いささか古い話ですが、昨年12月10日の公明新聞に地震予知連会長の島崎邦彦先生のインタビュー記事がありました。
私は、その日のうちに切り抜いて、今でも政治学習会用のバッグに入れて持ち歩いています。
実は、その中に非常に印象深い発言があるのです。
『北米・太平洋の両プレートの境界が広範囲にわたって最大50メートルも動きましたが、地震学者は、そうしたことが起こるとは考えていませんでした。』
『日本海溝付近のプレート境界の大きな滑りは「起こらない」という大前提が崩れてしまった現実を直視し、今後、長期評価の改善を図る必要があります。』
中央防災会議の南海トラフのその後の評価が予想できるような島崎先生のご発言です。
さて、本来起こるべきタイミングに海溝型の地震が起こらない場合、どういうことが考えられるでしょうか?
希望的な理由を考えれば、地震のエネルギーが発散してしまうような『なめらかな滑り』が起こったという見方です。
『なめらかな滑り』によって小さな地震が発生してエネルギーが使われてしまった。したがって、マグニチュード9のような巨大地震はないという考え方になります。
悪い方の理由は、『すべり残し』があったという見方です。
本来、滑るべき部分が全部滑ってなくて、すべり残しが生じる。そのすべり残しが少しずつ少しずつ溜まっていって、やがて一気に滑って巨大な地震になるという考え方。いわゆる『スーパーサイクル説』です。
頻繁に地震が起こっていた東北沖では、従来は巨大地震は起こらないと考えられていました。それが起こってしまったという現実は、もしかしたらスーパーサイクル説が立証されたのかもしれません。
私たちの千葉県沖の地震も本来起こるべきタイミングで起こっていないといわれています。また、東海地震も本来起こるべきタイミングで起こっていません。
これが『なめらかな滑り』によってエネルギーが使われてしまったものなのか、はたまた『すべり残し』によってエネルギーが溜まり続けているものなのかでは、まさに天地雲泥の差があります。
政治家の仕事はあくまで防災減災に努めることであり、原因の究明については地震学者の方々にお願いするしかありません。
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