月別アーカイブ: 7月 2011

何年先まで見通すか?

松戸市立病院の建替え問題がクローズアップされています。
専門家や市民の代表での検討委員会では600床という規模が必要という結論でした。
ところが、提言では触れられていませんでしたが、将来の高齢化を考えるとはたして600床で足りるかという問題提起もありました。
本当は、松戸市の高齢化の状況が知りたいのですが、さすがに情報がありません。とりあえず千葉県の状況を見てみたいと思います。
【人口減少について】
平成19年5月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した『日本の都道府県別将来推計人口』によれば、2020年代の後半にはすべての都道府県で人口が減少するのだと言います。
わが千葉県は、2015年までに人口が減少する42道府県に入っています。
この段階で人口が増えているのは、東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、沖縄県しかありません。
【生産年齢人口について】
15歳から64歳までを生産年齢人口と言います。
千葉県の生産年齢人口は、東京都、神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県に次いで第6位です。
人口で見ればそうなりますが、全人口の中に占める割合の2005年から5年ごとに全国順位を見ていくと、2005年では第4位の多さです。
その後は4位、10位、7位、8位、9位、10位とじりじり下がり続けます。
【老年人口について】
老年人口の占める割合の多さを見てみます。
2005年の段階では43位ですが、以下、41位、38位、38位、38位、38位、29位と少しずつ老年人口の割合が多い県に移行してきます。
以上を概括すると、全国的に見て千葉県は人口は減りにくいのに、生産年齢人口は下がり続け、老年人口は上がることがわかります。
やはり病床は多いほうがよいようです。そして、どこまで増やすのかは、医療スタッフの確保状況と財政事情ということになるのでしょう。
もっとも、今から30年先の話まで現代の我々が判断するのも相当無理があるような気もします。

三浦半島の活断層

昨日の朝刊各紙の『三浦半島断層群 地震の確率上昇』という見出しが目に飛び込んできました。
幸いなことに房総半島では現時点においては活断層が発見されていないのに対して、三浦半島では5本の活断層が見つかっています。
北から衣笠、北武、武山、南下浦、引橋断層の5本です。
このたびの中防(中央防災会議)の発表によれば、これら三浦半島の断層群がマグニチュード7.2の地震を起こせば、横須賀市も震度7が予想されるとしています。
一方、横須賀には原子力施設が二つあります。立教大学原子力研究所(原子炉は廃炉に向けて進んでいるはずです)と日本ニユクリアフユエル株式会社の核燃料加工施設です。
前者は武山断層から1.1キロメートルほどのところにあり、後者は衣笠断層から1キロ弱のところにあります。
危険施設は原子力施設に限りませんが、そもそも日本列島に住んでいる限り、どこに危険施設を配置しても心配の種は尽きないということかもしれません。
しかし、阪神淡路大震災の時もそうでしたが、最も揺れた場所は断層の位置から微妙にずれていました。つまり、断層の周辺地域は断層そのものの地点よりも揺れが強い可能性があるのです。
ともかくも中防での発表を受けて、より一層の安全確保に力を入れてほしい、万全を期していただきたいと思います。

清掃工場からのセシウム検出

柏市第二清掃工場(南部クリーンセンター)から7万ベクレルを超える放射性セシウムが検出されたことはショックでした。そして同時に「やはり来たか」という思いもありました。

放射性物質が木の葉や草に集積した場合、それらを剪定したり刈ったりして廃棄物としてステーションに出せば、当然いずれかの清掃工場に運ばれます。
それが日常的に繰り返されれば、清掃工場の焼却灰から放射性物質は当然検出されるでしょうし、焼却炉そのものが放射性物質で汚染されることもあり得ることです。
こうしたことは法令で規制できる話ではありませんし、早晩起こることです。
今回の検出は6月24日に採取した溶融飛灰固化物です。
おそらく6月の上旬にはかなりの濃度に達していたと思われます。
そして、同様のことが近隣の清掃工場で起こっていないかと言うと、流山市のクリーンセンターでも2万8000ベクレルのセシウムが検出されています。(採取7月5日)
この濃度差はもしかしたら単に炉の大きさということになのかもしれません。

