
これに対して、ハイチは実に6.0%だったのです。
東京は、わが国で最も耐震化が進んでいる都市ですが、それはあくまで都心に限られ、周辺はハイチとそう変わらない耐震性の木造住宅であることを認識する必要があります。
経済力こそ強力な災害対策であると言うのは果たして言い過ぎでしょうか。

わずか4cm×2cmの記事なのに

今日の日経新聞に本当に小さな小さな、でも『国保移管31日から協議』という大きな記事がありました。
国保の運営を都道府県に移すために1月31日から厚労相は都道府県や市町村の代表と協議を始めるというのです。
そして、来年の通常国会への法案提出や2017年度までの移管を目指すというわけです。
かねてより保険料の問題を指摘してきましたが、それ以外にも乗り越えねばならないハードルは連続しています。
収納率の減少、その対極にある(法定外)繰入金などによるそれぞれの国保の財政基盤が心配です。同時に国保財政を支えざるを得ない他健保も少なからぬ懸念を持っているでしょう。そもそも県が保険者になったときに法定外繰入金などの赤字分をだれが負担するのかでも激しいやり取りが想定されます。
こうした数多ある制度の改定を合意したうえで、さらに各市町村の健康維持への努力や工夫がちゃんと繰入額に反映されるものでなければなりません。
どういう形になるか今の時点ではわかりませんが、日本人の本当の知が試されるのだと思います。

医師不足に思う

千葉県にもう一つの医学部をという運動があります。私も賛成です。
その理由は、人口当たりの医師の少なさもさることながら、千葉大学の頑張りに期待したいからでもあります。
千葉県の研修医採用人数は、平成24年289人、25年が294人と増えてきています。
一方、大学病院の研修医採用人数は全国レベルで減少し続けています。
平成23、24、25年の臨床研修病院の研修医が、4167人、4265人、4299人なのに対し、大学病院は3831人、3746人、3609人と尋常ではない減少傾向です。
仮に医学部の設置が決まったとしても、それに見あった教育システムを作ることは容易ではありません。
もしかしたら、教育システム構築に失敗しているからこその減少傾向でなけばよいと心底思います。
ただ、今後ますます進む高齢化を考えれば、全国に先駆けた高齢者医療に重点をおいた大学が、わが千葉県に一つくらいあっても良いと思うのです。

理屈の上での社外取締役

「週刊東洋経済」1月11日号を手に取りましたら、コラムに目が止まりました。
『待ったなし。社外取締役の義務化(以下略)』という表題です。
政府が社外取締役の設置義務付けを見送ったことに対する批判のコラムでした。
『社外取締役は、すでにわが国の企業社会、市場のコンセンサスとなっているように思われる。にもかかわらず、なぜ経団連は反対するのか。反対の理由は「各社の自由に任せてほしい」という一語に尽きる。建前としてはそのとおりだろう。もし、わが国の企業社会において、世界の趨勢である社外取締役の導入が諸外国と比較しても進んでおり、かつ、コーポレートガバナンスが十分機能している、というのであれば。』
さて、私は上記の主張は理屈の上では正しいと思います。しかし、そもそも社外取締役を設置すればコーポレートガバナンスが機能するという仕組みがわかりません。
なぜなら、わが国の社外取締役はすでに官僚の天下り先になってしまっているからです。
もし設置を義務化すれば、官僚は大喜びでしょう。しかしそれで実現するのは、たんなる各省庁によるガバナンスです。そんなものを誰が望みますか。
それを知っていて上記の主張をされているのか、知らずにされているのか、非常に気になるところですが、残念ながらコラムの筆者は匿名なので分かりません。