自治体の「のんきな時代」は終わった。
これまでの自治体は、政府からの通知や例のごとく「技術的助言」を受けて予算編成などの作業を進めればこと足りた。
国の方針を待って、県の方針、市の方針を決めればこと足りた。
もちろん、そもそもからしてその姿勢は間違っている。
なぜなら、国の方針を決めるのはあくまでも国会であり、憲法第41条にある通り「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」から。
政府がどう言ってこようと、それは仮の決定・原案であって、最終決定は国会の議決による。
これまでは政府の方針と最終決定が異なることはまず考えられなかった。
しかし、ここ数年は衆参両院の多数派が与党を構成していないケースが常態化してきているのである。
政府がどういう方針を打ち出すにせよ、それを国会が是とするのかどうかを見極めないと自治体は予算すら組めない時代になったのである。
最近の事例で言えば『子ども手当』だ。
本来、国が全額負担すべきだから地方自治体としては負担分は予算計上しないという自治体が少なからずある。
この点は(第488回)2011年1月23日 子ども手当騒動 — 所詮は他人のカネで触れた。
果たして、予算計上しないという判断が正しいかどうか?
政府の言うとおりに地方に負担が押し付けられてしまうのか、国会がそれをノーと判断して否決してしまうのか?
そうした国会情勢の見通しが自治体に求められるのである。
この見通しを誤ると住民の利益は甚だしく損なわれることになる。
まさに、これからの地方自治は国会情報収集時代に入ったのである。
(地方分権はどこへ行ってしまったのか?)
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