いずれにせよ福島原発からの放射性物質の流出が止まっていない以上、こうしたセシウム検出炉はどんどん拡散していくことになります。
まずは、飛灰のしっかりした管理と監視に万全を期さねばなりません。
そのうえで、処理方法を国が明確に示し、処理費用を国が負担することが求められます。
それまでの間、ともかくも東葛6市でお互いの清掃工場の使用をやりくりをしながら、お互いの一時保管場所が満杯にならないようにしなければなりません。
今、第1番に求められるのは国の対策を講ずるスピードです。
その最もふさわしくない人が内閣総理大臣だということにやり場のない絶望感を覚えるのです。

本当は誰も原子力をやりたくない

原子力発電は、本当はやりたくないというのが誰しもの気持だと思います。
その証拠に、原発建設を問う巻町での住民投票も海山町での住民投票も反対が多数を占めました。
刈羽村ではプルサーマルの実施についての住民投票でしたが、微妙に反対が多数を占めました。
「それでもやる」という人も、要するに「必要悪」だということなのだろうと思います。

誰もがやりたくない。
しかし、その一方でエネルギー資源の乏しい日本という国があり、狭い地域に1億を超える人がひしめき合い、昼夜とも照明を使い、冷房を使い、エレベーターやエスカレーターで昇降し、ドアですら自動に開閉するのを当たり前と思っています。
おそらく現代日本においては、産業の上でも生活の上でも停電は絶対許されないことなのだろうと思います。
この実に不条理な選択にどう決着をつけていくかこそ政治の役割なのですが、政府は迷走するばかりです。
海江田経済産業大臣は原発再開に走り回り、菅総理はそれに水を差す発言をする。
そのあまりにも理屈のなさが海江田大臣の7月7日の予算委員会での涙だったのでしょう。

政治というのは理想を追い求めることも大事ですが、現実に生きている私たちのためのものである以上、現実的な対応が求められます。いきなりすべての原発を止めることがどういう結果になるのかまで正確に見通したうえで「やる」「やらない」「どういう場合なら・・・」という政治的な判断をしなければなりません。
そうした誰もがわかる説明抜きに動いたり、止まったり、後戻りしているのが今の政府です。
その根源が内閣総理大臣だというのですから、混迷は深まるばかりです。
日本人の私たちですらどうしようもないと思っているのですから、外国からみれば日本はまさに不思議の国。
ますます投資の対象からはずされてしまいます。

液状化の実際

千葉県環境研究センター 地質環境研究室のKさん(理学博士)に液状化についての最新の知見を伺いました。
Kさんからは、すでに何度もレクチャーを受け、実際に千葉市から浦安市の視察に同行していただいております。
そのたびに新たな発見が増え、液状化に対する見方が深くなります。
今回は、実際に液状化している映像を見せていただきました。
これは、3月11日の当日に、かつて千葉県東方沖地震で液状化した稲毛海浜公園のその後の調査をしていたときに、東日本大震災に出くわしたという、あまりにも液状化の専門家らしい体験により撮影できた映像でした。
かつて液状化した場所は、やはり液状化しやすい場所です。
稲毛海浜公園でも、ある一か所に噴砂が起こり、すぐに止みます。数秒後にその一か所が少し長い線状になって噴砂します。
そうこうしているうちに芝生の部分が隆起し出し、隆起した部分としなかった部分の境目からどんどん砂混じりの水が湧きあがってきます。
地震がおさまってからもしばらく砂混じりの水の噴き出しは続き、公園に大きな水たまりができてきます。
こうした映像を撮影できたのも継続的に調査を続けているからです。
私も、地質研究室の千葉県東方沖地震についての詳細な報告書を知っておりますので、これまで研究されている皆さんの労作業には頭の下がる思いでした。
しかし、今回のレクチャーでは、東日本大震災は当然として、これまでの中越、北海道、宮城、鳥取、芸予などなど、地震が起これば常に調査研究を続けてきており、しかもつい最近まで費用は交通費含めすべて自費、自分の休日を使ってデータや資料を集めていたということを初めて知りました。
こうした地道な研究者の努力に支えられて、県内の災害の分析や対策が立てられることを再確認しました。
私たちは、研究者のみなさんのモチベーションの高さやまじめさにしっかりと答えていかねばならないと決意を新たにした次第です。