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官僚転職時代

「村上龍、金融経済の専門家たちに聞く」(メール編421回目)の質問は『天下りを規制する公務員制度改革関連法案の効果は?』 というものだった。
専門家7氏の回答は確かに参考にはなったが、やはり食い足りない部分もあった。それは、官僚が有能であるかどうかといった能力面について言及する人が多かったのに対して、官僚と言う職業にかかわる特殊性に触れている人が皆無だった点である。
官僚の特殊性というのは、彼らに課せられた守秘義務についてである。
官僚の中には当然、国家機密にかかわる情報を持ったまま天下りする者がいよう。
そうした者は能力云々だけではなく、それら情報が実際問題として国益に反して漏出しないような歯止めが必要だ。それらが「法律的な守秘義務を課してあるから良し!」という考え方に私は立てないのである。
したがって、専門家数人の意見のなかに出てきた『新たな公的機関を設立するより民間に委託するほうが効率的』、『公務員も民間企業の社員と同様に流動化することが重要』、『なにも公務員のために新人材バンクを設ける必要はなく、一般のハローワークや人材紹介会社などを通じて再就職を図っていくようにすればいい』と言った考え方には賛成しかねるのである。
彼らの能力と言う点で言えば、幾人かの専門家も指摘しているように、総務省所管の人材バンクの実績が過去7年間で1人と言う結果からみて、天下り先が彼らの能力をあてにしているのではないことは自明である。
結局、彼らの持っているさまざまな情報こそが価値を持っているのである。
これら情報の守秘義務をも視野に入れた上で、今回の質問に対する専門家の意見を聞きたかったと思うのである。