月別アーカイブ: 12月 2011

八ツ場ダムの2年間から見えるもの

今朝の朝刊各紙のトップ記事は八ツ場ダム建設再開でしたが、各紙の関連記事の取り上げ方を見てみます。
読売『ダム地元「無駄な2年」』
朝日『八ツ場 疑心暗鬼』
毎日『「2年間なんだったのか」』
日経『前原氏反発「閣議決定させぬ」』
千葉日報『不信感拡大を懸念』
3月11日のあの大災害を経験した今、水害は起こらないという反対派の主張よりも、自然界にあっては『なんだって起こる』ということに多くの方が気づいたのではないでしょうか。
さて、深い意味はないのかもしれませんが日経新聞の見出しは、これで前原氏の最後の砦のような主張が覆ってしまった、というように受け取れます。
国交大臣時代の羽田・成田内際問題での発言も結局うやむやになり、外務大臣時代には外国人からの献金問題で辞任。
政調会長になってからはTPP交渉途中離脱発言が批判され、今また八ツ場ダム建設再開です。
印象としては『切れ者』とか『やり手』というイメージではなく、その正反対になってしまったような気がします。
もっと言うと、前原さんに限らず、鳩山さんにしても菅さんにしても小沢さんにしても仙谷さんにしても、民主党をリードしてきた人たちはみな結局ダメな人たちだったという印象なのです。
古賀茂明著「官僚の責任」(PHP新書)に出てくる仙谷さんの発言があります。
『民主党には政治主導などできない。能力がないから、そんなことをしたらメチャクチャになる。勝手にさせたら憲法違反だったなんてこともやりかねない連中なんだ・・・』
ここで思い出すのは、小沢さんが党首時代に自民党総裁の福田さんとの会談後に行った記者会見での発言です。
すなわち『民主党に政権担当能力はない』
正直なところ、私には今朝の朝刊各紙の見出しは八ツ場ダムではなく民主党政権を語っているように思えてならないのです。
『無駄な2年間』『疑心暗鬼』『2年間なんだったのか』『不信感拡大』
八ツ場ダム建設再開は、ダム云々ではなく、実はもっともっと大きな問題を赤裸々にしてしまったのかもしれません。

千葉県のがれき処理

東日本大震災のがれき処理が進んでいません。
東北のがれきを東北だけで処理することは不可能ということで全国あげて処理しようとしています。
私たちも一日も早くがれき処理が進むように全国に呼び掛けています。
12月20日に神奈川県知事が受け入れ方針を明らかにしたと報じられています。東京や静岡はすでに受け入れ方針を決めています。
では千葉県はどうなのかということです。
本県は、本県自体が被災県です。
震災がれきの処理が必要だったのは29団体、約14万5000トンにのぼりました。それが11月末段階でようやく10団体で処理が終わり、残るは19団体です。大変なご苦労の中で関係する方々が来年3月末処理目指して努めているところです。
東北のがれき処理について、千葉県は受け入れないのかというお声をいただきますが、この状況ではなかなか受け入れ余力がないのが現実です。
東北の被災県を軽視しているわけでは決してありませんが、まずは県内の処理を早期に進めたいと思っています。
どうぞご理解いただきますようよろしくお願いいたします。
最後に一言。
地震に限らず、水害でも町の数か所に膨大な「がれき」が集められます。しかし、これは被災者にとってはかけがえのない宝物でもあります。このブログにおいても「がれき」という言葉を使ってしまいましたが、わかりやすさのための表現ですので、なにとぞご容赦ください。

