月別アーカイブ: 11月 2010

国民にとっての高齢者医療(第435回)

今日の朝刊各紙に『後期高齢者医療制度 廃止「知らない」6割』という記事があった。
後期高齢者医療制度を廃止するかしないかは昨年の衆議院総選挙の争点の一つであった。
当時は「この制度はまるで姥捨て山だ」とのマスコミ報道が連日繰り広げられた。
結果として、与野党逆転となり政権交代となった。
したがって、民意は『後期高齢者医療制度廃止』ということになっている。
ところが、今日の新聞での内閣府調査では「後期高齢者医療制度を廃止し、2013年度から新たな高齢者医療制度の導入を検討していることについて「知らない」と答えた人が59.5%と過半数を占めた。」というのである。
先の衆議院総選挙では民主党も共産党も「廃止」を公約とした。しかし、民主党は勝ち、共産党は負けた。
今回の内閣府の調査は、たまたま共産党の票が民主党に流れてしまったのではなく、『廃止が民意ではなかった』証左とも言える。
週刊朝日11月12日号は、廃止される後期高齢者医療制度と新しく導入される新高齢者医療制度との比較を行っている。
それによれば「後期高齢者医療制度は、言われるほど悪くなかったのでは」(みずほ総合研究所・H上席主任研究員)という。
『負担が重くなった人はほとんどいなくなった』
『住所の違いで生じる保険料格差は国保の4.8倍から2.3倍に縮まった』
『国保では負担と給付の関係が分かりにくかったが、それが明確になった』という点が評価されている。
一方、新高齢者医療制度への導入については『制度を変えるリスクとコストはかなり高い』
『取れるところ(健康保険組合や共済組合)からカネを取る制度』
『高齢化が進み医療費が莫大にかさむのはあきらかなのに高齢化の影響が除かれた試算になっている』
『この試算は政治的色彩が濃い印象を受ける』
『現役がこれ以上の負担に耐えられるのか疑問』(日本総合研究所・N主任研究員)という難点があげられている。
こうまで議論が分かれ、かつ国民の6割が知らないのである。
ましてや運営主体についても議論が残っている。
それでも2013年度に新制度の導入をすべきなのだろうか?
私は、もう一度議論のやり直しをした方が良いのではと思うのである。

内から変える(第434回)

抽斗の奥から名刺の束が出てきた。
どの名前にも見覚えがない。職業も勤務先もばらばらだ。
私は相当数の名刺交換をするが、これほどまったく思い出せないことは珍しい。
そのとき、高橋裕子先生の名刺が混じっていて、「そうか。これは禁煙マラソンの人たちだ」と気づいた。
高橋先生は、禁煙をマラソンに見立て、禁煙者を増やそうという運動を始められた。
その第一期生が禁煙マラソンをスタートしたのは1997年6月9日のことだ。
私は第二期生として、インターネットを通じて高橋先生の指導を受け、仲間たちと励まし合いながら禁煙に成功した。
そのゴールした仲間たちとの集まりが1998年3月28日にあったのである。
高橋先生の名刺の裏には「禁煙おめでとうございます。一日も長くお続け下さいますよう」と書かれている。
あれからずっと吸っていないので、禁煙は12年間続いていることになる。
さて、私はこの8月31日から減量を続けている。
現在、体重は61.4キロ。2ヶ月ほどで約10キロ落したことになる。
ほぼ理想体重なのだが、それよりもお腹がへこんだことがうれしい。
禁煙も減量も成功した理由は、要するに『自分が決めたから』である。
他人に言われても人は変われない。
外からの影響力では長続きしないのだ。
結局、本当に変わるためには、内からの力しかない。
ことを成すにはまず目標を決める。それも自分で決めることが鉄則だということはみんな知っている。
「禁煙」と「減量」という日常の話題にのぼる事柄の中にも当たり前の原則が貫かれていた。

医師偏在解消へ?(第433回)

