文章を作るとそれで終わった気になるということがあります。
特に、ある程度きっちりした組織にはまま見られる傾向で、大きな過ちにつながりかねないことすらあるものです。
ちょうど2年前の6月議会のことでした。(2010年6月14日商工労働企業常任委員会)
かずさアカデミアパークの民事再生申し立てについての私と企業立地課長とのやり取りです。
◯藤井弘之委員 公社等外郭団体指導指針というのがあります。これは平成11年3月に正式決定してるんですけど、当然かずさアカデミアパークにも適用するということでよろしいでしょうか。25%以上の企業を準じると。
◯説明者 現状は25%以上出資の企業ということになりますので、現状としては適用されているということでございます。
◯藤井弘之委員 指針の第5の1にこういうふうに書いてあるんですよ。「所管部長は、団体の財務状況、経営状況を常に把握し」って書いてあるんですけど、所管部長は本当にこの規定に従って財務状況、経営状況を常に把握しておりましたでしょうか。
◯説明者 商工労働部長は取締役でございますので、まず1点として、取締役会に出て報告を受けることになります。私どももこれだけ大きな出資者でございますから、会社から報告を受けて、当然私どもは把握しておりますし、把握した中身というのは私ども、所管部長である商工労働部長にも随時報告をしているところでございます。
◯藤井弘之委員 この指針の第7には協議事項について定めてあるんです。1から4まであるんですけども、いずれも所管部長が団体に協議を求める規定になっています。創設から今日に至るまで協議は何回ぐらい行われたのか、年度ごとに教えてください。
◯説明者 創設から協議について何回行ったかというのは、ちょっと手元に資料がございませんので、後ほど御説明差し上げたいと思います。
さて、上記の会議録は、間を端折りましたのでよくわからなかったかも知れませんが、本来財務状況、経営状況を把握しているはずの所管部長が、実は何もやっていないことが委員会終了後に発覚します。
「ちょっと手元に資料がございませんので・・・」と言う資料が、実は存在していなかったのです。
要するに、指針のなかに「所管部長は常に掌握し」と書いてしまえば、掌握したことになってしまう、文章に立派なことを書くと実現したことになってしまうという典型です。
そして、かずさアカデミアパークでの失敗を今回の仕組み債でも繰り返したといえると思います。
ご興味ある方は、平成20年6月14日の商工労働企業常任委員会の会議録をぜひお読みください。