日別アーカイブ: 2012年6月13日

ちょっと違う消費税論議

雑誌「WEDGE」2012年6月号に『地方にはどの税を移管すべきなのか?』という磯山友幸さんの評論がありました。
その冒頭で、4月11日におこなわた党首討論の様子が紹介されています。

渡辺氏「消費税は安定財源なのだから地方にふさわしい」
野田氏「それは年金や医療、介護、子育てを全部地方に任せろと言うことですか。年金なんて、そんなことできませんよ」

この党首討論は、おそらく世界の消費税について基本的なところが理解されていないことからこういうやり取りになったのかなと思います。それは、アメリカの州単位の消費税とヨーロッパ型の消費税が同じ土俵の上で評価されているからです。
アメリカの消費税とヨーロッパのそれとはまったく異なっていて、日本の消費税はヨーロッパ型です。
アメリカの消費税は、厳密に言えば消費税ではなく小売課税なのです。小売りの段階で一回だけ課税されるのです。
それに対して、ヨーロッパ型の付加価値税や日本の消費税は仕入れから小売りの段階全てに消費税がやり取りされるのです。その税が順繰りにやり取りされて最終的に消費者が税を払うというシステムです。すべての取引が県内で終わるのなら、その県の中で課税や控除が完結しますが、日本では製造する県、仕入れする県、小売する県が全く異なることは当たり前です。
したがって、消費税はどうしても全国レベルで課税するほかないのです。
単純に安定している財源だから地方財源に、と言う観点では決められないということを渡辺喜美さんは理解していないということがわかってしまいました。また野田総理も多分わかっていないのでしょうね。

首都のみ不交付団体、嗚呼

私が議員になってから、あるいはもっと前の私が大学で経済学や財政学を学び始めてから現在に至るまでにおいて、最も地方交付税不交付団体が多かったのはいつのころだったのでしょうか。
都道府県に限って言えば、私が議員になったころは東京含め4団体ほどが不交付団体でした。
しかしそれ以後は、結局東京都以外に不交付団体が存在していません。
これは誰がどう見ても異常事態のはずなのですが、これだけ不交付団体が東京都のみの状況が続くと、むしろ別の団体が不交付団体になったとしたら、その方が奇異に見えてしまうかもしれません。
「では、どうせよと言うのか?」と問われても明快な答えはありません。
他の団体の努力が足りないと言われてしまえばそれまでです。とは言え、別に東京都が努力しているとは思いません。むしろ財政が豊かであることから、しばしばチョンボをしています。
それも実は東京都の問題ではなく、『財政が豊か』であることも『それゆえにチョンボをしてしまう』ことも、それが首都と言うモノなのだろうと思うだけです。
ただ、まああえて言わせてもらえば・・・・地方消費税と言う税金があります。
消費は消費した人がどこに住んでいるかではなく、どこで消費したかが問題となります。消費した都道府県に地方消費税が集中するのです。
企業にしても本社があるところに仕入れも消費も集中しますので、どうしても本社が集中する首都に消費が集まります。
まあこの辺の分配はもう少し考えてほしいものだと思います。
千葉県も成田国際空港があり、千葉港があり、首都隣接県ですからそれだけで恵まれている部分は多々あります。
だからこそ言う必要があると思うのですが、やはり地方自治体も努力が報われる制度や仕組みがないと知恵も苦労もする気になれないものなのです。