月別アーカイブ: 7月 2011

1999年9月の事件事故

1999年9月はプルサーマルにとって何故か事件事故が立て続けに起こりました。
9月14日に関西電力高浜原発で使用するはずだったMOX燃料のデータ改ざんが判明しました。
燃料ペレットの寸法のデータが改ざんされていたのですが、はたして本当に国や関西電力は知らなかったのでしょうか?「やらせ」問題発覚後の現時点からすると疑問が生じてしまいます。
国と関電は現地イギリスに乗り込んで調査をし、24日に中間報告を出します。
それと前後するように、27日には福島原発の方のプルサーマル燃料が福島の港に到着します。
こちらは英国原子燃料公社製ではなくベルギー製でした。
そして30日には茨城県東海村のJCOの臨界事故が起こります。レベル4という大事故です。
これだけのことが9月に集中しています。
さて問題はこの後です。
10月に関電に別のプルサーマル燃料のデータ改ざん情報が寄せられたと言います。しかし、関電はこれを国に通報しませんでした。
さらに12月24日には今度は英国側の労働同組合がデータ改ざんを内部告発します。
こうした一連の流れを見てみると、信用できないのはわが国だけではなく、英国もまた同じと言わざるをえません。
現在、脱原発の動きはヨーロッパを中心に広がっていますが、その淵源が国や関係機関を信用できないというところにあるのかもしれません。
これまで原発の歴史は事故隠し、データ改ざんの繰り返しでした。こんどはそれに「やらせ」が加わったのです。
これでは脱原発の流れは抗しがたいものとなっていくのでしょう。

ひど過ぎる『プルサーマルやらせ』

1999年のJCO臨界事故の反省に立って設立されたのが原子力安全・保安院でした。その保安院が、こともあろうに電力会社に『やらせ』を指示していたというのです。
これはもはや国内問題をはるかに飛び越えてしまった感があります。
国際社会の中で、国はどこまでわが国を貶めてくれるのでしょうか。
よくぞここまで恥をさらしてくれたものだと思います。この汚名を晴らすには、相当の年月がかかるでしょう。
JOC事故をきっかけにして『内部申告奨励制度』が導入されました。
当然のように、数々の内部告発が出てきました。
それを保安院は2年間も握りつぶしてきただけではなく、告発者についての情報を電力会社に通知していたといいます。
内部通報の制度を設けて内部告発をさせておいて、そのうえで摘発側に回るとなれば、内部の不満分子を一網打尽にするための制度だったのかと疑われかねません。
保安院の行動は、警察にさえ禁じている『おとり捜査』そのものであり、行動様式は『二重スパイ』です。
わが国では、今後もプルトニウムが溜まっていきます。
プルトニウムの貯蔵場所がない以上、原子力発電所敷地内の一時保管場所に置いておくしかありません。これは近いうちにパンクします。
また、溜まっていくプルトニウムの処理についての明確な方針を国際社会に示さねばなりません。
その答えの大きな一つがプルサーマルだったのです。
それを原子力保安院は『やらせ』によって見事につぶしてしまいました。
まったく愚かなことでした。
しかし、実はこういうへまをわざとやることによって、真の狙いが『プルサーマル潰し』だったとすると、これはまさに『スパイ大作戦』の世界ではあります。

もっと怒るべき20市1町

小さな町や村のなかには、「そこまでやりますか?」という施策をもっているところがあります。
全世帯にパソコンを貸与してインターネットに接続する、全戸に無線機を設置するなどです。
それが悪いというのではありません。
お年寄りの安否確認もままならないですとか、防災無線を集落ごとに設置するよりも安上がりということもあると思います。
しかしながら、小中高校生を公費で海外に派遣すると聞くと、もっと別の使途があるのではと思うのです。
そうした自治体が地方交付税を受け取っていない「不交付団体」なら、住民の責任で行っているわけですから問題はありません。ところが、歳入における地方税の占める割合が10%足らずだとなると複雑な気持ちになります。
たとえば過疎地で、少人数の子どもたちに何かしてあげたいという気持ちはわかりますので、正直なところそうした予算の使い方もやむを得ないのだろうなと思います。
さて、その一方で大都市であるにもかかわらず、似たような施策を打ち出したところがあります。
あの名古屋市です。市長の公約が減税でした。
これも名古屋市が「不交付団体」なら文句はありませんが、名古屋市民の減税のために無関係なわれわれの税金が使われるとなると気持ちのいいものではありません。
平成21年度決算ベースでみた名古屋市の歳入における地方税の割合は47.7%です。
わが千葉県内で名古屋市以上の割合の団体は、20市1町もあります。
千葉市、船橋市、市川市、松戸市、野田市、茂原市、成田市、佐倉市、習志野市、柏市、市原市、流山市、八千代市、我孫子市、鎌ヶ谷市、君津市、富津市、浦安市、袖ケ浦市、白井市そして芝山町です。
みな苦しい中でも知恵を絞ってやりくりをしています。
名古屋市の減税手法は、我も我もと他の団体もやりだせば、ただただ将来の借金を増やすだけの手法であり、結果的に、他人に借金を押し付けて自分だけが得をしようという施策です。
少なくとも日本人のメンタリティにはなじまない「あこぎ」なやり方だと私は思います。

