日別アーカイブ: 2012年5月11日

企業に対するボディーブロー?

5月9日の日経新聞1面に非常に気になる記事が出ていました。
『年金積立不足負債計上 新会計基準』という記事です。
記事によれば、年金積立不足がある企業は、不足額を「全額負債に即時に計上、一方で自己資本を減額し、貸借対照表に反映させる」とのことです。
そもそも年金額の過不足というのは、年金資金の運用に大きく左右するものですから、この新基準が適用されれば本業とは別のところで企業が評価されることになります。当然のことながら株価も大きく動くことでしょう。
運用がどういう形で行われているのか、私は知りません。外国のファンドで活用している場合も当然あるでしょう。すると、今回のギリシアのような予想外の問題が起こると、そうしたの経済情勢によって企業価値が左右されることになります。
これは経営者は夜もおちおち寝られないという緊張感に襲われることでしょう。
これでは企業はますます年金代行を切り離しはじめ、それができない企業だけが新会計基準によって企業価値を左右されることになります。
実は、もう一つ私が不安に思うことがあります。もしかしたら、これを突き詰めていくと、社会保障制度が望ましくない方向へ世界的な統一が進むのではないかということです。
現在、医療保険の分野では日本企業に比べて米国企業の身の軽さは比べ物にならないと思います。わが国では国民皆保険が実現しているからです。社会保証制度が異なるのに、会計基準だけを統一するのはフェアな競争を阻害しかねません。
したがって、結果としてこの会計基準が将来の国民皆保険の崩壊につながりやしないかという不安を覚えるのです。
これが杞憂であればと思いますが、検討のより深い内容をさらに追って報道してほしいと思います。

天候がおかしい

茨城、栃木などで竜巻による大きな被害がありました。
理屈の上では、上空の冷たい空気と地上近くの暖かい空気との間で急激な上昇気流が発生し・・・ということになります。
こうした局地的な大気の不安定さもさることながら、私たちが防災上もっとも注意している台風についても同様のことが言われています。
たとえば地球温暖化のせいなのか、最近は上空の空気も暖められて赤道付近では台風が発生しにくく、その一方で日本近海で上層と下層の空気の温度差から低気圧が発達する傾向があるといった話です。
いずれにせよ、私たちは防災と言う観点から気象にも注意を怠ってはいけないと戒めております。
さて、ゴールデンウィークを中心に、山岳遭難が相次ぎました。
北アルプスでは白馬岳や穂高で幾人もの方が亡くなる悲しい事故が起こりました。報道によればヒマラヤ経験のベテランもいらしたそうです。
私のつたない経験からですが、日本の山は基本的に天候さえよければ登れてしまいます。
それこそ同じ北アルプスの同じ後立山でも、ある冬には10日間苦闘しても全く登れず2000メートル付近で敗退したり、その逆に半日くらいであれよあれよという間に登れてしまったりします。
1978年12月のことでしたが、当時毎年のように多くの遭難者を出していた鹿島槍ヶ岳の偵察山行の際、あくまで偵察なのに爺ヶ岳まで昼前に登れてしまったことがあります。本合宿にとっておくためにあえて鹿島槍に登らずに下りてきました。
厳冬期の日本の山は、振り返ってみると山の技術や経験とは無関係に、結局のところ天気が良ければ登れて、天気が悪いと登れなかったことに気づきます。
やはり、「天候に細心の注意をする」、それが安全安心の第一歩なのだと思います。