Monthly Archives: 6月 2009

見落とされた地方行政のムダ

かねてから愚かなことだなと思っていることがある。
岡山県紙の「山陽新聞」を読んでいたときこういう記事が目に止まった。
『犯罪被害者相談窓口 政令市半数止まり』(2009年5月23日付)というのである。
これは2005年の犯罪被害者等基本法施行後、相談窓口を設置するということになっているにもかかわらず、18政令市のうち半数の9市しか設置されていないという記事だ。
ちなみに千葉県は設置しているが、千葉市には設置されていないと記事は書いている。
しかし、考えてみれば千葉県の相談窓口が千葉市に設置されていて、その上なおかつ千葉市が設置する必要があるのだろうか?
どうせ設置するなら、常磐線側の松戸市に設置するとか県南に設置する方が県民にとってよほどありがたいのではないか。
このように、わが国の行政は県と政令市に同じ行政サービスを課すことが非常に多い。
そして、政令市のほとんどが県都にあるのである。
これは、まさに二重行政そのものだ。
おそらくこうした事例は犯罪被害者相談窓口に限らず、まだまだ数限りなくあるであろう。
こうして見ると、はたして政令市が良いものかどうか。
政令市であるが故の行政の無駄にもきっちりとメスを入れていかねばならないと思うのである。

千葉県の「ベストとワースト」

佐藤拓著「データ比較 「住みにくい県」には理由がある」(祥伝社新書)を読みました。
これはさまざまなデータで都道府県を比較している、今までありそうでなかった本のように思います。
(私が気づかなかっただけかも知れませんが)
そこで、この本のデータで千葉県がベスト5、ワースト5に入っている主な事項を抜き出してみました。
1)千葉県人のエンゲル係数の高さは全国5位。
2)千葉県人の負債額の多さは5位。
私には何となくうなづけます。
3)中学2年生の体力・運動能力は全国1位、小学5年生は5位。
4)不登校・いじめ・暴力行為の総数はワースト5位。
学校にも光と影があるのが非常につらい。
5)「自動車盗」「ひったくり」ともにワースト2位。
6)不法投棄産業廃棄物残存量がダントツのワースト1位。
首都圏で人口密度が高く、かつ人の入りやすい山野が残っているということでしょうか。
7)国際結婚の比率が3位。
これは成田の影響でしょうか?
8)一人の産科・産婦人科医師の扱う年間分娩数の多さが5位。
単純に医師不足ということです。
9)高齢者人口の割合の少なさが5位。
10)県民一人当たりの国民医療費の少なさが2位。
11)介護施設の定員の少なさが3位。
これからの急速な高齢化に今から備えなければなりません。
以上のようなランキングが数多く出ております。
千葉県人や千葉県の雰囲気が少しは見えてきた気がしました。

藪からリニア

実は、もう一つリニアモーター問題がある。
森田健作千葉県知事がマニフェストに書いた成田?羽田間を結ぶリニア構想である。
千葉県議会6月定例会でも幾人かの議員が取り上げ、知事は『成田と羽田の運用一体化』を訴えた。
成田と羽田を10分、20分で結べば二つの空港が一体として運用できるというのである。
しかし、残念ながら私はそうは思わない。
その理由は、この議論にはコスト意識が欠落しているからだ。
考えてみて欲しい。仮に、1兆円前後の金をかけて(いや、たとえ100億円であったとしても)リニアで両空港がつながったとする。
すると、成田に降り立った海外からの旅客が空港でリニアに乗り換えて10分間の乗車の後に羽田空港に到着したとする。
この一連の流れと、海外からの旅客を乗せた航空機が成田に降りるのではなくそのまま羽田へ行く というのとどちらが望ましいだろうか?
成田→リニア→羽田は、建設に途方も無い費用を要し、しかも旅客にはわざわざ乗換えの時間と安くないであろう乗車券を買ってもらうのだ。
一方、単純に旅客機が成田をパスして直接羽田に降りれば時間も費用もかからない。
つまり、リニア構想はまかり間違えば成田不要論に結びつきかねないのである。
実は、リニア構想は限りなく「薮蛇」・・・かもしれない。