今朝の日経新聞に『医師不在の地域 5年で1割減』という厚労省調査が掲載された。
こういう厚労省の発表を見ると私は本当かな?と疑ってしまうのである。
以前も「医療費」の議論がいつの間にか「医療費」の7割部分の「支給費」に替わっていたりしてごまかされたことがあった。
まったく油断も隙もないのである。
(厚労省側はごまかすつもりは全くなく、こちらが勝手に見間違えたということかもしれない)
さて、日経の記事によれば
?2009年10月末に705地区だった無医地区が約1割減った。
?無医地区とは半径4キロ以内に50人以上が住み、受診に公共交通機関で1時間以上かかる地域。
とあり、ずっと最後まで読んで来て、突然「ただ、50人未満の過疎地域は調査の対象外」とあった。
この最後の最後のところで「なるほど」と納得するのである。
この調査の意味するところは一体何かが最も重要である。
無医地区が減ったのは、医師の偏在が解消されたのか?
無医地区が減ったのは、交通機関が発達したのか?
無医地区が減ったのは、人口減により過疎化かが進んだのか?
無医地区が減ったのは、それ以外の理由なのか?
この原因の違いによって対応する政策がまるで異なることになるのである。
どうもこの調査は、パチンと爪を切りたいくらいちょっと伸びた爪を見つめているようなもどかしさ、中途半端さを感じるのである。

公安情報流出に思う(第432回)

