日別アーカイブ: 2010年12月16日

エンゼル・ヘアー 大和国では濡羽色(第458回)

16日の朝刊でちょっと目を引いたのが朝日新聞社会面の囲み記事『湘南地方に謎の黒砂』である。
記事では、『謎』とされていたが、私はこれは火山のスコリアだとすぐに思ったし、研究者も確証がなかっただけで心の中では99%火山だと思っていたはずである。
小学生のころミステリーゾーンというアメリカのTV番組があって、多分そこで見たのだと思うが『エンゼルヘアー』という不思議な物質が空から降ってくる話があった。
金色の髪の毛のような物質で、手で受けるとたちまち溶けてしまうのである。
その後、それは極小の蜘蛛の出す糸だということが判明するのだが、湘南地方に降った黒砂のように主成分がケイ素だった場合は、それは蜘蛛の糸ではなく火山毛の可能性が高い。
ハワイで発見されたのものは金色の髪の毛状のもので『ペレ?の毛』と呼ばれる。ペレ?とはハワイの神話に登場する女神である。
ペレ?の毛は、高温のマグマが飛び散った際に長く引き伸ばされた状態で冷却されて固まってできる。
太さは0.0091ミリ、重さは10センチで0.002グラム程度という。
したがって、瞬時に飛ばされると上昇気流に乗ったりして意外なところまで飛ぶらしい。
わが国でも目撃例があるが、わが国の火山毛の色は黒いというのが興味深い。
溶岩の温度や質の違いなのであろう。
細くなればなるほど光を透過しやすくなるので金色に近づくことが予想される。
今回の謎の物質は髪の毛状ではなく、砂状なのでまさに『黒』となるわけである。
おそらく富士山から飛ばされてきたのであろう。
では、なぜそれが静岡県でもなく東京都や千葉県でもなく、神奈川県の湘南地方だけに降ったのかというのは、まさに風に聞いてみるしかない。
不思議は本当に面白く、世の中は不思議に満ち満ちている。