月別アーカイブ: 8月 2008

千葉県内の医師不足の現状(第223回)

千葉県下の医師不足はどういう状況だろうか?
千葉県の医師数は9322人であり全国第9位である。
しかし、これは総数での比較であって、これを人口10万人に対する医師数でみると153.5人。これは全国で45位、千葉県より少ないのは茨城146.7人、埼玉135.5人のみとなる。
これをさらに千葉県内の第二次医療圏でみてみよう。すると、多い順に安房294.9人、千葉230.3人、香取海匝169.3人、市原157.1人、東葛北部138.5人、印旛134.2人、東葛南部131.0人、君津112.0人、山武夷隅長生97.0人となる。
つまり、全国平均の206.3人を上回っているのは安房、千葉の二つの医療圏のみで印旛以下は47位の埼玉をも下回る。
埼玉県は千葉県同様首都圏にあり、県民人口の多さからどうしても10万人単位では医師数が少なくなってしまう。
ところが千葉県内の第二次医療圏の中には人口の多さから医師数が少ないという状況にないところも散見される。
もっと言えば、安房は亀田総合病院があり、香取海匝は旭中央病院が(たまたま)あるという事情で上位なのであって、やはり県内どこも医師数の絶対数が不足しているのである。
このほどようやく千葉大医学部の定員増が視野に入ってきた。
予算の伴うことなので結論が出たわけではない。しかし、少なくとも5人の定員増というこの程度は実現せねばと思う。
当然、大学に対する交付金や助成金も必要だろう。
そしてさらにその先には、いよいよ「医療費の水準の是非」という根本的な議論がでてくるのであろうか。

結局は企業誘致?(第222回)

地方の力をどう見るかには様々な議論があるだろう。
一つの試みとして地方税収を平成13年と平成18年のそれぞれ決算ベースの金額で比較してみよう。
単純な増減では47都道府県で、増が「22」、減が「25」である。
北から見ていくと、まず北海道がマイナス223億円で眼を覆うばかりだ。
東北は青森以外はマイナス。一番大きいのは秋田の105億円の減。
関東は全てプラス。東京が5262億円、最も少ない群馬で66億円のプラス。
中部では富山、石川、静岡、愛知、三重が増額。愛知が1384億円の増なのに対して長野は234億円の減少だ。
近畿は奈良、和歌山以外は増額。大阪の645億円増に対して奈良は61億円の減。
中国は岡山、広島、山口の瀬戸内海に面しているところは増。例えば広島は283億円の増額。
これに対して鳥取58億、島根81億円の減。
四国は全てマイナス。一番大きく落ち込んだのは高知の74億円だ。
九州は福岡、大分、沖縄がプラス。福岡は295億円の増額だったが、鹿児島は102億円の減額だ。
以上の比較を金額ではなく比率で見てみるとベスト5が愛知12.7%、東京12.0%、栃木11.2%、沖縄0.96%、広島8.9%の増。
ワースト5は島根10.6%、高知9.96%、秋田9.43%、鳥取9.28%、長野8.65%の減である。
さて、その一方で都道府県の人口を平成12年と平成17年の国勢調査で比較して見ると人口の増えているのが14都府県ある。
北から栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、岡山、沖縄であり、この14の自治体のうち京都を除いて13都県で税収が増えていることがわかる。
さらに人口と税収の関係に注目すれば、人口が減っているにもかかわらず税収が増えた県が8つある。
北から青森、茨城、富山、石川、広島、山口、福岡、大分である。
人口減は当然のことながら個人住民税の減少となって表れる。にもかかわらず地方税を伸ばすには相当の法人の頑張りが必要だ。
ましてや低金利政策により利子割部分が大きく減少しているなかでのことである。
結局、ここでの勝ち組は企業の誘致に成功した(過去から現在まで含めて)都道府県ということになる。
すると企業誘致による活性化政策は果たして過去のものだと言い切れるのかどうか?
現実の数字の上ではまだまだ十分有効であり、むしろこれから先もいつまでも有効であり続ける可能性が高いように思うのである。

燃油高騰の凄まじさ(第221回)

本日、銚子市漁協で燃油高騰の凄まじさを伺った。
明確に燃油が上がり始めたのは平成15年3月1日のことだ。
これまで大体1キロリットル2万8000円 からせいぜい3万円台だった燃油が、このとき4万2500円(以下すべてキロリットルの金額)と、4万円を突破した。
平成16年7月1日には4万5000円となり、平成17年4月20日に5万4000円、同年8月25日に6万1000円となった。
そして平成19年2月1日からは1本調子に上がり続け、6万4500円、6万6900円、7万900円、7万2900円、7万6900円。
平成20年に入り1月1日には8万1900円だったが6月1日には早くも9万1900円、その半月後の6月16日にはとうとう10万2900円、さらに7月16日に11万3900円である。
今日は8月1日だが、すでに8月4日には12万2700円 になることになっている。
これだけ一気に値段が駆け上がればほとんど100%の漁業者が一溜りもない。
緊急避難的に、たとえばA重油の増産に財政出動するなど、すでに政府与党が決定した対策以外にも次の手を考えねばならない。
そして、今後は食糧自給などに直結する各種産業用燃油を備蓄するなど国をあげた産業政策も必要となろう。