日別アーカイブ: 2011年1月11日

TPP「断固やる」やらない?(第481回)

1月10日をもって、日本経済新聞の連載シリーズ『民主党 誰が何を決めているのか』が終わった。
誰が何を決めているのか?という表題自体が実に失礼な命名だが、民主党所属議員も『誰が何を決めているのか?』と思っている節がある。
1月6日の読売新聞に『首相、TPP「断固やる」』という記事があった。
1月5日の初閣議で菅総理は環太平洋経済連携協定について、「『平成の開国』を断固やる。各閣僚の奮闘、努力をお願いしたい」と述べたというのである。
さらにその後の経済3団体の新年祝賀パーティーでも「TPPをはじめとする貿易の自由化は課題もあるが、乗り越えて突き進むことなくして日本の再生はない。その1年にしたい」と力を込めたという。
そこで、「なるほどそうか、やるのか」と思って記事を読んでいくと、どうもそうではないような話に流れていくのである。
この閣議後の記者会見で、大畠経済産業大臣は首相が6月をメドにTPPへの参加判断すると述べたことについて「明確におっしゃったとは受け止めていない」と疑問を呈し、鹿野農林水産大臣にいたっては「国内対策が必要で、財源をどうするかもついて回る」と戒めたというのである。
年頭の一大決意を語る初閣議から首相が完全に馬鹿にされているのだ。
まったくもって誰が何を決めているのか?さっぱりわからない。
そもそも菅総理は、TPP参加についてTPPのルール作りをするのだという発言をしていた。
しかし、オブザーバーとして傍聴することもできない日本がどういうルールをつくるのだろうか?
早くて6月に参加するかどうかを決めるということは、既に決められたルールに参加しても大丈夫かどうかという判断をするのではないのか?
後から参加する国が、先に交渉している国々のルールを変えることができるのか?
このような理屈の通らない発言をしているようでは配下の閣僚に馬鹿にされても仕方がないのかもしれない。
日経新聞の『誰が何を決めているのか』というシリーズは終了したが、現実の決定者不在シリーズはまだまだ続きそうである。