月別アーカイブ: 4月 2013

私の原点「小金消防署」

今日は、小金消防署の新庁舎開所記念式でした。
ハワイ通りにある旧消防署ができたのはまだ私が小学生の時でした。
小金の町を見下ろす高い塔が消防署の目印で、小学生の私たちにとってはあの塔に昇れないかなというのが正直な気持ちでした。
担任の武田先生は、「見学させてくださいと君らが言えば昇らせてくれるよ」とおっしゃっていましたが、なかなかできるものではありません。
そんなある日、同級生のS君が「消防署の塔に昇らせてくれるんだけど藤井君行く?」と言うのです。私は「本当に昇らせてくれるの?」と何度も聞き返しました。
そこで、Y君も誘って3人で夕刻の消防署を訪ねたのでした。
S君の話通りに私たちは塔の上から360度の展望を満喫しました。
その塔の上で、なぜS君が消防署に来させてもらえたかを知ることになります。
実は、数日前の火災で小金署に勤めていた消防士のS君のお兄さんが殉職されていたのです。お兄さんは、逃げ遅れた人を救助するために火の中に飛び込んで行ったのだそうです。
そこでS君を励まそうと消防署の人たちが、「友達と一緒においで」と声をかけてくれたのでした。
塔の上で、若い消防士が「君たちは、将来なにになりたい?」と聞きました。
Y君は「タクシーの運転手」と答えました。私は「地下鉄の運転手」と答えました。当時、常磐線の各駅停車は千代田線に乗り入れ銀色の車両が走り始めていました。
「S君、君は何になりたい?」
S君は、すぐには答えませんでした。でも、きっぱりとこう言ったのです。
「ぼくは消防士になる!」

その後、私たちは卒業式を迎え、それぞれの道を歩き始めました。私もS君やY君に会うことはありませんでした。
それから20年たって、私は縁あって松戸市議会議員に初当選しました。そして、市内視察で松戸市消防局を訪問しました。
視察が終わり、何気なく帰ろうとすると、なんとS君がいるではありませんか!
それも松戸市消防局の制服を着て、S君はにこにこして立っているのです。
そうか消防士になったのか。私は言葉に尽くせない思いにとらわれました。
20年前のあの小金消防署の塔に昇った日のことをかみしめるように思い出していました。

情報不足の中国・鳥インフルエンザ

今日の朝刊各紙、たとえば日経新聞には『中国、野鳥からウイルス検出』という記事がありました。
『中国農業省は16日、江蘇省南京の野鳥のハトから鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)を検出したと発表した』というのです。野鳥からは初めてのウイルス検出です。
インターネットで検索してみると、すでに感染者78人、死者16人と報じていますが、私が知りたい情報が本当にありません。感染者がどういう人かも知りたいし、南京の状況を特に詳しく知りたいのです。
いろいろ当たっていくと、週刊東洋経済4月20日号に『4月4日、江蘇省南京市内のマンション敷地内で大量のスズメが突然死する事件が発生した。報道によると、突然、樹木から数十羽のスズメがバラバラと落下、路上はスズメの死骸だらけになった』というにわかには信じがたい内容が掲載されています。
私は、2年前の2011年6月11日の県議会で鳥インフルエンザ問題を取り上げ、次のような発言をしました。
『H5N1のような強毒性ではない、弱毒性のウイルスももちろんありますが、鶏の間で弱毒性のH7などのウイルスが流行してまいりますと、半年ほどで強毒性になっているという事例がメキシコやチリなど幾つかの地域で見られております。したがって、我が国においても、たとえ弱毒性であっても仮に封じ込めに失敗したらいつか必ず強毒性になるという危機感を持って対処していかなければなりません。』この時触れたH7の弱毒性ウイルスが、とうとう今回、強毒性となって中国で猛威を振るっているのです。
これを私たちは手をこまねいて良い訳がありません。まだ渡り鳥の来ない季節であるとか、これからウイルスが弱まる季節を迎えるという楽観論ではなく、中国に対してできる限りの応援をすべきだと思います。
すでに人類とウイルスの戦いは始まっているという意識を持たねばならないのだと思っています。

