日別アーカイブ: 2010年10月30日

どっちもどっちの事業仕分け第3弾(第428回)

今朝の朝日新聞に興味深い記事があった。
事業仕分け第3弾の地方交付税見直しでのやり取りである。
仕分け人が指摘する。 「巨額の赤字について、自治体側は自分たちの負担だと思っていない。」
実は、これは一応正しい意見である。
なぜなら千葉県が県税収入を上げようと努力すればするほど地方交付税が減らされてしまう制度なので努力しようという気が失せてしまうのである。
その一方で、国は県に相談することなく勝手に施策を決めて県に押し付けてくるので、それを自分たちの負担だと思えと言われても無理である。
したがって、仕分け人の指摘は正しいのだが、なぜ国は自分の負担と思わなくてよいのか?というのが自治体側の本音である。

仕分け人の指摘に、今度は財務省が加勢をする。
「交付税総額そのものが自治体が必要な経費よりも3兆円も多い」
この試算に対してすべての自治体は怒るだろう。
一つ一つの事業の補助金など実際にかかる費用よりも必ず少なく計上しているのは誰なのだという怒りである。
できもしない予算計上をしているのは財務省ではないかと言うのが自治体の本音である。

今度は、総務省の政務官が仕分け人や財務省に反論する。
「日本の財政全体の問題であり、交付税だけが悪いという話ではない。現場を知らなすぎる」
全国の自治体が拍手を送る発言である。
そう、まったく現場を知らなすぎる。

では、総務省政務官の言うとおり財務省の役人に現場を知ってもらったらどうだろうか?
具体的には、都道府県や市町村の部長職や課長職に財務省の役人を出向させてはどうだろうか?
もちろん、総務省は猛反対するだろう。
自分たちの出先ポストが奪われてはたまらない。
つまり総務省政務官発言はヤブヘビ発言だった?
実態はどっちもどっちの事業仕分けなのである。

庶民の心(第427回)

昨日、菅内閣各大臣の資産が公開された。
今朝の新聞各紙によると5人の大臣が自分の所管する業界の株式を保有していたことが判明した。
たとえば財務副大臣・五十嵐氏の「りそなホールディングス」株や内閣府政務官・和田氏の三井住友フィナンシャルグループ株などは職務権限の関係で非常に怪しいと言わざるを得ない。
そして、もう一つ小さく報道されていたのが、環境政務官・大谷氏の土地購入である。
大臣らが守るべき『大臣規範』では不動産売買の自粛が定められてる。
つまり、明確な『大臣規範』抵触である。
弁明を求められた大谷氏は「両親介護のため住居が必要になり購入した。やむを得ない理由なので規範に抵触しないと考えている。(趣意)」と答えた。
両親介護のために住居を購入するという行為はある意味で立派なことだ。
しかし、世の中の大半の人は、たとえ両親の介護をしていても土地建物を購入することなど考えられないのが現実だ。
バリアフリーにしたい、トイレを改造したいということすら残念ながらなかなかできないのである。
家を買うなど夢の夢なのだ。
大谷氏の発言から、この人には庶民の心など到底分らないのだろうなというのが私の素直な感想だった。
「それだけの所得があるのだから、介護のための住居を買ったっていいじゃないか」という意見も当然あるだろう。
実は一方で、私もそうした意見も十分理解できる。
両親介護のために住宅が欲しい。
しかし、それはリーダーのあるべき姿として、自分たち自身が決めたリーダーとしての規範を破ってしまうことになる。
このジレンマをどうするか?
私には実に簡単に解決できる話のように思える。
政務官を辞めればよいだけの話である。
おそらくごく普通の人の感覚では両親介護のために住居を買うのだから政務官を辞めようと思うだろう。
大谷と言う議員は、要するに規範は破れても地位は捨てられなかった人だと思えるのである。