月別アーカイブ: 6月 2012

三番瀬の沈下

3・11以降、三番瀬が沈下しているという話を聞いていました。
地震の現地調査や放射性物質の測定などで3回訪れました。
このほど千葉県環境生活部自然保護課の調査結果がまとまりました。
平成21年2~3月の調査と比べて、三番瀬の水深は平均で27センチメートル深くなり、水深0メートルより浅い部分の面積は46%に縮小していました。
2.69平方キロメートルだった面積が1.23平方キロメートルに半減ですから、明らかに東日本大震災の影響です。
国土地理院は過去100年の日本列島の上下変動を調べ、その変動図をホームページ上で公表しています。
それによると基本的に日本列島のほとんどの部分が低くなっています。
そして、それが特に顕著なのが、北海道の南東部、仙台周辺、首都圏、中京圏、関西圏、福岡周辺などいわゆる日本の中枢部は全部が沈下している地域です。
その一方で、隆起しているのが中部山岳の南部周辺や九州の東半分など人口稠密ではない地域ばかりです。
北海道を除けば、人為的な沈降が想像されます。
また、日本列島は両サイドからプレートから圧力を受けているので引きずられていると言うことがあるのかもしれません。
ここ10年ほどは、GPSの発達により、一層詳しい状況が分かってくることでしょう。
あまりうれしくない情報もどんどん流れ込んでくる時代と言えるかもしれません。

ちょっと違う消費税論議

雑誌「WEDGE」2012年6月号に『地方にはどの税を移管すべきなのか?』という磯山友幸さんの評論がありました。
その冒頭で、4月11日におこなわた党首討論の様子が紹介されています。

渡辺氏「消費税は安定財源なのだから地方にふさわしい」
野田氏「それは年金や医療、介護、子育てを全部地方に任せろと言うことですか。年金なんて、そんなことできませんよ」

この党首討論は、おそらく世界の消費税について基本的なところが理解されていないことからこういうやり取りになったのかなと思います。それは、アメリカの州単位の消費税とヨーロッパ型の消費税が同じ土俵の上で評価されているからです。
アメリカの消費税とヨーロッパのそれとはまったく異なっていて、日本の消費税はヨーロッパ型です。
アメリカの消費税は、厳密に言えば消費税ではなく小売課税なのです。小売りの段階で一回だけ課税されるのです。
それに対して、ヨーロッパ型の付加価値税や日本の消費税は仕入れから小売りの段階全てに消費税がやり取りされるのです。その税が順繰りにやり取りされて最終的に消費者が税を払うというシステムです。すべての取引が県内で終わるのなら、その県の中で課税や控除が完結しますが、日本では製造する県、仕入れする県、小売する県が全く異なることは当たり前です。
したがって、消費税はどうしても全国レベルで課税するほかないのです。
単純に安定している財源だから地方財源に、と言う観点では決められないということを渡辺喜美さんは理解していないということがわかってしまいました。また野田総理も多分わかっていないのでしょうね。

首都のみ不交付団体、嗚呼

私が議員になってから、あるいはもっと前の私が大学で経済学や財政学を学び始めてから現在に至るまでにおいて、最も地方交付税不交付団体が多かったのはいつのころだったのでしょうか。
都道府県に限って言えば、私が議員になったころは東京含め4団体ほどが不交付団体でした。
しかしそれ以後は、結局東京都以外に不交付団体が存在していません。
これは誰がどう見ても異常事態のはずなのですが、これだけ不交付団体が東京都のみの状況が続くと、むしろ別の団体が不交付団体になったとしたら、その方が奇異に見えてしまうかもしれません。
「では、どうせよと言うのか?」と問われても明快な答えはありません。
他の団体の努力が足りないと言われてしまえばそれまでです。とは言え、別に東京都が努力しているとは思いません。むしろ財政が豊かであることから、しばしばチョンボをしています。
それも実は東京都の問題ではなく、『財政が豊か』であることも『それゆえにチョンボをしてしまう』ことも、それが首都と言うモノなのだろうと思うだけです。
ただ、まああえて言わせてもらえば・・・・地方消費税と言う税金があります。
消費は消費した人がどこに住んでいるかではなく、どこで消費したかが問題となります。消費した都道府県に地方消費税が集中するのです。
企業にしても本社があるところに仕入れも消費も集中しますので、どうしても本社が集中する首都に消費が集まります。
まあこの辺の分配はもう少し考えてほしいものだと思います。
千葉県も成田国際空港があり、千葉港があり、首都隣接県ですからそれだけで恵まれている部分は多々あります。
だからこそ言う必要があると思うのですが、やはり地方自治体も努力が報われる制度や仕組みがないと知恵も苦労もする気になれないものなのです。

