Monthly Archives: 10月 2007

「小選挙区制」誤った多数決原則(第156回)

二大政党が政治の流れと言う話はほとんどマユツバである。
小選挙区制が結果として二大政党化を促すのであって、単に選挙制度の採用の問題に過ぎない。
政党についての議論は、どうしても民主主義国家に限ったものになるため、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなど日本に馴染みのある国がモデルになりがちである。
しかし、たとえばスペインなどは小選挙区制ではなく比例代表制であるし、スウェーデンはじめ北欧各国はみな比例代表制を取っており、多党化が進んでいる。
つまり、「二大政党制」はもちろんのこと、「小選挙区制」にしても世界が支持しているわけではない。そんな政治体制・選挙制度が政治の流れであろうはずがない。
これは素朴に考えればわかることで、これだけ多様化した価値観を有する人類を、こと政治の分野に限って二つの政党に収斂させようと言うのがどだい無理な話なのである。
無理なことを続ければストレスが溜まる。
小選挙区制の一番のデメリットは死票を増やす選挙制度であることだ。言い換えればもっとも民意を反映しない制度である。はたしてそんな制度が良いのかどうか?
私は、昨今頻繁に言われている「負け組・勝ち組」や「格差」と言う問題が、二大政党制に密接にかかわっている疑いを持っている。
二大政党制がそれだけ国民の意見をきめ細かく吸収できなくなっているのではないかと思うのである。
「格差是正」が国民の意志表示であるならば、「こっち」か「あっち」かと言う単純な二者選択ではなく、多様な意見を集約する北欧モデルに選挙制度を変えるべきなのではないだろうか。
二大政党制は、本来「政策」や「判断」に求めるべき多数決の原則を、悪ノリして本来二者択一ではないはずの選挙制度にまで持ち込んでしまったように感じるのは私だけだろうか?

高齢社会の決め手は「構造改革」にあらず(第155回)

私は従来型政治の典型例が「構造改革」という言葉の使い方に非常によくあらわれていると思います。
小泉さんは言いました。「構造改革を断固やり抜く!」
そして、多くの国民の皆さんが賛同し、小泉さんにエールを送りました。
さて、では私たちが賛同し熱烈なエールを送った「構造改革」とは一体何だったのでしょうか?
何の「構造」をどう「改革」することに賛同したのでしょうか?
おそらく100人の人がいれば100以上の回答があると思われます。
「構造」という現状に不満があるから「改革」を断行することには賛成だ、といった抽象的な賛同者もいたかもしれません。
ことほど左様に同床異夢を導きやすい言葉です。
たとえば、予算編成の「構造」を「改革」するとすれば、これまで多額だった公共事業を減らすことだという理解もできます。
この場合、もちろん地方の公共事業も減らされるわけですから、地方の中小規模建設土木関係企業は非常に苦しくなるでしょう。
国の借金を減らすために地方交付税を減らすことだという理解もできます。
郵政民営化のように何から何まで官がやってきた「構造」を民間へまかせるという「改革」をするという理解もできます。
小泉さんの真意は、これからの超高齢社会を乗り切るためにはお金のかかる年金、医療、高齢者福祉などの「構造」を改革して可能な限り安上がりにしよう、しかしそれでも多額の負担が必要だから高齢者を含め国民みんなに負担をしてもらおう、行政部門も少しでも小さくしてお金のかからない政府にしよう、と言う「改革」だったのだと思います。
しかし、どのような政策であれ必ず副作用はあります。
政治や行政はその政策を実現するために国民の賛同を得る必要がありますから、あえて副作用については語りません。
語らなかったとしても副作用は無くなるものではありませんので、税金や保険料の負担増やサービス給付の低下と言う形でいつかは必ず国民生活の上に出てまいります。
そのときに国民は「裏切られた」と思う。話が違うということに気づく。副作用が顕在化したときに国民は与党に対してノーを突きつけることになります。それが先の参議院選挙結果の一因だったと思います。
これからの政治の課題は負担増とサービス水準の低下とのバランスをどうとっていくかということになると思います。これはまさに国民にとっては副作用の選択です。
しかも、その副作用に耐えて国民は何を得るのかといえば、何かがプラスになるのではなく、「制度の永続性」というせいぜいマイナスにはならないというだけの話なのかも知れません。
この極めて困難な政策課題を実現する唯一の条件は国民との信頼関係の構築以外にありません。
医療政策がどう、福祉政策がどう、公共事業政策がどうとは直接関係がない、政治家に対する信頼、政党に対する信頼、行政に対する信頼を政治や行政が勝ち得ることが超高齢社会を乗り切る必要条件だと思います。
ともあれ高齢化の進展はあまりにも早いペースです。それにあわせて国民に信頼される政治を実現することは残念ながら現実的ではないように思えます。
したがって、政治が信頼を取り戻すための不断の努力を続けること、その姿を国民に見せること、これが高齢社会に対応する施策を打つための最低限の条件だと思うのです。

