月別アーカイブ: 7月 2013

千葉県警の検挙率低下

今日の毎日新聞は『(千葉)県警 検挙率 全国最低』と報じています。そして、その主要因は『自動車盗など増加』だとしています。
検挙率を上げることは非常に重要なことです。それは、県警自身が真剣に考えていることです。
その上で、私は『検挙率とは何か』と言う本質的な部分にも目を向けるべきと思っています。
そもそも検挙率が非常に低い自動車盗の増加は、ストレートに検挙率の低下に跳ね返ってきます。
その一方で、再犯率の高い『窃盗』で犯人が検挙され、取り調べで余罪が明らかにされれば、余罪が多ければ多いほど、たとえ一人の逮捕であっても検挙率が上がることになります。
また、検挙率の分母は犯罪の認知件数なので、認知件数が多ければ検挙率は低下し、認知件数が少なければ検挙率が上がります。
つまり、検挙率を上げること自体を目的にしてしまうと認知件数を減らすようなインセンティブが働きかねません。
基本的に、警察の検挙率は殺人が90%、窃盗が60~70%、自動車盗は10%程度となっています。
やはり検挙率と言う一括りの見方ではなく、犯罪ごとにきめ細かく見ていく視点が大事なのだと思います。
(写真は、松戸東警察の移動交番車です)

「自治体破綻」における日米の差は? 

デトロイト市の破綻は、地方自治に携わる者にとって間違いなく重要関心事でしょう。
デトロイトは、ゼネラルモーターズが本社を置く典型的な企業城下町です。
その中核企業の業績悪化や雇用喪失による税収や人口減、その裏返しとしての失業者や福祉関係経費の増大というのが基本的構図です。
米連邦破産法第9条によれば、地方自治体の破産は債権者の債権回収を停止し、債務の削減や期限延長など整理計画を立てることになっています。
一方、わが国には自治体を破産させる仕組みがありません。国の信用を後ろ盾にして債務削減をせずあくまでも借金返済を続けることになっています。2006年に財政破綻をした夕張市も債権者に返済を続けています。
夕張市の事例を見れば、金融機関は安心して自治体に金を貸せます。同時に、自治体も低金利で借金できるメリットがあります。
米国は「貸した側にも責任がある」と言う立場であるのに対して、わが国には財政当局と金融機関の『癒着』が感じられなくもありません。しかしながら「自治体・金融機関ともにメリットがある」「モラルハザードが問題にならないように破綻自治体には罰を与える」という考え方です。
どちらが良いかは何とも言えません。
ただ、アメリカ型でも今回のデトロイトのように破綻します。つまり、破綻自体は制度によってなくせるものではないということは確かなようです。

個人の健康、制度の健康

今日の朝刊各紙は、わが国の2012年での『平均寿命』が、男性は79.94歳で世界第5位、女性は86.41歳で世界第一位だと報じています。
各年齢の人が平均してあと何年生きられるかというのが『平均余命』。そして、その年に生まれた0歳児の『平均余命』が『平均寿命』です。しかし『平均寿命』は、あくまでも肉体的に何歳まで生きられるかというものであり、本当は『平均寿命』からケガや病気の期間を差し引いた『平均健康寿命』によって世界各国が競い合う方が望ましいわけです。
無理に延命措置を講じて長生きしても、それがその人にとって本当に幸せかどうかは何とも言えません。
さて、同日の新聞に『国保移管、5年以内に』(日経)という記事がありました。
8月21日に設置期限ぎれとなる社会保障制度改革国民会議の最終報告の内容が少しずつ報道されるようになってきました。『市町村が運営する方式を改め、都道府県に移す方針を明記する』のだそうです。
ここで注意すべき点は2つあります。
第一に、最終責任を負うのが知事なのか、あるいは都道府県単位で組合をつくって、その長が責任を負うのか。もし、後者であるならその『議会』がちゃんと議論できるのか、『長』が本当に責任を果たせるのかが極めて重要課題です。
第二に、運営単位を大きくしても徴収率を維持・向上できるのかです。
国保は私たちの健康に欠かせない制度です。その私たちの健康を守る制度もまた、財政的にも制度的にも『健康』でなければなりません。制度と個人の両者の『健康』が守られて、はじめて『改革案』たりうるのだと思います。

『平和』への危機

今日の朝日新聞の『西沙諸島に埠頭 中国、実効支配アピール』と言う記事を読んで平和への危機を強く感じました。
公明党誕生の淵源が、『平和の希求』であることはご承知の通りです。
細川政権樹立の際に、私たち地方議員はそのまま『公明党』を名乗りましたが、神崎代表を中心にした国会議員団は、新党『平和』を名乗りました。それは私たちの原点がそこにあるという意義を込めてのことでした。
今朝の記事は、『平和』の維持が、これからますます難しくなっていくことを想像させます。
『(西沙諸島に)5千トン級の客船が停泊できる大型埠頭が完成。』『中国メディア各社が爆竹を鳴らして完成を祝う場面や大型船からトラックが上陸する様子などを放送した。』『中国政府は昨年6月、ベトナムやフィリピンと領有権を争う西沙、南沙、中沙の3諸島を「三沙市」に格上げすることを承認』
中国が、南シナの島々を実効支配しはじめてから、これまでのところ重大な軍事的衝突は起こっていません。それは、フィリピンと中国、ベトナムと中国では軍事力の差がありすぎるからです。しかし、今後の経済成長により、それに見合った軍事力をベトナムやフィリピンが持つようになれば話は変わってきます。
中国が、領土問題に関する野心を強めていけば行くほど、アジア諸国の経済発展がアジアの軍事的緊張を高める懸念もはらんでいるのです。

不信感増長の連鎖を断ち切るには

今朝の読売新聞の1面トップは『薬効論文データ改ざん』でした。
データを改ざんして、あたかもその薬が効くように見せかけ、その薬を売りさばくという構図です。
データ解析を担当していたノバルティスファーマの元社員からは「聞き取りができなかった」と記事にはあります。
この種の問題に共通していることは、何か不祥事があった時、個人であれ組織であれ、それを隠したくなります。そして、不祥事を隠したとき、不祥事そのものよりも隠蔽工作の方が重大な問題になるということです。
隠蔽工作が発覚すると、他にもまだ隠しているのではないか、まだ不祥事があるのではないかと言う『不信感の増長』が起こってしまうのです。不信感が更なる不信感を呼び起こし信頼が崩壊していくことこそ重大問題なのです。
iPS細胞のときにも、おかしな研究者によるマスコミの誤報につながりました。
現実の問題として、社会や団体の中に悪意を持った人が混在してしまうのは避けようがありません。
悪意の人が問題を起こしたときに、当該組織がどう対処するのかを人々は見ているのです。
今回のデータ解析をした人にもぜひ事実を語ってほしい。そして、改ざんをしたなら改ざんするに至った経過も含め明らかにしてほしいと思います。このままではわが国医療界の信用失墜は取り戻せません。
(写真は、海浜幕張の某企業への通路にあるだまし絵です)