防災・減災ニューディール政策の財源

日付は忘れてしまいましたが、少し前の日経新聞の経済教室『巨大地震と法制(下)』として、神戸大学の井上典之教授が指摘していたことがどうしても脳裏からぬぐえません。
それは、『「想定外」というのは、科学的に想定していなかったのではなく、コスト的に無視していた状況だ』(趣意)という主張です。私も全くその通りだと思います。
私たちがコストの問題を考えるときに、大前提としておかなければならないことは、東日本大震災によって、わが国の地震災害が終わったわけではないという当たり前の事実です。
私たちが、好むと好まざるとにかかわらず、これからもずっと、地震は繰り返し起こるし、津波は繰り返しくるということです。
そして、最も可能性として高いのが、太平洋沿岸部の地震や津波であり、その発生確率は30年以内で88%ですから、いつ来るかが分からないだけです。
もし仮にそれが、東海、東南海、南海という三連動だった場合、死者2万から3万人、経済損失は80兆円を超えると推定されています。人命の尊さは言うまでもありませんが、経済損失も80兆円となると、阪神淡路の8倍ですから、日本経済が破たんの危機にさらされます。
相手は自然界です。財政が苦しいとか、時間が足りないといった人間社会の都合でどうにかなるものではありません。
これから間違いなくやってくる地震や津波に対して、いかに人々の命を守るか、いかに財産を守るか、いかに日本経済を守るかという対策を講じていくのが政治の使命だと思います。
それが、『防災・減災ニューディール政策』というわけです。
延喜元年(901年)に成立した史書「日本三大実録」には貞観地震(869年7月)とその18年後の仁和地震(887年8月)のことが記述されています。
貞観地震は『5月26日20時、陸奥国で大地震が起きた。(略)雷鳴のような海鳴りが聞こえて潮が湧き上がり』(Wikipediaから。日付のズレは暦の違いによります)
とありますように東北の地震と津波です。
仁和地震は、五畿七道諸国を揺るがす大地震と記載され、現在では震源が南海道沖と推定されています。まさに東北のあとに関西が襲われた形です。
阪神淡路から東日本大震災の間隔も16年ですからこの符号も考えさせられるものがあります。
財源問題は、そうした現時点の状況をすべて考えあわせたうえで検討しなければなりませんし、コスト的な想定外は絶対に避けたいと思うのです。


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