警視庁外事3課の内部資料がインターネット上に流出した問題が連日報道されている。
極めて重大な事件であるにもかかわらず、メディアがそれほど取り上げていないことが気になる。
騒ぎ立てないようにという特別な配慮があるのか、あるいはネット上の問題なので一般受けしないと見ているのか。
さて、私は平成18年3月15日の千葉県議会予算委員会 ですでに情報流出の問題を取り上げている。
そして、私の質問をきっかけに千葉県警察本部は私物パソコンを一掃したのだが、現場感覚はそれほど変わっていない気がしてならない。
質問から4年も経過しているのに、相変わらず「教員の不注意から生徒の個人情報が流出した」などが報じられる。
USBそのものは非常に安価でも、個人情報が入ればそれが50万円、100万円の現金を持っているのと同じだという感覚がない。
今回の公安警察の情報流出は、生徒の個人情報流出と同一線上の問題ではあるが、実は国家としての危機であることを認識しなければならない。
以下、平成18年3月15日の私の質問部分だけ(答弁部分は省略して)を掲載する。
◯藤井弘之委員  私に与えられた時間は27分ですので次の質問に移らせていただきます。
 情報流出の問題についてお伺いいたします。
 まず最初に知事にお伺いいたしますけれども、このところ情報流出はとどまるところを知りません。
次から次へと出てまいりまして、ついには防衛庁の機密情報まで流出いたしました。
しかも、2月28日の海上幕僚長の記者会見では、過去にも流出があったことが明らかになりました。
ここ1カ月ほど見るだけでも、この海上自衛隊ばかりか陸上自衛隊、航空自衛隊、東京地裁、富士宮信金、法務省、鹿島台小学校、佐野消防署、名古屋消防署、鹿児島市衛生公社、岡山県警等々、官民問わず軒並み情報流出です。
 2005年に個人情報保護法が施行されましてから1年たった現在でも、こういう状況です。知事はこれをどうごらんになっておりますでしょうか。
◯藤井弘之委員  次に、県警本部長にお伺いいたします。
2004年3月に京都府警の捜査資料の流出が発覚しましてから、本年3月には岡山県警の捜査資料、愛媛県警の捜査資料が立て続けにファイル共有ツールでありますウィニーのネットワークに流出したことが判明いたしました。こういう状況をどうごらんになっておりますでしょうか。
◯藤井弘之委員  さて、情報の流出ですけれども、ここでは当事者に悪意のある場合と、悪意のない場合の2種類が想定されますので、ここでの議論はあくまでも悪意のないケースのみに絞りたいと思います。
そして、さらに主な情報流出には三つのパターンがありまして、一つは、パソコンの盗難です。二つには、ウィニーに代表されますファイル共有ツール、いわゆるピア・ツー・ピアソフトによる情報流出、三つには、人の心、モラルの問題、この三つが考えられますけれども、このうち第1番目のパソコンの盗難、例えば、昨年千葉大の附属病院で車上荒らしに遭いましてパソコンが盗まれて、患者さんの情報が流出したという事件がありましたけども、ここではそれは議論は触れないことにしたいと思います。
 その前提の上でお尋ねいたしますけれども、まず、個人のパソコン持ち込みの問題です。
私は、情報流出をさせない第一歩は、個人のパソコンを締め出すことだと思います。
個人のパソコンの持ち込みはどうされているか、また、それをどうしようと考えているのか、知事部局並びに県警本部それぞれお伺いいたします。
◯藤井弘之委員  (私物パソコンが)200台ですと、まだ(一掃に)相当かかりそうですね。
少し具体的なケースを例示しながら質問をしたいと思います。
 今、USBメモリーなどの小型化、大容量化が進みまして、また、驚くほど安価に購入できるようになりました。
こうしたスモールカードと総称される、いわゆる外部記憶装置の紛失による情報流出がやはりふえてます。
昨年9月に九州電力で発電プラントの技術資料や、あるいは社内情報が流出した事件も、USBメモリーの社外持ち出しが原因ですし、8月のJR西日本の社員やグループ企業、社員5,000人超の個人情報流出も、やはりUSBメモリーの持ち出しと紛失が原因でした。
これらの情報流出は、常日ごろは厳重にルールを守っていて、たまたまこのときだけUSBメモリーを持ち込んでしまって、たまたまこのときだけUSBメモリーに情報を保存してしまって、たまたまこのときだけ情報を持ち出してしまったということは、まず考えられません。
 そこで、本県ではこうした外部記憶装置の持ち込み、持ち出しについて何か規定があるのかどうか、これも済みません、知事部局と県警本部、両方お願いします。
◯藤井弘之委員  続けますが、昨年6月には、原子力発電にかかわる86件のデータが流出いたしました。
この問題は、三菱電機プラントエンジニアリングで起こった事件ですけれども、当該社員は自宅で仕事をしようと思って、会社のデータを自分のやはり外部記憶装置に移しました。ところが、自分のパソコンにダウンロードしてありましたウィニーがウイルスに感染していたために、会社から持ち込んだ情報がウィニーのネットワークに流れてしまったというケースです。
この社員がウィニーを自分のパソコンに入れていた理由は、映画をダウンロードして見るためだったというふうに報道されておりました。
 この社員は、恐らく悪意はなかったと思うんです。余り深い考えなしに、軽い気持ちでやってしまったことだろうと思います。それでもどうでしょうか、この人は恐らく取り返しがつかない大きな犠牲を払ったのだろうと思うんです。
 実は、先ほどの九州電力にしましてもJR西日本にしましても、いずれの企業も非常に厳格な情報管理規定がありました。
それも、何年も前につくった規定ではありません。半年前に改めて定め直した大変厳しい規定。
ところが、それでも、このぐらいでは首にならないだろうとか、このぐらいはいいのじゃないかというのが、やはり人間の弱いところだと思うんですね。
幾ら情報漏えいを防ぐ規定を決めたところで、結局現場で情報を扱う人間がそれを重大なことだという自覚を持たなければ何の意味もないという見本だと私は思うんです。
 そこで、モラルに関する問題ですけれども、本県ではどうなのか、知事部局、県警本部それぞれにお伺いいたします。
◯藤井弘之委員  最近発生したとは言ってはいけないんですね。これは発生は最近ではなくて、発覚が最近、ちょっと言い方を間違えちゃったんですけれど、最近発覚した情報流出というのは、ほとんどウィニーにかかわる問題なんですが、2002年12月にウィニーの正式版が出てきまして、そして翌年の2003年の8月に最初のウイルスであるぬるぽワームというんですけれども、これが見つかりました。
以後、途中で、ちょっとこの場では私は口にできない名前のウイルスがたくさんありまして、昨年の暮れのぎりぎりのところで、いわゆる無敵ウイルスというのが出てまいりまして、主だったもので約10件ウイルスが判明しております。
 そのうち、昨年4月の半ばに見つかりました山田ウイルス、これは山田君からもらったというせりふから愛称がついたわけですけれども、実はこの進化版というか改良版というか亜流というか亜種というか、それが既に出回っているという記事が、今週号のある週刊誌に出ておりました。
この山田ウイルスというのは、厳密にはウィニーのウイルスではありません。
その意味では、ウィニーだけ対策を立てても実はどうしようもないという、これが現状です。
とりあえず現時点では一番猛威をふるっているウィニーの対策をどうしようかということですので、とりあえずまずこのウィニーの対策についてどうされているか、お答え願いたいと思います。これも済みません、県庁と県警本部と。
◯藤井弘之委員  ある企業の例ですけれど、名前は出しませんけれども、実は派遣社員だった情報管理者が犯人だったということが判明したり、また、私は先ほどウィニーだけではないんだと申し上げましたけれども、実は、ファイル共有ツールというのは、今双璧になっているのはもう一つシェアというソフトがありまして、だんだんウィニーユーザーがこちらへ乗りかえております。
なぜかというと、先ほど申し上げましたように、ウィニーの場合ですともう10もウイルスが発生しております。
これは、よくも悪くも制作者が逮捕されているということで手当てできなかったということで、暗号の部分が突破されてしまいまして、基本的にウイルスを混ぜ込みやすい、そういう形になってしまっているものですから、新しい情報共有ツールであるシェアに移っていますので、そちらの方もぜひぬかりなく見ていただきたいと思います。
 それで、昨年末にNECとNECフィールディングの顧客情報がウィニーネットワークに流出しまして、ウィニーのネットワークというのは、ユーザーが相互に中継地になり、どんどんどんどん相互につながっていきますので、いわゆる従来型のサーバがあって、それぞれのパソコンにつながっているという形ではありませんので、これは流れてしまったらもうとめることがほとんど不可能と思います。
 ことしに入りまして、1月13日には富士通の情報が流出しまして、31日にIBMの情報流出、2月24日にはNTT東日本及びNTT西日本の顧客情報、社員情報がウィニーネットワーク上に流れました。
これらを見てみますと、いわゆる情報流出対策ソフトを出している企業、まさに対策のソリューションを提供している企業自身が、みずからも守れない、これが実態です。
 すると、現時点で最後の手段というか、今の時点で、じゃあどうしたらいいのかということを考えたら、私は、最終的にはもうログを管理するしかないだろうと思っております。
このログの管理について本県ではどうされているのか、あるいはどうしようと思っているのか、知事部局並びに県警本部に尋ねて私の質問といたします。
答弁を含めるとながくなるために質問のみ掲載。詳細は千葉県議会会議録検索システムをご覧ください。
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面白し国民性(第431回)

