月別アーカイブ: 7月 2007

民主党が問われるもの

民主党の政策はマユツバだ。
それは以前あれほど騒いだ「高速道路料金の無料化」一つ見ても分かる。
まるで実現していない。
言うだけで実現させなくてよいのなら、何だって言える。幾らでも言える。
しかし、それでは責任政党ではないし、そういうことを平気でやるから政治が信頼されないのである。
私ども公明党がやって来たように、そしてやっているように、せめて「高速道路料金の無料化」を訴えたのなら、その実現に向けて党首を先頭に全民主党議員が駅頭・街頭に立って署名運動をやるなり、大キャンペーンを打つなり、少なくとも国民に対して努力をして見せて欲しいのである。
そうでなくては公約が泣くし、そうでなくては政治家ではなく単なる政治屋である。
今回の参議院選挙に対する民主党のチラシを見ると、今回もまた色々と勇ましいことが書かれている。
残念ながらというかやはりと言うか「高速道路料金の無料化」はない。
そのかわり、「月額2万6000円の子ども手当を支給します」という。児童手当て(現行小学校卒業まで)の改正に4度も反対しているのに。
そのほか「高校の授業料を無料にします」「アメリカにつき従うかたよった外交をやめます」「へき地の医師不足を解消します」「パート・契約社員と正規社員を均等待遇にします」そして、面白いのはすでに実現している「奨学金は希望する人はすべて受けられる制度にします」というものまである。
最後の奨学金はともかく、民主党が問われるのは、これらの公約はどういう状態になったら実現させるのかと言う点なのである。
これまでのように「野党だから実現させられない」というのであれば、今回は参議院選挙であるので、たとえ民主党が勝っても実現させなくてよいことになってしまう。むしろそれが狙いなのかもとも思えてくる。 しかし、それでは公約でもなんでもない。ただのほら話である。
民主党には「これら公約は、この参議院選挙において民主党がこういうふうなったら実現します」というところまで明確にして欲しい。そうでなくてはこれまでのやり方から言って到底信じることができないのである。

今後のわが国最大の課題(第245回)

わが国における今後の最大の政治課題は「格差是正」である。
それはどこかの党が政治キャンペーンに使っているようなミクロの話ではない。
ひとつは地域間の格差是正であり、いまひとつは世代間の格差是正である。
かつて、本ホームページの「独り言」で指摘したように、国民健康保険一つとっても一国多制度ならぬ一国多々多々制度である。
市町村と言う小さな単位では収拾不能であるから都道府県単位にしようと言うのだろうが、弱いところが集まっても弱い集団なのであり、たとえば北海道と東京を一つの括りにするとかさらに鳥取を一緒にするといった単位を考えねばどうしようもないところまで来ていると思う。(地名は単なる例示です。他意はありません。さらに言えば、これらは地方行政や首長たちの失政の結果でもなんでもない。言い換えれば首都圏の首長の行政手腕でもなんでもない。)
都道府県単位が立ち行かなくなれば道州制と言う発想につながるかもしれない。あるいは、立ち行かなくしたうえで道州制に移行させるのが狙いかもしれないが、それも結局は単なる延命措置でしかない。
この解決方法は、要するに強いところと弱いところの組み合わせしかないはずなのであり、そしてどこが強くてどこが弱いか一線を引けない場合には一国一制度にするしかないのである。
もし仮に、これ以外に正解があるとすれば現在とは逆の地方優遇である。地方優遇により地方の人が都市部より医療機関に通う頻度が増えれば、医療機関が地方に進出するインセンティブが働くかもしれない。
ただ、この問題点は優遇の度合いであり都市部や首都圏が許容できる範囲で、かつそのようなインセンティブを働かせるような優遇が決められるかどうかが焦点となろう。これが地域間格差をどう是正していくかというテーマである。
世代間格差も極めて深刻である。
年金、介護、医療、そのほか若い世代がどこまで頑張りきれるかに思いをいたせば、政治の責務はあまりに重く、しかもスピードを迫られる。
私は、わが国の債務管理、地方の債務管理をどうきめ細かく行なえるかが焦点になると考える。
確かに国も地方も膨大な借金を抱えている。
まず第一に、これをいつまでにどれだけ減らせばよいのか、あるいは減らすべきなのかを明確にしなければならない。
これがきめ細かく合意形成されていないと、好景気で自然増収となっているにもかかわらず増税を課されたり、その逆になったりする。
いずれにせよ、若い世代には一体どこまで負担させられるのかがまるで見えてこないのである。
平成18年1月に所得税の定率減税が半減し、6月に住民税減税が半減した。その同じ平成18年に市県民税の均等割りの見直しをし、老年者控除を廃止し、65歳以上の非課税措置を廃止し、65歳以上の公的年金等控除額を見直しした。
何で一度にこういうことを行なうのか?あまりにもいっぺんにやりすぎではないか?と思ったのは私だけではないのではないか?
要するに、いつまでに赤字をどこまで減らすかと言う国のおおもとの財政再建計画がないのであろう。
きめ細かくやると言うのは、「景気の動向により税の自然増収がここまで増えれば、たとえば老年者控除の〇〇年の廃止は見送ります。しかし、自然増収がこれこれの程度にとどまれば実施させていただきます。また景気回復によって廃止したものを復活させます」という国民への理解の求め方を言うのである。
政府税調も一度に決めてしまわないと食い逃げをされてしまうと言う発想は止めた方がいい。
同様に政治家も、若い世代に必要以上の負担増させられないという具体的数字を示しながら、国民に負担を求めるべきである。
そうして、理想としてはこれ以上の増税を行わないと言う前提に立った財政再建計画を定め、それに基づいた厳密な債務管理を行なっていくべきであろう。