どうだったのか?東京湾の津波

7月28日の千葉県議会『東日本大震災復旧・復興対策特別委員会協議会』において、東京大学地震研究所の佐竹健治教授からレクチャーを受けました。
そのなかで一番注目したのは東京湾内津波合同調査グループの『千葉県の津波の高さ』のデータでした。
今回の大震災において、千葉県で最も津波が高かったのは、やはり最も被害を受けた旭市飯岡の7.6メートルでした。
飯岡から南に下った九十九里浜の中間点である片貝(九十九里町)が2.2メートル、九十九里浜が終わった太東(山武市)では4.2メートルです。
レクチャー後に、私は「九十九里にはエッジ波が発生していたのでしょうか?」と質問しましたが、「一部発生していた」とのことです。
飯岡、太東という九十九里浜の両端の津波が高かったのもエッジ波の影響もあったわけです。
以下、御宿2.5メートル、勝浦2.2メートル、天津2.0メートル、千倉1.6メートルと外房を南下するほど津波が低くなります。
ここから房総半島突端の根本で2.6メートルと再び高くなり、房総半島をやや回り込んだ布良(めら)で2.0メートルです。
津波は、今度は東京湾を北上して行きます。富津市大貫で2.8メートル、新富津で2.9メートル、木更津2.5メートルです。
容易に想像されるように、浦賀水道の細くなったこところで津波が高くなり、そこを抜けるとまた低くなります。
ところが、東京湾の一番奥の船橋で再び2.8メートルと高くなっていたのです。
先の6月議会で、私は東京湾奧の高潮対策を訴えました。
基本的に3メートルの高潮を防げるように防潮堤などの施設が整備されていますので、数字の上では2.8メートルはぎりぎり大丈夫ということになります。
しかし、台風などの高潮と重なればアウトです。しかも6月議会で明らかになりましたが、高潮ハザードマップもないのですから。

未来永劫継続すべき制度

原子力政策は放射性廃棄物問題まで含めると少なくとも10万年は責任を負うのだと言います。
では、社会保障制度についての責任年数はどのくらいでしょうか?
かつて坂口力厚労相が『年金100年安心プラン』を打ち出した時、野党はこぞって批判をしました。
それも「100年なんて大風呂敷」「100年なんて無理」という論調だったのが私にはびっくりでした。
「100年が大風呂敷」で、かつ対案を示さない野党には、「では何年もたせればよいのか?」と逆に聞きたいと思いました。
その後、民主党は税方式という対案を示しましたが、今では一切だんまりを決め込んでいます。
それはそうでしょう。そもそも実現不可能なのですから、出来ることなら高速鉄道事故処理のように地中に埋めてしまいたい気持ちでしょう。
それはそれとして、たとえば賦課方式の年金制度であっても「100年もてば御の字」というのが一般的な見方なのでしょうか?
それで良いのでしょうか?
私はそうは思いません。私はノーです。
やはり本来、社会保障制度もまた未来永劫に継続していかねばならないものと思います。
Wikipediaによれば、年金制度は1889年にドイツで制定されたといいます。
「年金保険は30年以上保険料を払い込んだ70歳以上の高齢者に給付を行うものであり、公費負担が3分の1だった。ドイツで始まった社会保険の仕組みは、その後世界各国で導入されるようになる。」(7月27日現在)と記載されています。
「世界各国で導入」とはどの程度かは分かりませんが、財団法人年金シニアプラン総合研究機構のホームページ(7月27日現在)には、アジア10カ国、北米2カ国、南米3カ国、ヨーロッパ18カ国、オセアニア2カ国の計35カ国の年金制度が紹介されています。
つまり100年余りの間に30カ国ほどに導入されたわけです。
少なくとも日本では、もはやこの制度がなくなったら社会の存立が危ういことになるでしょう。
そう考えてみると、社会制度というものは基本的にすべて未来永劫の継続を前提に成り立っていることが分かります。
ドイツで年金制度が出来てまだたった122年です。
『100年安心プラン』などはまだまだ甘い、せめてあと878年もつくらいの制度を構築しなければと思います。