月別アーカイブ: 6月 2011

東京湾の高潮対策

6月22日の千葉県議会代表質問で16項目の質問をしました。
その一つが、東京湾の高潮対策についてです。
以下、その内容を書いてみたいと思います。

次に、高潮対策についてお伺いいたします。
台風に際して、深く入り込んだ湾では、沖から吹き寄せる暴風や気圧の低下による海面上昇により高潮被害が大きな問題となります。
わが国における高潮被害と言えば、昭和34年9月の伊勢湾台風であり、5098人の犠牲者をだした台風史上未曽有の災害でありました。
私自身、現地の小学校(南陽小学校茶屋分校)がほとんど水没している写真が、伊勢湾台風が去った2週間後の写真ということで、驚かされた記憶があります。
高潮災害で、もっとも問題なのは、長期の湛水のために、ライフラインの復旧にも長期間かかり、避難も長期にわたるということであります。
伊勢湾台風があれほどの被害を出した一因は、高潮災害と浸水災害との違いが明確に分かっていなかったからだとされております。
さて、東京湾が満潮の時に、高さ3メートルの高潮が来た場合、その浸水面積は、実に2万8323ヘクタールだと伺っております。
そのうえで、現在の状況は、伊勢湾台風当時いささか異なっております。
まず、温暖化のせいもあり、海面が上昇しております。
(今世紀末には18センチから38センチと予想)
また、風速45メートル(時)以上の台風の発生も、当時から比べて倍増しています。
つまり、伊勢湾台風当時よりも、高潮被害の危険性は高まっていると見なければなりません。
その証拠に、2005年8月には、2500人を超える死者・行方不明者を出し、16万戸の家屋浸水をもたらしたハリケーン・カトリーナがアメリカを襲い、
2008年4月には、13万8000人の死者・行方不明者を出したサイクロン・ナルギスがミャンマーを襲い、
2009年8月には、台風8号が、3日間で、実に3000ミリという考えられない大雨を台湾南部にもたらしました。
そこで、お伺いいたします。
第一に、本県の高潮対策はどういう想定でたてられているのか?
また、ハリケーン・カトリーナ以降に見直しがされた部分はあるか?
第二に、防潮堤、水門、陸こうなど施設の老朽化の状況はどうか?
また、老朽化した施設の改修計画はどうなっているか?
第三に、高潮ハザードマップは作成されているのか?
洪水による浸水と高潮との複合的なハザードマップが必要と思うがどうか?
第四に、高潮防災についての普及啓発についてどう考えているか?

東京湾を津波が襲ったら

6月22日の千葉県議会代表質問で16項目の質問をしました。
その一つが、東京湾の津波対策についてです。
以下、その内容を書いてみたいと思います。

『津波には、大きく分けて3つの形体があり、その一つが波状段波であります。
これは、津波が自ら勝手に成長し、幾つもの段をつくりながら高さを増して行きます。
特定の湾内や河川を遡るときに見られる非常に嫌なパターンですが、今回の東日本大震災においても、東京湾奥の多摩川において、この波状段波が遡っていくのを、私もユーチューブの映像で確認しました。
仮に、東京湾に津波が来た場合、まず考えなければならないのは、津波火災であります。
1933年の昭和三陸津波での大船渡や釜石の例、1946年の昭和南海津波での高知県中村の例、記憶に新しい所では1993年の北海道南西沖地震での奥尻島の、あの凄まじい火災など、津波は火災につながることの多い災害であります。
今回の大震災においても1都10県で324件の火災が発生いたしました。
船の重油から火災が発生し、それが町に燃え広がった気仙沼や、いわき市の住宅街の火災など、映像をご覧になった方も多いことと思います。
仮に、津波火災が本県臨海部で起こるとすれば、石油コンビナートの損傷、被災船舶からの燃料漏出、高温反応炉の浸水による爆発、冷却すべき化学物資が停電によって常温発火、そして家庭からの出火といった原因が想定されます。
あの東北の映像を見れば、流された船舶が重工業地帯のパイプ群を破壊することは十分考えられます。
本県でも津波ではありませんでしたが、市原市のコスモ石油千葉製油所の高圧ガスタンクから出火し、隣接のタンクに延焼して、断続的に爆発する事故がありました。
そこでお伺いいたします。
第一に、スロッシングによって油が溢れる可能性のあるタンクは現在どのくらいあるのか?
揺れの想定を見直して、調査をする考えはあるか?
第二に、スロッシングによる火災への対策はどこまで進んでいるのか?
第三に、地震ではなく津波による火災についてはどういう対策を考えているのか?
第四に、臨海部の工業地帯の石油化学事業者などへ有害物質流出対策の立案を指導すべきと思うがどうか?
第五に、今回の大震災では、県内石油精製所の火災や物流の滞りなどでガソリン不足、燃料不足が大きな問題になりました。
その際、県は業界団体に燃料放出などを要請いたしましたが、そもそも石油販売団体等と災害協定を結ぶ中で、優先的な提供を受けるような協定の締結をすべきと思うがどうか。』