答えの出ない浸水問題

かれこれ15年以上経つのに未だに忘れられない議論がある。
平成3年9月11日の松戸市議会での公明党・上原勝議員と宮間満寿雄市長(当時)とのやり取りである。
前月8月23日に時間当たり53.5ミリと言う豪雨があり、栄町西地域に広範囲にわたる浸水が起こった。
そこで上原議員が「降水量以外に原因があったのではないか?」と糾したのである。
それに対して宮間市長がこう答弁している。
「松戸市の治水問題の中で、私が一番心配をしていることがあるわけでございます。(中略)江戸川の水位が上昇をする、上昇してしまっている、樋門が全部閉まっている、そこに大雨が降った場合であります。いわゆる出どこがふさがれているわけですから、(中略)8月23日の問題は、まさにそのときに当たったわけであります。(中略)北千葉導水路と坂川との接点にありまする樋門の管理、これを早く開けなけきゃいけないと私は思うのであります。建設省は、これに対する管理規定を持っておりまして、(中略)改正してもらわなければならないんでありますけれども、(中略)いわゆる浸水しないと樋門を開けられない計算になっているんですね。(中略)
ですから、こういうふうな施設は幾らつくってもやっぱりその管理について規則一点張りですとそういうことになるわけであります。(以下略)」
ここで私は二つのことが気にかかる。そしてそれゆえにこそ、この15年以上前の議会でのやり取りが脳裏に残っているのである。
第一に、最後の市長の発言にもあるように、所詮立派な施設をつくっても、管理する側が的確に自然の猛威に対応しなければ、災害が防げないばかりか被害を増大してしまう と言う事実である。そして、たとえ熟練した担当者がいたとしても自然の複雑な動きに100%的確に対応することは不可能であるだろうから、今後も施設があるがゆえに被害をもたらす事例、被害を増大する事例はでてしまうだろうということである。
第二に、そもそもなぜ江戸川の水位が上昇していたのかと言う検証がなされていない点である。仮にこれが、上流部のダムの放水にかかわってくる問題だとすれば、松戸市のような下流域の浸水問題まで考慮しながらいくつものダムの放水を的確に行うことなどできるはずがない ので、浸水問題に限って言えば、ダムがなければ良かったということ結論になってしまう。
この辺で私の思考は堂々巡りを始める。そうして平成3年の松戸市議会でのこのやり取りが未だに脳裏に残ったままなのである。