今朝の新聞に興味深い医療制度の記事が二つあった。
一つは、舛添厚労相が「後期高齢者医療制度に代わる新しい医療制度を創設する」との方針を明らかにしたとつたえる日経新聞の記事。
いま一つは、入院費包括払いの調整係数を段階的に廃止するという厚労省の方針をつたえる毎日新聞の記事。
国民健康保険は、どの自治体においてもとうの昔に赤字に転落しており、一般会計から多額の負担をせざるを得ない現状だ。
そして、この状況がいよいよ行き詰ってきており、国民皆保険を維持するためには誰かが今以上の負担をしなければならない。
後期高齢者医療制度を別の制度に代えたからといって、この構図は変わらない。
さらなる負担先をどこにするかという議論においては、当然負担を押し付けられたところに不満が残るのであって、不満軽減という観点からは新しい制度にもそれほど期待できないだろうというのが一般的な見方だと思う。
ここはセンセーショナルなものではなく、むしろ将来の医療のあるべき姿をじっくりと国民的議論に広げていくことが重要だろう。
軽度な病気には保険を適用せず、どうしても必要な治療なのに高額であるために自己負担では受診できない治療に保険適用するなど議論すべきことはそれこそいくらでもある。
一方、入院費包括払いの調整係数廃止は、おそらく全ての関係者が「いよいよ来たか」と思ったことであろう。
これは『一日当たりの入院医療費を定額にして、患者に必要以上の注射や検査をしても病院の収入が増えないようにする制度(毎日新聞記事)』である。全国で1428の病院がこの制度を導入しているが、『収入が前年度を下回らないよう報酬をさじ加減する調整係数が病院ごとに設定されている(毎日新聞記事)』。この調整係数を廃止しようというのである。
調整係数が廃止されれば、その次の段階では、包括払いの『定額』を減らすのだなと誰でも思う。
果たしてそれで良いのかどうか。
医療というきわめて重要な課題がなかなか国民的レベルの議論にならないのは、やはり診療報酬改定が国会での議決事項になっていないことが要因だろう。
この根本部分をこそ糾していかなければならない。
「自分たちの国の運営は自分たちの手で」という気概で取組んで行きたい。
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