経済理論にも賞味期限

週刊ダイヤモンドの『スティグリッツ教授の真説・グローバル経済』は、興味深い連載の一つです。
4月20日号にこんなことが書かれています。
『EUは加盟国の予算を中央一元管理するだけでなく、財政連邦主義をもっと拡大する必要がある。(略)現在のわずかなEU予算でやっていくのではなく、EUレベルの支出をぐんと増やすことが明らかに必要だ。◆銀行監督制度の統合も必要だ。だが、それは共通の監督機関だけなく、共通の破たん処理制度を持つ真の統合でなくてはならない。ユーロ圏共同債、もしくはそれと同等の債権を発行することも必要だろう。』
実に注目すべき発言です。なぜなら、これは現代日本が目指している地方分権に正反対の発言だからです。地方分権を徹底すれば、スティグリッツ教授の意見と正反対になります。
どちらが正しいかはなかなか言えません。おそらく多分どちらも正しくてどちらも間違っているのでしょう。
1980年代には、日本の国内マーケットは人口1億人規模なのでうまく回っている。韓国などのような小さなマーケットではだめだということが常識とされていました。
つまり、人口1億人規模であれば国内でほぼ一通りの産業をもち育てていけるというわけです。日本経済がうまくいっているときは、これは『正しい理論』でした。
ところが、経済成長しているのが北欧や韓国、台湾などの国内マーケットが小さな国ばかりになると新たな理論が生まれます。
国内マーケットが小さいから世界で勝負せざるを得ず、生き残りをかけて必死で頑張る。日本のように国内マーケットが中途半端ではだめだというわけです。
どちらもご都合主義的な理論です。したがって、スティグリッツ教授が正しいかどうかは簡単には言えません。
あえて言えば、ヨーロッパ経済がうまくいかないうちは教授の理論が正しく、うまくいくようになれば教授は新たな理論を打ち立てるのでしょう。でも大切なのは現実の経済なのですが。


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