日別アーカイブ: 2012年5月13日

公平な税制とは?

公平な税制を実現するには、その前提として所得の正確な把握がなければなりません。
ですから、共通番号制の導入だとなるのでしょう。
ところが、国民に共通番号を付している各国とも、これでも所得税の正確な把握はできないと言っています。
これは単純な話ですが、所得税を納めている人の所得は調べようがありますが、所得税を納めていない人の所得を調べるのには大変な労力と時間を要するからです。『マルサの女』という脱税を摘発する国税庁の女性職員を主人公にした映画がありましたが、大変な苦労をしながら所得を捕捉していました。
さて、所得には勤労所得もあれば相続や資産運用などの不労所得もあります。本来ならそれら所得全体に課税するという『総合課税』が理想でしょう。
しかし、このうちいわゆる不労所得について、その捕捉が容易ではありません。するとどうすればよいでしょうか?
一つは、不動産所得を捕捉する。これは現在でも国税庁は相当綿密に行っています。
次に、金融資産を捕捉する。これは私自身が保有していないので詳細はわかりませんが、株式などはすでに電子化されていますので捕捉できるはずです。
そのほかの債権についてはどこまで同様の電子化による捕捉が可能なのかは私にはちょっとわかりません。多分、国際的な協議が必要なのでしょうが、世界の主導的な人たちがそれを望むとは思えませんので相当ハードルが高そうです。
第三に、所得の捕捉に限界がある以上、消費に課税するという発想はやはり必要なのだろうと思います。
これは、所費税を上げるという議論ではありません。消費税という課税方式から低所得の人をどう守るか、きちんと転嫁できない中小零細企業の人をどう守るかという議論です。
どちらをも同時に解決するには『インボイス』の発行ということになりますが、なぜかそういう議論がわが国で澎湃として起こってきません。単なる生活必需品は非課税にする、医療介護分野は非課税にするという発想では、税の公平性は確保できません。
私たちは、消費税導入の条件として社会保障の全体像を示すなどの5条件を掲げていますが、これでは5条件以前の話だと言わざるを得ません。