道州制議論は精緻に周到に

今日の夕刊各紙は、『スペイン国債3段階下げ』と報じています。
読売新聞には『ムーディーズ・インベスターズ・サービスは13日、スペインの長期国債格付けを21段階中、上から7番目の「A3」から、10番目の「Baa3」に3段階引き下げたと発表した』と書かれています。
私は、道州制は基本的に賛成です。それは地方自治が進むという観点、それに伴って地方議員も含め地方の側がより自立するだろうという観点から賛成なのです。道州制が実現したからと言って、それで「良し」となどと単純に考えてはいません。
経済や財政と言う切り口で見た道州制の行き着く先はどういう状態でしょうか?
通貨発行権は国でしょう。税制は道州に任せてもらえるのでしょうか?
仮に、税制や産業政策など広範囲な分野で道州の独自性が発揮できるとすると、究極の形は現在のヨーロッパをイメージすればよいのではないでしょうか?
税制も各国が発行する債券の金利もバラバラです。ただ通貨だけは同一です。
当然、経済的にうまくいく道州もあれば、現在のギリシアやスペインやイタリアのようにあまりうまくいかない道州もあります。
国や中央銀行からある程度の財政規律を求められた場合には、財政がうまくいっていない道州はそれなりの苦労を強いられます。
十数年にわたってプライマリー・バランスの黒字を強いられたイタリアと同じような経験をすることでしょう。
そうした苦労、あるいは他の道州よりも高い税率を決めざるを得なくなったとき、その道州民はヨーロッパよりもはるかに容易に転出することができます。
つまり、うまくいかなかった道州はますますうまくいかなくなり衰退していくことになります。
「国としてうまくいかないから道州にする」まさかこのようなナイーブな考えはないとは思いますが、道州を成功させるためにはマーケットの動きをも見通した精緻で周到な読みと細心の心配りが必要だと思うのです。


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