従来から、防衛問題における「脅威」の定義については、「意図」と「能力」に分解されて論じられてきた。
しかし、「意図」については、そう簡単に分析できるものではない。
また、「意図」は国際情勢に大きく左右されるのでいきなり「ゼロ」から「100」へ、ということは現実的にも十分ありうる。
そんな中で、ここ20年かけて営々と軍事費を増大させ能力的に非常に脅威たりうる国が出現した。
しかも現実の問題として、その軍事力を背景に排他的経済水域の拡張を図り始めている。
まさに、わが国をめぐる『脅威』についての質が変化していることは間違いない。
夕刊各紙は防衛計画の大綱策定を伝えているが、脅威の質がどのように変化したのか?という観点から大綱を見ていく必要があるだろう。
ソ連との関係から北海道には陸上自衛隊の主力が配置されているが、今後もこの配置でよいのか?
インターネットの発達によって今後ますます激化するサイバー攻撃にどう対処していくか?
わが国の領土問題に直接対峙している海上保安庁の体制をどうするのか?
領土を拡張しようという意図を持つ国が、もしあるとするならばその意図をどうしたら解消させられるのか?
そのために、「わが国は」ではなく、同じ脅威を受けている「われわれは」どういう能力を持てばよいのか?を冷静に判断する必要がある。
『脅威』の質が変われば、当然対処の仕方も変わってくる。
アジアの安定と平和を維持することは強い決意と相応の努力なくしては出来ないのだとつくづく思うのである。
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