Monthly Archives: 11月 2010

口蹄疫に思う(第450回)

今朝の千葉日報1面に『発生後72時間で埋設 県が口蹄疫マニュアル策定』という記事があった。
先ごろ、宮崎県で発生した口蹄疫について、終息までの四ヶ月間の宮崎県や国の対応についての検証結果が公表された。
今回の口蹄疫発生は早期防疫体制に数多くの教訓をもたらした。
宮崎県の畜産家たちは経済的には当然として、精神的にも肉体的にも言葉に尽くせぬ被害を被った。
また、関係者の涙ぐましい毎日は想像に余りある。
そこで、私は9月6日の県議会代表質問の中でこの問題を取り上げたのである。
『宮崎県のJA尾鈴は日本養豚協会を通じてワクチン接種を農水省に要請しています。これは5月6日のことです。
さらに4日後の5月10日にも赤松農水相が宮崎入りした際に畜産農家がワクチン接種を訴えました。
ところが、その方針が決定したのは何と2週間もたった5月19日のことです。あまりにも遅い。
現場は、打つ手を求めていたのではなく、実は打つ手を逆に提案していました。
ところが、宮崎県は「それは確認する」と言う。国は「協議する」と言う。
そして、返答がないままどんどん遅れてしまった。
最終的には県や国への確認に手間取っている間に感染が拡大していくことになりました。
この教訓を生かすには、情報窓口の明確化と対策のマニュアル化しかないと思います。
本県においてこの点はどうなっているでしょうか?』

千葉日報が報じるように、このたび千葉県はマニュアルを策定した。
もちろんマニュアルが策定されたからと言って、口蹄疫が防げるわけではない。
ともかく発生がないことを切に切に祈らずにはいられない。

53回目の誕生日に思う(第449回)

今日、53歳の誕生日を迎えた。
色々と思うところがある。
北朝鮮は韓国の島へ砲弾を撃ち込むという言語道断の蛮行に及んだ。
「ニューズウィーク日本版」12月1日号の特集は『アジアが戦場になる日』である。
国防総省ニュースによれば、アフガニスタンの米軍の死者は1394人(11月24日現在)である。
イラク戦争での1422人を上回るのも時間の問題だ。
現実の問題として、「ニューズウィーク」の特集を笑って済ませない状況なのだ。
私が参議院議員秘書として外交・防衛を主に担当していたときにアフガニスタン紛争(1978年?1989年)が起こった。
1979年にはソ連軍が軍事介入し、それに対するムジャーヒディーンの抵抗は熾烈を極めた。
結局、89年2月にソ連軍は撤退することになる。
ソ連軍の侵攻については諸説あるが、化学兵器が使用された、2000万個の地雷がばらまかれたなどとされている。
いずれにせよ航空部隊の支援もとに10万人の兵士が投入された。
ソ連軍の強力な戦車部隊も侵攻したが、それによってアフガンの何が変わったのだろう?
2001年9月の同時多発テロ事件を機に、米軍によるアフガンへの空爆が始まった。
オバマ政権は2009年7月に大規模タリバン掃討作戦を開始した。
この作戦での米兵死者は2001年10月の戦争開始以来過去最悪と報じられている。(ヤフーニュース・アクセス日2010・11・26)
これによって、アフガンは変わるのだろうか?
では、わが国はアフガニスタンに何をしてきたのか?
『日本は、アフガンの地で500の学校を建て、1万人の教師を養成し、30万人の生徒に教育を与えてきた。50か所に病院を作り、4000万人分のワクチンを供与してきた。650キロにおよぶ難しい道路を建設し、最近ではカブール空港のターミナルも完成させた。そして今も、JICAが派遣する60人の専門家集団が、現地の人々と一緒になって汗をかき、農業、医療、教育に携わっている。それからアフガンの警察官の給与、これがきちんと払えないと治安もおぼつかないが、8万人の警察官の給与の半分を日本が払っている。』(薮中三十二著『国家の命運』新潮新書)
これらは、以前からの政権の時代の話である。
最大の問題は、どこか別の国々ではなく、わが国のほとんどすべての人がこの事実を知らないことである。

不正経理その後(第448回)

