月別アーカイブ: 12月 2010

ようやく実った障害者自立支援法改正(第462回)

臨時国会最終日の12月3日、議員立法により『障害者自立支援法』の改正が実現した。
これまで介護や介助のサービスを受ける場合には原則1割の自己負担とされていた。
すると障害の程度が重く、より多くのサービスが必要な人ほど高い負担となる弊害があった。
結果として必要なサービスも受けない、受けられないという問題があった。
今回は、こうした応益負担から応能負担への改定が実現した。
また低所得者対策として市町村民税非課税世帯の負担もなくなることになった。
もう一つの重要な改正点は、自立支援法の対象に発達障害が加わったことだ。
かねてから主張してきたことだけにうれしいかぎりである。
自閉症や注意欠陥・多動性障害などのある人を持つ家族の大変さは意外と知られていない。
高齢化が進む中で、こうした人たちの自立が実際に支援できる体制は極めて大事だと思う。
新たなサービス提供を創設するためにも、法を支えるマンパワーにも目を配っていきたい。

共産党と軍との関係(第461回)

今朝の読売新聞は、韓国の於青島(オチョンド)沖の排他的経済水域における韓国海洋警察庁と中国漁船の激しい攻防を報じている。
『海洋警察官4人が中国漁船に停船命令を出し、小型ボートで漁船に乗り込もうとしたところ、漁船員から突然、鉄パイプで殴られるなどの暴行を受け負傷した。漁船は警備艦に突っ込んだ後、沈没した。』
読売新聞は7面にも関連記事を掲載している。
『これまでも中国漁船の取り締まりに手を焼いてきた。2008年9月には、取り締まり中の海洋警察官が船員から殴られ死亡するなど悪質なケースもあった。』
過日、海上保安庁艦船に漁船が突っ込んだ事件があったが、実は中国漁船にとっては珍しい行為ではないのかもしれない。
漁船船長が中国では英雄視されているのがその証左とも見える。
こうした事件を未然に防ぐには、韓国との協力体制も必要となろうが、やはり海上保安庁の位置づけを見直す必要があると思う。
財政負担なく抑止力を高めることが期待できる『見直し』 があると思うのだ。
一番の問題は、中国政府がこうした暴力的状況をコントロールできているのかという点である。
もし漁船に対するコントロールすらできないとなれば、それこそ中国共産党による軍の掌握は極めて脆弱という懸念が生じる。
わが国における文民統制(シビリアン・コントロール)は中国においてはどのような形態になっているのか?
党が軍をどれだけグリップしているのかという、より根源的な不安要素がまた頭をもたげてくるのである。

地方の時代の「やってみなはれ」(第460回)

「やってみなはれ」
サントリーの二代目・佐治敬三氏がビール製造に踏み出す時に創業者・鳥井信治郎氏に言われた言葉だという。
今朝の読売新聞に『アクアライン値下げ 民主党が地方負担案』という記事が出ていたのをみて、この言葉を思い出した。
12月11日に同じく読売新聞は『アクア値下げに暗雲 割引には地元負担 民主党議員が反発』という報道があり、アクアラインの値下げにはすでに重苦しい雰囲気があった。
アクアライン利用料金は現在社会実験を行っており、ETC搭載の普通車は800円である。
その社会実験が来年3月をもって終了する。
すると、通常料金の普通車3000円(ETC搭載は2320円)に戻ってしまう。
これについて、民主党政府はもし値下げをするなら地元負担でやれ、というスタンスだった。
一方、民主党議員たちは「昨夏の衆院選で高速道路無料化を掲げ、政権交替した。到底、受け入れられない。」と反発していた。
マニフェストが国民との約束である以上、この主張は当然のことだ。
ところが、今朝の新聞によると、当の民主党が「料金は元に戻す。値下げするなら地元負担だ」と決めたというのである。
一体何がどうなってしまったのか、さっぱり分からない。お手上げである。
民主党政権は、マニフェストに掲げた国民との約束を常に裏切ってきた。
そして、さらに政権交代後も「総理を辞めたら議員も辞める」「普天間は県外」「消費税を10%に」「TPPに加入」など様々な方針を打ち出しては、何か言われると「いや、それは・・・」と発言を後退させ、何も言われなくとも態度をあいまいにしてきた。
千葉県におけるアクアライン利用料金もまた、同じパターンが繰り返されたわけである。
さて、それではアクアラインの料金値下げをどう考えたらいいのだろう。
私には単純に「やってみなはれ」とは言えない。
財源が乏しい中で、いま地方の時代を迎えている。
「非常に重要な施策ですからあなたはおカネを出しなさい。私は出しませんが。」では通用しないだろう。
「非常に重要な施策ですから私もおカネを出します。あなたも出しなさい。」ならまだ理解できる。
しかし、本当の判断基準は「非常に重要な施策ですから、たとえあなたが出さなくても私はやります。」と言えるかどうかだと思う。
この判別基準をもとに、国から「やってみなはれ」と言われたときに、その事業が本当に必要なものかどうかが判別されるのではないだろうか。
財政難の時代かつ地方の時代とは、つねに自らがやるという覚悟を求められる時代とも言えるのである。

