月別アーカイブ: 10月 2011

つくされたのかTPP論議

民主党内で、「賛否両論併記のまま首相の判断にまかす」という流れが明確になってきています。
しかし、TPP論議はまだまだつくされていないというのが私の印象です。
TPP賛成派の方々の主張を注意深く聞くようにしていますが、正直なところ、今の私にはTPP参加がどれだけメリットがあるのかよくわかりません。
少なくとも、短期的にはメリットはほとんどないように思います。
週刊ダイヤモンド11月5日号のコラム『超整理日記(584)』によれば、『TPPによる輸出増加効果はたった0.4%』という刺激的な内容です。同コラムの野口悠紀雄氏の非常に説得力ある結論です。
それに対して、賛成派は『TPPによって輸出が増えるのだ』という論拠を示していないように思います。
もしかしたら、日本がこれまで営々と築き上げてきた既得権を壊してしまおうという意図なのかもしれません。
確かに、生半可なショックでは我が国の非効率分野のシステムを修正することは極めて難しいことでしょう。
しかし、第一に、だからと言ってメリットが見込めない国際協定を結ぶ必要はどこにもありません。
第二に、TPP参加によってどれだけ我が国の非効率分野が修正されるのか誰も示したことはありません。
第三に、経済が順調ではないこの段階において、自らが非効率分野の改革をできないとすれば、TPP参加による効果も怪しいと言わざるを得ないように思うのです。
やはり、徹底した議論をぶつける時間があまりにも短い、(わざと短くしている?)と言わざるを得ないのです。

根尾谷活断層のこと

日本活断層学会の根尾谷断層見学会に参加しました。
立命館大学の岡田篤正先生、東京大学の島崎邦彦先生たちのお話を直接伺いながらの見学で非常に有意義でした。
写真は、見ただけでは何のことやらわからないかもしれませんが、横ずれ断層がどの程度だったのかを測っているところです。
根尾谷というと道路を分断した高さ6メートルの縦ずれの断層が有名です。
国内で初めての地震断層ですし、あの写真は当時世界中で有名になりました。
現在では、人工的な改変や高齢化による手入れの困難さなどにより、以前から調査をしている人たちの解説なしにはなかなかわからない場所も増えてきていました。
しかし、2万年間に少なくとも4回は動いているのですから、確かに『活』断層です。
みんな考えることは同じようで、「ジオパーク登録を目指しています」とのことです。
千葉県もうかうかできません。

臨海部の防災対策をどうするか

今朝の千葉日報に次のような記事が掲載されました。
『初動体制チェックへ手引き 石油コンビナート防災で県』
千葉県石油コンビナート防災アセスメント検討会議の報告です。

私は、ずっと京葉臨海工業地帯の防災をどうするかに頭を痛めていました。
3・11の大地震は、東北沖が震源だったにもかかわらず、東京湾奥へも3メートル弱の津波が押し寄せました。
現実の問題として、東京湾については高潮のハザードマップすらないことはこれまでも書いてきたとおりです。
そこで、私は6月議会の代表質問で県を質したのです。
『仮に、津波火災が本県臨海部で起こるとすれば、石油コンビナートの損傷、被災船舶からの燃料流出、高温反応炉の浸水による爆発、冷却すべき化学物質が低電によって常温発火、(略)といった出火原因が考えられます。(略)そこでお伺いいたします。(略)第4に、臨海部の工業地帯の石油化学事業者などへ有害物質流出防止対策の立案を指導すべきと思うが、どうか』
石油コンビナートの損傷への対応として、もちろん初動体制も重要です。しかし、それと同時に、有害物質が流出すると船舶が近寄ることすらできませんので、初動以前の取り組みも必要だと私は訴えたのです。
東京湾の脆弱さをどう克服するか?
この問題については、二度、三度と、しつこいくらいに取り上げなければならないようです。

第4回一期議員研修会資料の作成

来月の一期議員研修会では『県と市町村の関係』というテーマで持ち時間が2時間与えられました。
地方自治法での説明や地財法での財政面での県と市町村の関係を話すと大体10分あれば話し終わります。
あとは市と県がぶつかり合っている大阪などの問題を解説して10分。
残りの100分はどうすればよいのかと思いました。
ようやく今しがた、話の内容がまとまり、それに合わせたパワーポイント54枚の作成が終わりました。
疲れ果てました。ものすごい眠気です。
一期議員研修会とはいえ、最新の情報を出したいと思いますし、私自身の新しい財政指標の試み(たとえば充当可能基金に光を当てた指標など)も新しいアイデアとして提案したいと思っています。
このように標準的なテキストのない研修というのは苦労もしますし、ある意味ではいい加減かもしれませんが、ともに考え意見を出し合う中から面白いものが飛び出る期待感があります。
しかし、さすがに第4回目ともなると、単一のテーマでは話すアイデアもネタ切れに近いものがあります。
次の第5回は、こちらから提起するというよりも参加者に語ってもらう研修ということになるでしょう。

『核燃料の再利用 「割高」』

表題は、今日の朝日新聞夕刊の一面トップ記事の見出しです。普通の人は、「何をいまさら」と思うでしょう。
記事によれば『国内の原発54基からは毎年約1千トンの使用済み核燃料が出ていた。これを①全て再処理する②半分再処理し、半分は約50年間、施設で保管する(中間貯蔵)③発電から54年後にすべて直接処分』という3つのパターンを試算したといいます。
その結果、①は1キロワット時1.98円②は1.39円③は1~1.02円で、すべて再処理すると地中埋設のケースの2倍の費用が掛かるというのが原子力委員会の試算だそうです。
仮にすべて再利用した場合でも最終的には地層処分が必要になりますので、どの方策を選んだとしても③の費用はかかります。
また、再利用については使用済み燃料を加工して、未使用のウラン燃料に混合するのですからコスト的に見合うはずがありません。
ではなぜ、コスト的に見合わないことを行っているのかが問題です。
記事にありましたように『毎年約1千トンの使用済み核燃料が出て』という部分です。
使用済み核燃料とはプルトニウムのことですが、プルトニウムの利用法は世界全体を見渡すと実は核燃料ではなく核兵器への転用なのです。
すると、日本が大量のプルトニウムを持つことが、国際社会のルール上どうなのかという問題が出てきます。
核兵器の廃止や核拡散防止を訴えている国がその主要原料ともいうべきプルトニウムを大量にため込んでいるのは好ましいことではありません。
そこで、これは兵器に転用するのではなく燃料として再利用するのだという【論理】を国際社会と(辛うじて?)共有しているのです。ですからコスト的に見合わなくとも使用済み核燃料の再利用をしているのです。
プルサーマル燃料は原子炉の運転も難しくします。本当は再利用したくないというのが運転する側の思いだとも言います。
核燃料の再利用をしなければ原子力の平和利用や原子力の研究が進められない、再利用すればコスト高になる、この二つの矛盾がますます顕在化してきました。
津波による原子力発電所の破壊は、実に広範囲な分野に大きな影を落としてしまいました。