日別アーカイブ: 2011年1月9日

終焉なきババ抜き?韓国口蹄疫問題(第480回)

1月8日付の日本農業新聞に『感染拡大止まらず 殺処分100万頭超』という記事がとうとう出た。
昨年の宮崎県での大流行でさえ28万8643頭の殺処分だった。
その4倍近いのである。まさに危機的だ。
ではなぜ韓国ではここまでの猛威となっているのか?
宮崎大学農学部の末吉益雄准教授によれば、冬の寒さが大きく影響しているという。
第一に、消毒液の凍結により散布が難しい。消石灰も積雪があれば効果的に使用できない。
第二に、ウイルスが苦手とする紫外線が日照時間の短さや雪により地面に届かない。
そして、末吉氏は雪の下でウイルスが生きのびており、春の雪解けとともに再び猛威をふるう可能性すら指摘する。
上記の理由を見れば、宮崎県の事例はたまたま春から夏にかけての流行だったから消毒液も使用でき、夏場の紫外線の強さに救われたとも言える。
梅雨時のための埋設の難しさが指摘されていたが、冬場よりはましだったということのようだ。
韓国の口蹄疫発生状況マップを見ると、昨年11月29日に慶尚北道で発生。
その後は、12月15日に京畿道で発生。
12月22日に江原道、12月24日に仁川広域市、12月28日に忠清北道、1月2日に忠清南道と感染が拡大している。
北朝鮮と接する北部地方にはすべて感染が見られる。
つまり、北朝鮮に飛び火している可能性もある。
また、逆に感染がないのは、南部の慶尚南道、全羅北道、全羅南道である。
末吉氏は、「南には養豚地帯がある。南には釜山もあり、福岡との人の行き来が盛んだ。今後、人の動きが活発な春節(旧正月)を迎える。春先にかけ、日本への感染拡大の危険性が高くなってくるだろう。」と警鐘を鳴らす。
一方、その南部では、鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が拡大しているとの報道もある。
まさに韓国は踏んだり蹴ったりである。最悪のパターンは、韓国から跳び火して日本で発生し、韓国が終息を迎えたときに今度は日本から跳び火するという形である。
まるでババ抜きのババのように、日韓二人のプレーヤーの間をウイルスに行ったり来たりされてはたまらない。
アジア全体で常にどこかで口蹄疫や鳥インフルが発生しているのであれば、いよいよアジアあげて対策に取り組む体制が構築されるべきなのかもしれない。

ひったくり事件の正しい見方(第479回)

ひったくり件数において、千葉県が大阪府を抜いてワースト1位になったことから大勢の方からご意見やお問合せをいただいている。
誤解されている方もいらっしゃるので可能な限り正確に記しておきたい。
まず、件数で比較することが良いのかどうかである。
大阪は880万都市であり、千葉県の人口は612万である。
やはりこれは人口10万人当たりの件数で比較しなければ正確な状況はつかめないだろう。
すると、平成20年ではたしかに大阪府40.45件、千葉県36.54件だったが、21年の段階で大阪府35.98件に対して千葉県は36.12件とすでに逆転しているのである。
つまり、実際には平成21年段階で千葉県は有難くない第1位だったのである。
次に、千葉県内の状況を見ておきたい。
私が、千葉県議会で「ひったくり対策」を訴えた平成18年においては、松戸市は千葉市とワースト1位を争っていた。
市レベルなので人口1万人での比較をすると、千葉市10.3件、松戸市9.5件、以下、市川市7.4件、船橋市7.0件である。
だからこそ、松戸市の問題としてひったくり対策を訴えたのである
白く塗り替えて視認性を高めたバイクパトロールの強化や町会などボランティアの皆様の並々ならぬご尽力で大きな成果を上げることができた。
平成20年の確定値を見ると、松戸市は7.1件と2.4件の減少となっている。
県内ワースト順位をみても、平成22年11月末の暫定値ではあるが、ワースト4位まで落ちてきている。
ちなみに、この最新の22年11月末暫定値で人口1万に当たりの件数を計算しておこう。
ワースト1位柏市5.5件
2位市川市5.4件
3位船橋市4.8件
4位松戸市4.4件
5位千葉市4.3件

件数は全体的に確かに減っているのだが、まだまだ高い水準である。
特に、柏市は平成18年段階では3.1件でワースト5位だったのが、5位、5位、4位、そしてワースト1位と年を追うごとに上がって来ているのが気になる。
このたび覆面バイク40台の投入とビデオカメラ設置バイクを投入するが、これからもしっかりと頑張っていきたい。

大論争時代幕開けの予感(第478回)

これはあくまで私の推測であり予想である。
本年ないし本年以降、様々な制度においてその内容について大論争が起こる気がしてならない。
たとえば、社会保険制度のあり方としての『公費5割が妥当か否か』の論争である。
まず介護保険だろう。
介護保険の税金による負担5割、保険料負担5割を見直すのか見直さないのか。
その後は医療保険も年金も公費負担の割合が論争になる。
公費5割は実は哲学の問題である。
この数字が正しいという答えはどこにも存在しない。
社会保険制度のあり方として公費は何割負担が良いのか?
国民に覚悟を求めるのは政治家であり、政治的判断を明確に示して行かねばならない。
そのほかにも特別養護老人ホームの個室・多床室論争がある。
おそらく大多数の人にとって、入居するなら個室の方がよいということだろう。
それはそうなのだが、乗り越えなければならないハードルとして、経済的な問題と受給バランスの二つの問題がある。
第一に、費用が高すぎて低所得者が利用できないとなれば多床室はどうしても必要ということになる。
金持ちにしか使えない特養では国民の理解は得られないと思う。
したがって、いかにして安価な個室を提供できるかが問題である。
第二の問題は、団塊の世代が特養を必要とした場合の供給量である。
特に、千葉県は全国平均よりも多くの団塊の世代の方々がいらっしゃる。
これらの方々の要介護度が、高くなったときにどれだけの特養を確保しなければならないかをしっかりと見据えておかねばならない。
すべて個室でまかなえれば理想なのだが、果たして可能かどうか?
相当難しいように思われる。
来年度の政府予算案を見るまでもなく、わが国は将来においても財政難は明白である。
多大な借金をどうするのかという問題が大きく立ちふさがっている。
したがって、これからの経済活性化は『規制緩和』が中心とならざるを得ない。
規制緩和とは実はルール作りに他ならない。
ルール作りこそ規制緩和の最重要課題なのである。
そして、ルール作りとなれば既得権に踏み込む場合も多々ある。
先に二つほど事例をあげたが、まさに本年ないし本年以降は大論争時代の幕開けを予感させる。
見方を変えれば、本当の意味で政治の出番とも言えるのだが、今の政権では心もとないことこの上ない。