活断層と居住適地問題

12月19日の朝日新聞朝刊は『活断層真上に225学校』と報じました。
また『専門家が全国調査 200メートル以内は1005校』というのが第二の見出しです。
1980年に東大が『日本の活断層』という本を出版してから30年以上経っているわけですが、地上の構造物、公共施設の設置について活断層の存在には何の配慮もしてこなかったわけです。
もっとも、今さら言うことでもありませんが、そもそも活断層だらけの日本の国において、町全体が活断層というところすらあります。
長野盆地や松本盆地に沿って断層が走っていますが、平坦な盆地は人の居住に適していますし、山と山に囲まれた地域ではそもそもそれ以外にどこに住めばよいのかということになります。実際問題、長野は動いた断層を削って、県庁などの主要施設がすでに建っています。
活断層による地震は、海溝型と異なり非常に長い年月の中で起こります。つまり、海溝型であれば「数百年に一度起こっている」という言い方ができますが、活断層の方は有体に言えば「いつ起こるかわからない」ということです。
もっと言えば、断層が動いたから地震が起こったのか、地震が起こったから断層ができたのか、という根本問題もあります。
阪神淡路の時に一番揺れた部分と断層が切れた部分と異なっていたという事実は、地震の結果として断層ができたという証拠にもなり得ます。この点は専門家に議論をお任せしなければなりませんが。
1995年に阪神淡路大震災を経験した今、可能な限り活断層付近に住まない努力は必要でしょう。また、今回起こった液状化の問題は、木造建築の脆弱性を露わにしました。
ただでさえ居住適地の乏しい日本列島においてはきわめて頭の痛い問題です。
今後ますます進む高齢化を考えると、医療や介護体制の整備状況とも考えあわせて、今後はいよいよ居住地の選択まで迫られることになるのかもしれません。

『ステップ2』という言い方

ある会場でお話をさせていただいたとき、最後に「何かございましたら、ご遠慮なくおっしゃってください」と言いました。
すると小学3年生のかわいらしいお嬢さんから「『ステップ2』って言いますけど、ステップは幾つまであるのですか?」と訊かれました。
ここでいう『ステップ2』というのは、東京電力福島第一原発の終息への工程表で「ステップ2」を完了したという民主党政府の宣言のことです。
この政府のステップ2終了宣言について、12月16日に国際原子力機関の天野之弥事務局長が「東京電力と日本政府は大いなる進展を果たした」と歓迎する声明を出しました。なにか『出来レース』のように思えてなりませんが・・・。
すると18日に、今度は福島県知事が「収束という言葉を発すること自体、実態を知っているのかという思いだ」と不快感を示したと報じられました。
さらに、この「ステップ2」イコール「収束宣言」については、世界からはそんな簡単に収束するはずがないではないという冷ややかな評価をされています。
そういう世間の流れの中にあって、小学校3年生から「ステップは幾つまであるのか?」と尋ねられたのです。
正直なところ、私は答えられませんでしたので、のちほど工程表を届ける約束をして、そのうえでステップ2以降に何ステップあったとしても収束までには何十年もかかるという話をしたのでした。
さて、調べてみますとステップは2までで、その後は中長期的対応とあるだけなのです。
つまり、ステップ1が3か月程度でできるもので、ステップ2が6か月くらいできるもので、そのほかの実現出来そうもない事柄はすべて十把一絡げに『中長期的対応』としているだけなのです。
それでもって「ステップ2を終了しました」と高らかに宣言する、その神経はまったく理解できません。
受験のテスト用紙を前にして、「名前が書けました」と喜んでいるようです。
「ステップは2までしかないんだね」という回答を、私は実に情けない気持ちで小学生に届けるのでした。

千葉の農業・漁業金メダル

農林水産統計年報をみていると産出額で、千葉県には全国トップレベルのものが多いのに今さらながら気づかされます。
全国で1位は、園芸もので『日本なし』『だいこん』『えだまめ』『かぶ』『さやいんげん』『しゅんぎく』『なばな』『パセリ』『ストック』『きんせんか』『らっかせい』。
全国2位は、『ねぎ』『さつまいも』『ほうれんそう』『にんじん』『すいか』『さといも』『とうもろこし』『しょうが』『みつば』『びわ』『ししとう』『そらまめ』『街路樹苗木』『洋ラン』『パンジー』『鶏卵』『うずら卵』
全国3位は、『キャベツ』『やまのいも』『庭園樹苗木』『ガーベラ』『生乳』。
魚の方を見ても千葉はさすがに水産県です。
全国1位が、『かたくちいわし』『まいわし』『すずき類』『いせえび』『ぶり類』。
そのほか、『このしろ』という魚が全国第3位だそうです。
3位まででこうなのですから、これを10位まで見ていくと目がくらくらします。まさに切りがありません。
都市化が進んだわが松戸市も、だいこん、えだまめ、かぶ、ねぎの主産地だとして名前が出てまいります。
これほど食べ物の生産量が多いと、何とも言えず実に誇らしい気がするのです。農林水産業に携わる人たちに心から感謝いたします。
(写真はらっかせいの収穫風景です)