変質する脅威(第459回)

従来から、防衛問題における「脅威」の定義については、「意図」と「能力」に分解されて論じられてきた。
しかし、「意図」については、そう簡単に分析できるものではない。
また、「意図」は国際情勢に大きく左右されるのでいきなり「ゼロ」から「100」へ、ということは現実的にも十分ありうる。
そんな中で、ここ20年かけて営々と軍事費を増大させ能力的に非常に脅威たりうる国が出現した。
しかも現実の問題として、その軍事力を背景に排他的経済水域の拡張を図り始めている。
まさに、わが国をめぐる『脅威』についての質が変化していることは間違いない。
夕刊各紙は防衛計画の大綱策定を伝えているが、脅威の質がどのように変化したのか?という観点から大綱を見ていく必要があるだろう。
ソ連との関係から北海道には陸上自衛隊の主力が配置されているが、今後もこの配置でよいのか?
インターネットの発達によって今後ますます激化するサイバー攻撃にどう対処していくか?
わが国の領土問題に直接対峙している海上保安庁の体制をどうするのか?
領土を拡張しようという意図を持つ国が、もしあるとするならばその意図をどうしたら解消させられるのか?
そのために、「わが国は」ではなく、同じ脅威を受けている「われわれは」どういう能力を持てばよいのか?を冷静に判断する必要がある。
『脅威』の質が変われば、当然対処の仕方も変わってくる。
アジアの安定と平和を維持することは強い決意と相応の努力なくしては出来ないのだとつくづく思うのである。

エンゼル・ヘアー 大和国では濡羽色(第458回)

16日の朝刊でちょっと目を引いたのが朝日新聞社会面の囲み記事『湘南地方に謎の黒砂』である。
記事では、『謎』とされていたが、私はこれは火山のスコリアだとすぐに思ったし、研究者も確証がなかっただけで心の中では99%火山だと思っていたはずである。
小学生のころミステリーゾーンというアメリカのTV番組があって、多分そこで見たのだと思うが『エンゼルヘアー』という不思議な物質が空から降ってくる話があった。
金色の髪の毛のような物質で、手で受けるとたちまち溶けてしまうのである。
その後、それは極小の蜘蛛の出す糸だということが判明するのだが、湘南地方に降った黒砂のように主成分がケイ素だった場合は、それは蜘蛛の糸ではなく火山毛の可能性が高い。
ハワイで発見されたのものは金色の髪の毛状のもので『ペレ?の毛』と呼ばれる。ペレ?とはハワイの神話に登場する女神である。
ペレ?の毛は、高温のマグマが飛び散った際に長く引き伸ばされた状態で冷却されて固まってできる。
太さは0.0091ミリ、重さは10センチで0.002グラム程度という。
したがって、瞬時に飛ばされると上昇気流に乗ったりして意外なところまで飛ぶらしい。
わが国でも目撃例があるが、わが国の火山毛の色は黒いというのが興味深い。
溶岩の温度や質の違いなのであろう。
細くなればなるほど光を透過しやすくなるので金色に近づくことが予想される。
今回の謎の物質は髪の毛状ではなく、砂状なのでまさに『黒』となるわけである。
おそらく富士山から飛ばされてきたのであろう。
では、なぜそれが静岡県でもなく東京都や千葉県でもなく、神奈川県の湘南地方だけに降ったのかというのは、まさに風に聞いてみるしかない。
不思議は本当に面白く、世の中は不思議に満ち満ちている。