月別アーカイブ: 11月 2007

新型インフルエンザの恐怖(第161号)

千葉県議会に初当選した2003年4月、真っ先に行なったのがSARS対策についての調査活動だった。
県内各地の病院や千葉大学、そして成田空港での対策の現状を視察し、関係者と意見交換をさせていただいた。
2002年11月16日、中国広東省での新型肺炎の集団発生はそれほど衝撃的だった。
私はこのとき、成田空港や千葉港を有する千葉県にとって、感染症対策は県政の主要テーマであると実感した。
今となってはSARS(重症急性呼吸器症候群)のことを覚えていらっしゃる方はほとんどいらっしゃらないかもしれない。
しかし、県政の主要テーマであることにはかわりがない。
そして今は、SARSではなく、新型インフルエンザである。
国立感染症研究所・岡田晴恵著「H5N1型ウイルス襲来」 (角川SSC新書)は非常に有益な本である。
SARS調査の時に成田空港で見せてもらった旅客の体温を調べるセンサーは、新型インフルエンザウイルスに対しては役に立たない可能性があることが指摘されている。
この本によれば、たとえ感染した人が入国審査を受けたとしてもその時点で発熱していないことがあるのだという。
また、自然災害と異なり、世界中が同様のダメージを同時に受けてしまうことも指摘されている。したがって、他国からの救援も期待できない。なるほどその通りだろう。
ほとんど100%の人が発症し、若くて体力のある者であっても死亡率の非常に高い新型インフルエンザ対策にあっては、たとえ効果は限定的かもしれないが、国はワクチンを十分に用意すべきである。
そして都道府県も含めて全国民分のタミフルを用意すべきである。
タミフルが危険性だという声があるが、残念ながら現時点でほかに有効な選択肢がない以上タミフルに頼るしかない。
そう見ると千葉県は約50万人分のタミフルを備蓄しているが、これではまるで足らない。こういうものにこそ行政は予算を投入すべきだと思う。
WHOの感染者・死亡者報告を見ると世界全体としては2006年がピークだったように見える。
ただ非常に気になるのが、その後エジプトで感染者が増えていること(2006年18名が2007年が20名)、そしてラオスで2名の死亡者が出たことである。
人類とウイルスの戦い(?)は未来永劫間断なく続くのである。

民話駅伝 in ちば(第160回)

「民話駅伝 in ちば」の大多喜会場に参加させていただいた。
このシリーズは各地の民話の語り部の方々が、10月14日の市原を皮切りに1月27日の流山まで駅伝形式に語り繋いでいくという発想である。
つまり大多喜町の場合は「夷隅民話の会」のメンバーが中心に語っていただくのだが、大多喜の前の佐倉市で語った「市民カレッジ語りべの会さくらっ古」のメンバーが一人ないし二人参加する。そして、今度は「夷隅民話の会」のメンバーのうち一人ないし二人が、次の柏での会で語るという意味で『駅伝』なのである。
各地の民話の語り部たちが交流できるうまい手法である。
ここ大多喜会場には市原からの方、勝浦からの方が来て語ってくださった。
折りしも、今日は千葉市内では国際千葉駅伝の日でもあり、本物の駅伝では見事日本チームがケニアをおさえて優勝した。これは蛇足。
今回の大多喜での会は、町立老川小学校が会場となったが、まず斬新な小学校の設計にびっくり。木造を根幹にした華麗な校舎が紅葉と緑に包まれ、教育環境としては申し分ない学校であった。
そんななかで、「おせんころがし」や「河童がくれた壷」、「ひひの田五郎」など悲しくて、面白くて、少し怖い民話を堪能した。
いただいたレジメの中に『いつまで続けて行けるやら心配です』とあった。
考えてみたら、こういう民話を聞くのは私も小学生以来かと思う。何とか応援していきたいと痛切に思った。

新松戸駅前に立つ(第159回)

新松戸駅前が変わった。
まず客引きが増えた。
朝でも夜でも客引き・客引き・客引きである。怪しげなのも、元気の良いのもある。どちらにしても好ましくない変化である。
流山電鉄の客が減った。
駅頭でマイクを持ってしゃべっていても、幸谷駅からの乗換客が少なくなったとつくづく感じる。
かつてあった三郷方面への乗り合いタクシーが廃止されたのもTX(つくばエクスプレス)の多大なる影響である。
武蔵野線の終電よりもTXの方が遅くまで走っているとなればタクシーを利用する人は激減する。
外国人が増えた。
中国なのか韓国なのかその両方なのか分からないが、男も女も若いアジア系の外国人が増えた。
いずれにせよ騒がしい駅前になった。
もっとも、それに一役買っている私に言う資格があるかどうか。

GNP(国民総我慢 )の行方?(第158回)

今朝の日経新聞1面のシリーズ記事「株主とは?」を読んで、怒りとまでは言えないが、何ともいえない割り切れなさを感じた。
いわき市で創業した女性向け衣料の製造販売会社ハニーズに突如大株主が登場し、その株主がノルウェー銀行だったという話である。
同記事によれば、『外国人の日本株保有比率は長期上昇トレンドをたどり、今では28%に達する』という。
私は、かねてより所得・消費・資産に対する課税はバランスの取れたものである必要はなく、資産にシフトさせるべきと主張してきた。
そして、その資産も土地などの不動産よりも金融資産に重点をおくべきと主張してきた。
その観点から、租税特別措置法により時限付きで軽減されてきた「上場株式等の譲渡益にかかる軽減措置」や「上場株式等の配当にかかる軽減措置」などは当然期限延長をすべきではないと思っている。
マクロで企業業績(法人企業統計・付加価値の配分状況)を見れば、営業純益約30兆円の行く先は約4割が配当であり、人件費はむしろ減っている。
そして、仮にその配当の28%を外国人株主が受け取ったとすると、その額は・・・。
ニワトリとタマゴではないが、外国人株主が増えたから配当性向が上昇したのかもしれない。
しかし、従業員給与も役員給与も福利厚生費も減で、低金利政策により支払利息も減り、法人税減税により租税公課も減、唯一横ばいなのは動産・不動産賃借料のみという、いわば国民の我慢(Patience)によって稼ぎ出した富があまりに配当に偏りすぎてはいないか?
そして、その3割が外国人?
もう、なんか馬鹿らしくってやってられない。