日別アーカイブ: 2011年1月12日

財政運営戦略の不正直さ(第482回)

昨年の6月22日に閣議決定した財政運営戦略を読み直している。
この文書には、私個人としては「ほうっ」と思う記述がある。
それは『具体的な取組』でわざわざあげた3点の留意事項のなかにある。
『財政健全化への取組は正直であることを第一とし』という部分である。
これは出来そうでなかなかできないことだ。
したがって、この文言を書いた人はなかなかの人だと思ったのである。
では、予算編成上で財政健全化へ向けて、どのような『断固たる対応』を見せてもらえるのかといえば、5つの基本ルールを定めたという。
第一に、新たな施策を行う際は安定的な財源を確保する。
単なる「財源」ではなく、わざわざ「安定的な財源」というからには、各種控除廃止や租税特別措置廃止や消費税のような新税導入ということだろう。
なぜ分かりやすくそう書かないのだろうか?早くも『正直であることが第一』が怪しくなっている。
第二に、国債発行額の縮減や国債依存度の引き下げなど毎年度着実に改善が図られるように編成する。
第三に、社会保障費については歳入・歳出の両面にわたる改革を通じて、安定的な財源を確保していく。
ここでも安定的財源が出てくる。
歳入の改革と言えば消費税ということだろう。素直に書けばいいものを全然正直ではない。
さらに、歳出の改革もすると書かれているので、「サービス内容を削りますよ」「サービスを受ける対象者を減らしますよ」という意味だろう。
これもやはり正直に書いてない。
第四に、思い切った予算の組替えを行う。
実は、これが星だと私は思っている。これについては、いずれ『ふじいの独り言』で取り上げたい。
第五に、地方自治体に負担を転嫁しない。
これは、すでに子ども手当では地方へ転嫁しているので、『不正直』を通り越して『嘘つき』になってしまっている。
『正直であることが第一』としながら、その同じ文書の中ですでに『不正直』なのはどうしたことだろう。
やはり『不正直』な人だからこそ『正直であることが第一』などと書けるのだろう。