世界の潮流は人材の争奪戦(第154回)

前回10月13日の独り言では食料問題を取り上げた。実際問題として農業、漁業、林業支援策が手厚くならないと将来担い手ゼロの懸念すらある。
しかし、問題の全貌はもっともっと根が深い。
わが国は、先の第一次産業だけではなく、およそあらゆる分野で『人材不足』になる可能性が高いのである。
たとえば、すでに医療分野では大変な医師不足、看護師不足に見舞われている。率直に言って壊滅状態に限りなく近いと言わざるを得ない。
さらにはケアマネージャー含め介護関係者不足など、高齢社会をむかえるに当たって福祉分野の人材不足も指摘されている。
少子社会での深刻な担い手問題はすでに始まっているのである。
これを解決するには移民を受け入れると言う考え方がある。
今後はわが国でも移民受け入れの是非について相当な議論が湧き上がるだろう。
私が深刻に思うのは実は移民の是非ではない。
『移民やむなし』と言う国民的結論がでたとして、はたして移民がわが国に来るだろうかということである。
われわれが移民やむなしという結論を得るときというのは、単純作業の移民を求めているときではない。
医師であるとか看護師であるとか専門性の高い技能を有する人材を受け入れる『とき』 なのである。
医師不足はわが国に限ったことではない。アメリカでもイギリスでもカナダでもどこでも医師不足なのである。
言うに及ばずアメリカには医師が集まるだろう。
イギリスも必死で世界各国から医師を集めている。移民募集に躍起になっている。
ましてや世界各国の生活レベルが上がり、それぞれの国が質の良い食料を求めだすと同じように質の良い医療を求めるようになれば、言葉も風習も文化も違う国に働きに行く必然性が薄れるだろう。
そうした世界情勢の中で、わが国では移民受け入れが是か非かという議論が『これから』『たぶん』 おこるのである。
あまりに能天気と言うほかはない。
すでに人材争奪戦は始まっている。
国内において都市と地方でおこっている争奪戦は、実は世界レベルでおこっていることをわれわれは認識する必要がある。

世界政治の潮流は農業支援(第153回)

山崎パンがとうとう値上げを打ち出した。
米国でもフライドポテトから鶏肉まで幅広い品目の値上げが報じられており、イタリアではパスタの値上げが物議をかもしている。
すでに世界中で食料品の値上げが始まっているのである。
これは食料が減っているのではない。
要するに世界の人々の何割か(おそらく数億人のオーダー)が、これまでよりも質の良い食料を求めだした、求める経済力を持ってきたのである。
より重要なことは、これが一時的な傾向ではないということである。
牛肉を求めれば6倍の穀物、豚肉なら4倍の穀物が必要だと言われる。今後は穀物の輸出制限をする国が増えることだろう。
したがって、必然的に世界の政治の潮流は農村、農民に対する支援策ということになる。
わが国も当然にその方向の政策を打ち出さねばならない。
しかも、一歩間違えば自由主義貿易体制の大きな阻害要因になるので、通商もきっちりと連動させた対内外政策が肝要だ。
さらに言えば、国内的には食料品の消費税率軽減へという方向も考えられる。国民の選択によっては消費税の複数税率化へ動き出すかもしれない。
21世紀型の世界政治は、熟練サーファーにも乗りこなすのが極めて至難のビッグウェイブのように思える。

財政はつまらない?(第152回)

自分の住んでいる自治体の財政状況を市民の皆さんに知らせる作業はとても重要なことです。
しかし、皆さんがそのテーマに興味を持ってくれるかどうかとは別の話です。
自治体の財政内容を興味がもてるように説明することは至難であり、このことにいつも頭を悩ませます。
松戸市財政について、市民の皆さんにお知らせたいことは幾つもあります。
たとえば、順不同になりますが以下のような事項です。
まず歳入については
1)平成15年度に「地方債」の金額が跳ね上がった。これは臨時財政対策債の発行によるものと言える。
2)それと同時に地方交付税が激減する。そして地方交付税は16年度以降もさらに下がり続ける。
3)使用料が目立ってくるが、これは受益者負担を求めざるを得なくなったという事情よりも他の費目が減ってきたので目立つようになったと見るべき。
4)幸い国庫支出金は高水準だが、そうでなければ松戸市財政は非常に厳しい。
5)個人所得については平成16年度で底を打ったかもしれない。
歳出については
1)民生費が毎年10?20億円増加し続けている。
2)商工費はもともと少ないのだが、毎年下がり続けている。
3)平成15年度からは民生費に次ぐ支出は公債費となった。
4)性質別に見ると扶助費が毎年増加し続けている。
5)人件費はじりじり上がり続けているが、平成16年度で政策的に減らした。(その代わり物件費は跳ね上がった)
6)平成15年度から普通建設事業費が激減した。
7)繰り出し金が毎年上がっている。つまり特別会計も苦しい。
といった内容なのですが、いかがでしょうか?
やっぱりつまらんですね。