11月24日・本日付で、森田知事から千葉県議会議長あてに『業者プール金及び職員等からの返還金の状況について』文書による報告が届いた。
これは不正経理によって県民に与えた損害金の返済状況がどうなっているかという報告書である。
不正経理調査特別委員会の最後の会合で、私は会議の終わりに念を押した。
「返済状況の報告は、議長にしてください」 と。
議長は議会の代表であり、やはり県民の代表だからだ。
その11月1日現在の報告が届いたのである。
不正経理による業者プール金は、知事部局と行政委員会で4億1347万4000円。
公営企業と警察本部で488万円、県立学校が253万円の合計4億2088万4000円である。
このうち返還に応じることを表明している業者は34社。
既に返還された金額は1億4854万1000円なので約35%が返還されたことになる。
最終的に返還されない金額が出てしまったら、それも職員が返還することになっている。
不正経理による県民への損害額は、知事部局と行政委員会と公営企業で9億540万円。
このうち返還されたのが、知事部局と行政委員会と公営企業で7億3880万6000円で、約82%である。
警察本部は2448万7000円で、これはすでに返還が終わっている。
県立学校は、1377万5000円で、返還額が1167万9000円で約85%が返還された。
この報告がいつまで続くのか分からない。
報告を要請した私としてもが、報告を見て楽しいものであるはずもない。
しかし、たとえ返還が一切終わったとしても、大きな教訓として忘れてはならないことだと思うのである。

民主党 もう一つの挫折(第447回)

朝刊各紙は、総務省の作業部会が「光の道」構想をめぐり、NTTの光回線部門を別会社にしない報告案をまとめたことを報じた。
原口前総務相の方針が覆され、また一つ民主党の挫折が増えたことになる。
民主党が公約や方針として打ち出した事項がここまで頓挫し続けると、さすがに政権の体をなしていないと言わざるを得ない。
今回の総務省作業部会の報告案で一番問題なのは、光ブロードバンドの普及をいつまでにどこまで実現するかという期限が示されていない点、利用料金をどこまで引き下げるかという目標が示されていない点である。
これらはNTTというその市場の中で一番力の強い企業の努力に任されているのだ。
ルールは一番強い者がつくるというのであれば、政治の役割は一体何なのかと思う。
この報告案には、国民の視点、利用者側の視点が欠落している。
この作業部会を利用して勝利をおさめたものは一体誰だったのか?
少なくとも国民ではない。
またしても民主党は国民の利益を守れなかったのである。
それでも民主党は政権党なのである。
民主党の挫折は民主党内にとどまらず国民生活に直結するという厳しい現実を直視してほしいのだ。

日経・毎日の実に不思議な記事(第446回)

11月18日の日経新聞に何とも奇妙な記事が掲載された。
その後、20日にも毎日新聞が報じたのだが、その見出しが『「反物質」0.2秒 閉じ込め成功』というのである。
記事内容は、理化学研究所などが参加する8カ国の国際研究チームがジュネーブにある欧州合同原子核研究機関の装置を使って、「反水素原子」をつくり、それを内部に強い磁力を加えられる瓶のような装置に0.2秒閉じ込めたという話である。
こうした素粒子物理学の世界は謎だらけで非常に興味深い話が山ほどある。
まず、物質には電荷が逆になった「反物質」(つまり水素原子はプラスの電荷、反水素原子は電荷がマイナスという具合)があるのだが、なぜか自然界では発見されていない。
なければならないものなのに、現在のところ宇宙のどこにも発見されていない。
これは不思議である。
したがって、今回の研究チームのように人工的に作ってやらなければならない。
そして、それを0.2秒も特殊な瓶に閉じ込めたのである。
こういう何の役に立つのか分からないことに世界中の頭脳がまじめに取り組んでいるのが実に楽しいし凄いことだと思う。
毎日新聞の記事では、理化学研究所の山崎上席研究員のコメントが出ており、その結論部分はこうである。
『物質と反物質は、宇宙の誕生当時は同じだけあったと考えられており、山崎さんは「今後の実験で、なぜ宇宙に物質だけが残っているのか解明する手掛かりが得られるかもしれない」と話している。』
宇宙誕生時、つまりビッグバン直後には、物質と反物質があった。
ところが、今は反物質は見つかっておらず、物質しかない。
それを解明できるかもしれないというのである。
映画スターウォーズのなかでは反物質はエネルギー源とされており、もし反物質の製造が安価でしかも十分に制御できるならエネルギー問題は解決ということになる。
ただ、一説によれば0.25グラムの反物質をつくるのに、兆の単位を遥かに超える莫大な電気代がかかるという。(「宇宙は何でできているのか」村山斉著≪幻冬舎新書≫)
うまくしたもので、人類はそうそう楽に人生を送れないということになっている。
また、むしろ楽をしてはいけないのだろうとも思うのである。