週刊ダイヤモンド11月6日号のコラム『金融市場 異論百出』加藤出(東短リサーチ取締役)はヨーロッパ各国の国民性を比較していて面白かった。
たとえば、英国政府は10月20日に890億ポンド支出をカットする強烈な緊縮財政を発表した。
その中には、年金支給年齢を66歳に引き上げるという項目をあったのだが、英国民は発表当日こそデモがあったが翌日は静かになっていたという。
ドイツでも厳しい財政支出削減が示されたが暴動はなかった。
ところが、フランスではサルコジ大統領が年金支給年齢を60歳から62歳に引き上げたところ、激しいストライキ、デモが勃発したのである。
なんとなくラテン系の人たちは熱狂しやすいというイメージがある。
事実かどうかは皆目不明だが、そういうイメージが私たちの中に何となくできている。
だから、アングロサクソンやゲルマンは平静を保ち、ラテン系は数十万人規模の激しい抗議行動という心の中にある定型にピタッとおさまる気持ちよさがあった。
このコラムについて、ここまでは「なるほど面白いものだな」で済んでいたのだが、その後の話からだんだん様相が変わってきた。
それは、こうしたフランス人の反応に対して、アメリカのタイム誌が次のように書いたというのである。
「怠惰なフランス人はわかっていない。年金や補助金は生産的な労働者が税金を払って成り立っていることを」
この批評をわれわれ日本人はどう受け止めるだろう?
まず、大和民族である日本人も英国人やドイツ人と同じように冷静沈着を保つだろう。
間違ってもデモやストライキなどはしない。
かつてそうした行為をしていた世代は現役を退き始めている。
するとタイム誌の論法によれば、日本人は年金や補助金は生産的な労働者が税金を払って成り立っていることを理解していることになる。
もしタイム誌が日本人をそのように捉えているとしたら、それは浅い見方である。
われわれ日本人が冷静沈着でいられるのは、そもそも歳出カットをしないですむ方法を知っているからなのだ。
この方法を使えば、歳出カットもせずに済み、年金の支給年齢も引き上げる必要はない。
そう。次世代へ借金として付け回せばいいのである。
日本の雑誌なら言うだろう。
「フランス人はわかっていない。年金や補助金は将来へ付け回せることを」