以上、こんな質問をいたしました。

九十九里浜をどう守るか

津波が九十九里浜を襲った場合、どういうことが起こるのか?
リアス式海岸ではない、どこまでも続く砂浜、平坦な地形。そこに津波が来るとどうなるのかという答えが仙台市若林区の津波被害だったと思います。
私は、会派の同僚議員とともに、若林区の荒浜新という住宅地を訪ねました。
この荒浜の平坦な田園地帯を、高さ10メートルほどの津波が猛スピードで襲い、仙台東部道路まで一気に押し寄せました。
もしここで自分が津波に襲われたら絶対に助からないと思いました。
あたりに鉄筋の建物がありませんし、そもそも4階建て以上の建物もありません。
そして、西側の仙台東部道路までの距離、2キロ半はずっと平坦な地形です。
津波から逃げ切れるはずがありません。
海岸に立つと荒浜の海岸線は直線であることがわかります。
一方、本県の九十九里浜は弓の形に湾曲しておりますので、津波が来るとエッジ波が発生する恐れがあります。
エッジ波は、津波が沖の方向に戻らず、再び沿岸に向かうため、繰り返し海岸が襲われます。つまり、九十九里は、仙台の荒浜よりもさらに不利な地形になっています。
とは言え、美しい海岸線の九十九里浜に防波堤はつくれないでしょう。
九十九里浜は、荒浜同様に高台はありませんので、海岸地域に住む人たち、海水浴客やサーファーを守る方法は、鉄筋でかつ高さのある構造物、いわゆる避難タワーをつくるしかありません。
おのずとハードの面での対策は限られます。
予算も限られているのですが、実は私たちに残された時間も限られていると思えてならないのです。
これから徹底的な調査を行う中で、より有効なハード面での対策を科学的合理的に行ってほしいと思います。

今後の県税収入は?

千葉県議会6月補正予算案の説明に「9月以降は大幅な財源不足が予想される」とあります。
東日本大震災被災県の千葉県も県民生活を守るためのさまざまな事業計画を立てました。その一つ一つが大事な事業です。
しかし、その一方で県税収入の大幅減が予想されます。
100億円ではきかないと思います。
そこで、千葉県内に本社を持つ上場企業の業績見通しを一社一社調べてみました。
すると、震災前には業績悪化が予想された企業は31社中5社でした。
ところが、震災後になると18社が悪化、そのうち半数の9社は単なる「減益」ではなく「大幅減益」が予想されます。
これに「横ばい」の企業を合わせると、実に7割の企業が業績が「明るくない」見通しです。
市町村の企業関係の税源は固定資産税なのでそれほど変動はありませんが、県は企業業績にかなり影響を受けます。
上場企業だけを見て判断はできませんが、それにしても相当厳しいと言わざるをえません。
歳入の見込みが出るのは本格的な夏のころではありますが、不要不急の事業はとりあえず見合わせる工夫が必要です。
これを機に、さらに無駄はないか、生きた予算の使われ方か、しっかりと見ていきたいと思います。

入院日数の短縮は限界か?

政府の社会保障改革案が提出されました。
そのなかに「平均在院日数の短縮化」が打ち出されています。
これに対して、日本医師会は「これ以上の短縮化は限界」と主張しています。
真っ向から意見の対立です。どちらが正しいのでしょうか。
「日本の平均在院日数が他の先進国より長い理由は何か?」と言う議論は、実に古くて新しい問題です。
例えば、アメリカを例にとりましょう。
基本的には、アメリカでは入院費がべらぼうに高いということが言えます。
なぜ高いのか?
何と言っても人件費が全然違います。
アメリカの病院では日本よりもはるかに大勢の人が働いています。
看護師は4倍ですし、看護助手、薬剤師、ソーシャルワーカー、医療秘書、介護関係や雑務関係の人たちなど医療スタッフのマンパワーの手厚さは比べ物になりません。
したがって、病院から請求される医療費は非常に高くなります。
それだけではなく、アメリカでは、主治医からは当然として治療にかかわったすべての医師一人一人からも医療費を請求されます。そして、アメリカの医師は日本の医師よりもはるかに高給です。
これが、同じ病気の治療費でもアメリカの方がはるかに高い理由です。
これらの費用が入院費に跳ね返ってくるのですから、アメリカでは一日でも早く退院したいと思うでしょう。
一方、日本では医師にせよ看護師にせよ医療スタッフの給料は相対的に安く、場合によっては在宅で治療するよりも入院した方が安いケースすらあるかもしれません。
これでは平均在院日数が長くなって当然です。
しかし、もう一つ考えなければならないことがあります。
それは高齢化です。
人は高齢になれば治癒力が衰え、必然的に入院日数が長くなります。
それを無視して、アメリカ型の発想で、「入院が長引けば患者の支払い額を上げる」「入院が長引けば病院の受け取る報酬を下げる」「入院が短ければ患者の支払い額を下げる」「入院が短ければ病院の受け取る報酬を上げる」という4つの手法ではやはり問題があります。
患者側の支払いが高くなるのも困りますし、病院の受け取る報酬を下げれば患者が病院から追い出されかねません。
かと言って、「治療費を下げる」「診療報酬を上げる」では、おそらく保険料のアップということになるでしょう。
結局のところ、誰が考えても入院日数を短縮するためには早く治さねばなりません。
早く治すには手厚い看護が必要であり、手厚い看護には医療スタッフの充実が必要であり、それは医療費の高額化となります。
政府は、平均在院日数を短縮させて医療費を抑えようとしているのかもしれませんが、私は仮に短縮できたとしても医療費の削減にはならないように思うのです。