その花の名は

角を曲がったところのHさんのお庭の木に美しい花が咲きました。
その花が何という花かわかりません。木五倍子(きぶし)にしては、あまりに華やかだし・・・。もしかして白藤?
隣に咲いているのは、多分小手鞠だろうけど・・・と、こちらも「多分」という言葉が必要です。そもそも知っている花の方がはるかに少ないのです。
Hさんのおうちの前を通るたびに非常に気になります。
とは言え、Hさんがお庭に出ていらっしゃればお聞きするのですが、わざわざインターホンを押すのもはばかられます。
以前、染物をなさっている方が「色を知らない人は植物をよく見ていない」とおっしゃっていたことがあります。
植物を知らないと、もっと広範にいろいろなところに鈍感になるのかもしれません。
せっかく四季折々に美しい国に住んでいて、もったいない話です。心の余裕をたとえ僅かでも持ちたいものと思います。

水道事業の統合は可能か

数週間前、大阪が水道事業を統合するという何かの記事を見ました。
正直なところ、「よくぞ実現にこぎつけたな」という思いでした。私には、可能なこととは思えなかったからです。
統合すれば、料金の上がるところと下がるところが出てきます。下がる地域は結構でしょうが、料金の上がる地域は当然反対するでしょう。何もしなければ安いままなのに、統合すれば高くなるのですから。
これが実現するとすれば、その条件はただ一つ。水道料金の安いところからの提案であることです。
この条件と関係なく実現するとすれば、橋下市長の圧倒的人気が実現理由なのかなと思いました。
ところが、週刊東洋経済4月20日号に『目玉の政策が袋だたき 陰る橋下氏の政治力』という記事があり、そのなかで『大きな公約の一つであった大阪市水道局と大阪広域水道企業団の統合がほぼ絶望的になった』と報じられています。
やはり、無理な公約だったかと思った次第です。
このように全体としてはコスト減となる。しかしながら、ある地域では大幅に料金が下がるもののある地域では料金が上がるケースでの賛同を得るというのは常に悩ましい問題です。
水道事業に限らず、国民健康保険事業、介護保険事業などありとあらゆる公共サービスにこの課題があります。
正確でわかりやすい情報をどれだけ住民に開示して理解していただくかが行政のなすべき第一歩です。これなくしては、解決の糸口すら見い出せるものではありません。そして、ケースによっては行政が決めない、という選択肢があってもよいのかもしれません。

経済理論にも賞味期限

週刊ダイヤモンドの『スティグリッツ教授の真説・グローバル経済』は、興味深い連載の一つです。
4月20日号にこんなことが書かれています。
『EUは加盟国の予算を中央一元管理するだけでなく、財政連邦主義をもっと拡大する必要がある。(略)現在のわずかなEU予算でやっていくのではなく、EUレベルの支出をぐんと増やすことが明らかに必要だ。◆銀行監督制度の統合も必要だ。だが、それは共通の監督機関だけなく、共通の破たん処理制度を持つ真の統合でなくてはならない。ユーロ圏共同債、もしくはそれと同等の債権を発行することも必要だろう。』
実に注目すべき発言です。なぜなら、これは現代日本が目指している地方分権に正反対の発言だからです。地方分権を徹底すれば、スティグリッツ教授の意見と正反対になります。
どちらが正しいかはなかなか言えません。おそらく多分どちらも正しくてどちらも間違っているのでしょう。
1980年代には、日本の国内マーケットは人口1億人規模なのでうまく回っている。韓国などのような小さなマーケットではだめだということが常識とされていました。
つまり、人口1億人規模であれば国内でほぼ一通りの産業をもち育てていけるというわけです。日本経済がうまくいっているときは、これは『正しい理論』でした。
ところが、経済成長しているのが北欧や韓国、台湾などの国内マーケットが小さな国ばかりになると新たな理論が生まれます。
国内マーケットが小さいから世界で勝負せざるを得ず、生き残りをかけて必死で頑張る。日本のように国内マーケットが中途半端ではだめだというわけです。
どちらもご都合主義的な理論です。したがって、スティグリッツ教授が正しいかどうかは簡単には言えません。
あえて言えば、ヨーロッパ経済がうまくいかないうちは教授の理論が正しく、うまくいくようになれば教授は新たな理論を打ち立てるのでしょう。でも大切なのは現実の経済なのですが。