九十九里海岸の津波対策

今日は、年金や生活保護の問題、防災問題、原発問題など様々な問い合わせがあり、茂原市へ行ってきました。
午後1時すぎから3時過ぎまで十名ほどの方々からのお尋ねやご意見を伺いました。私にとっても非常に実り多い時間でした。
せっかく茂原まで来ましたので、南白亀川の河口、古所海岸を30分ほど歩きながら写真を撮ってきました。
五月晴れの暑い一日でしたのでサーファーや家族連れの皆さんの姿があり、駐車場の車も「柏」ナンバーあり、他県ナンバーありという具合です。
さて、九十九里は海岸のみならず河川も被害を受けましたので、堤防のかさ上げや構造強化を行わなねばなりません。
最も津波の被害を受けた飯岡や北九十九里海岸から始まって、南へ向かって新川、栗山川、木戸川、ここ南白亀川、そして一宮川まで津波対策事業を行います。
海岸については、まずかさ上げに必要な調査設計から手を付けることになります。
ともかく、津波に襲われる地域はいつのことかはわかりませんが、必ずいつかまた津波に襲われます。そして、それで終わりではなく、その先も繰り返し繰り返し襲われるのです。この当然の事実は誰しもが肝に銘じておかなければなりません。
中央海嶺から海のプレートが年間4~8センチ日本列島に向かって進んできます。365日24時間その強烈な力を列島は受けています。この力ある限り地震や津波は繰り返し起こります。
では、この力の方向はなぜ逆に、東から西へと向かわないのでしょうか?あるいはどういう条件なら逆方向へ向かうのでしょうか?
地球はまさに謎だらけです。理屈が分かったからと言って地震が止まるものでもありません。
備えだけは一日も早く急がねばなりません。
(※写真は南白亀川河口と反対に目を転じたところの古所海岸です。)

分社化は競争が担保されてこそ

今朝の朝日新聞に高速3社の2012年3月期決算が報じられていました。
通行料収入の比較で、中日本高速道路会社が7.8%増、西日本が10.1%増だったのに対して、東日本高速道路会社はマイナス5.5%でした。朝日新聞は東日本大震災によって東北地方の高速料金が無料になった影響であり、『東西でくっきり』と報じていました。
高速道路会社の民営化ならびに分社化というものが国民的合意たり得るのは、おたがいに競争することで効率的な経営が促されるだろうという前提があります。
逆に言えば、仮にも経営の効率化が担保されないなら、民営化は全く意味がありません。
ましてや、分社化は意味がないどころか単なる無駄増やしにすぎません。
誰が考えても、分社化すればその分本社ビルが必要でしょうし、その分の経営体制、その分の管理体制が必要となります。
社長は増え、役員は増え、社員ももしかしたら増え、建物も増え、自動車その他ありとあらゆるものが分社化の数だけ増えることになります。
それでもいいという国民的合意は、あくまでもそれ以上に効率化するからだという前提のもとにあります。
朝日新聞の記事は1段のものでしたが、『競争』という観点からの掘り下げた続報記事が読みたいものだと思いました。