リニアの異常な語られ方

時折、JR東海が計画するリニア中央新幹線の話題がテレビや新聞にでる。
その報道のされ方が私の心を暗くする。
南アルプスを迂回するかトンネルで抜けるかというルートの比較が常に金額ベースなのである。
甲府から茅野、飯田の伊奈谷ルートは5兆7400億円、甲府から茅野、木曽福島の木曽谷ルートが5兆6300億円なのに対して南アルプスをトンネルで貫く直線ルートは5兆1000億円だなどという金の話ばかりである。
金で比較すれば、何となく直線ルートで決まりと言うイメージにさせられるし、実際、国土交通省記者クラブでの大臣会見などを見てみると記者の質問も最初から直線ルートがベストと言う前提のやり取りとなっている。
もう完全に報道のされ方に洗脳されているように思えてならない。
南アルプスがどういう自然を有し、どういう山岳地帯かという考察がすっぽり抜け落ちているのである。
自然を守ることは金では換えられないことなのに。
しかも、相手は偉大なる赤石山脈だ。
無残なスーパー林道の建設にも信じられない思いだったが、いまだにその反省が無いということがさらに信じられないのである。
私は率直に言って、このリニアの計画自体が『コンコルドの錯誤』の繰り返しになるような気がしている。
巨大プロジェクトであるがゆえに失敗すると分かっていてストップできなかった人間の愚かさと悲劇 である。
それでもコンコルドは金を捨てるだけで済んだ。
しかし、リニアは金だけではなく自然破壊という途方も無い代償がセットになっているのだ。
こと山岳に関しては、せめて南アルプスと北海道の大自然だけは守り抜きたいのである。

党内融和を図るコツ

民主党のように政治理念や政策が一致していない集団が団結することは至難の業である。
ちょっとしたことで瓦解しかねない民主党が、とりあえず政党たりえている最大の理由は当選可能性の高さにある。
これは悪口でも何でもなく、これまでの各種分析で言われている自明のことだろう。
たとえば、小選挙区の当選可能性の調査などでも、ずっと地元で地道に活動してきた既存の候補者よりも、まだ誰だとも決まっていない民主党候補者X氏の方が支持率が高いということがしばしばある。
実際、私の住む松戸でも何十年も消防団として、商店会の一員として地域活動を続けてきた自民党候補者を、告示直前に他市から引っ越してきた民主党女性候補があっさりと弾き飛ばしてしまった。
少なくとも有権者はこの女性がどういう人物かという理由で選んだのではなく民主党だという一点で投票したのだと思われる。
この当選可能性の高さがなければ民主党は雲散霧消してしまう危険性をはらんでいる。
そんなときに党首に就任した小沢一郎氏は確かに民主党をきっちり束ねた。恐るべき豪腕といえよう。
では、どのように団結させたのか?
第一に、政治理念をきっちり詰めないこと。
第二に、政策をきっちり詰めないこと。
この二点につきる。
言い換えれば、厳密に詰めてしまうと政治理念の違い、政策の違いが表面化してしまい、その溝はまず埋まらないので、この手法以外に選択の余地はなかったということだろう。
民主党が以前から掲げている政策の中に高速道路の無料化というのがある。
今回の民主党「生活・環境・未来のための緊急経済対策」(骨格)にはこう書かれている。
『首都高速、阪神高速を除く高速道路料金を、原則無料にする。これにより、生活コストを引き下げ、また地域活性化を促進する。』
この一文を読むと、なんとなく良さそうに思う。
しかし、ここで思い出さねばならないのは4年前の2005年10月に日本道路公団は6つの株式会社に分割され既に民営化されているのである。
そして東日本高速道路株式会社には2700人、中日本高速株式会社には2300人、西日本高速株式会社には2600人など民営化した会社には1万人を超える社員がいるのである。
高速道路を無料化するとはこれらの社員1万人をもう一度国家公務員に戻すというのであろうか?
もし公務員として再び雇用しなおすというのならそれは絶対に間違った政策だ と思う。
民意がそんなところにあるとは到底思えない。
「いや、そうではなく、道路維持費や高速料金相当分を税金で補てんする」と言うのなら、今度はわざわざ株式会社にした意味が無い。
このように政策の一つ一つを詰めた議論を真剣にしなければ、日本の将来は極めて危ういと言わざるを得ないのである。