月別アーカイブ: 10月 2010

『元気』とは?『うるおい』とは?(第423回)

公共政策フォーラム2010が開催され、私も参加させていただいた。
そのなかで「元気とうるおいのあるまちづくり」というテーマで大学生による政策コンペが行われた。
コンペの中で、大学生たちが「元気とうるおい」をどう定義したかがなかなか興味深かった。
関西学院大学総合政策学部長峯ゼミ都市政策パートの学生たちは、『生活環境が整っていること、自然環境が豊かで文化発展段階が高く、その効用が市民にフィードバックしている状態』と定義した。
関西大学政策創造学部橋本ゼミの学生たちは、『住民の気力と経済基盤の双方が満たされているまち』と定義した。
中京大学総合政策学部桑原ゼミの学生たちは、元気とうるおいのあるまちに必要なのは「イベント」「観光」「交流」「コミュニティ」「施設」「経済」「交通」「治安」「社会福祉」「教育」「健康」「やすらぎ」なのだという。
静岡文化芸術大学文化政策学部芸術文化学科片山ゼミの学生たちは、「元気」を『生命力や活力、明日への希望』などの精神的な意味合いで、「うるおい」を『幸福感や満足感、ドキドキやワクワクする気持ち』として捉えたという。
明治大学情報コミュニケーション学部塚原ゼミの学生たちは、「元気」を『地域の活性化』、「うるおい」を『自然との共生』とした。
北九州市立大学法学部政策科学科楢原ゼミの学生たちは「元気」を『地域の課題に取り組む力』、「うるおい」を『人と人とのつながりや交流から生まれる充足感』と定義した。
では、私にとって『元気とうるおいのあるまち』とはどういうまちだろうか?
「元気」というからには、活気があり、にぎわいという要素は欠かせないだろう。
そして、「うるおい」には、温かい助けあいがなされているコミュニティがなければならない。
そうなると、現実にはすでに『元気とうるおい』が望むべくもない地域が日本中にいくつもあることに思い当たるのである。
政治に与えられたハードルはこれまでになく高いことを思い知らされるのである。

松戸市の財政健全化判断の指標(第422回)

総務省が平成21年度の財政健全化指標の速報値を公表した。
千葉県内市町村のデータを見たときにすぐに目につくのは、千葉市が連結実質赤字比率で赤字転落した点、将来負担比率が極めて大きい点である。
連結実質赤字比率とは、一般会計、特別会計などすべての会計の赤字と黒字を合算した時に赤字になるか黒字になるかという指標である。
通常、この指標が赤字になる団体はほとんどない。
また、将来負担比率とはその自治体が翌年度以降に負担することが確定している債務の大きさを見る指標で、その自治体クラスの標準的な財政規模に対して何%になるかを見るものである。
千葉市財政について熊谷市長はご自身のブログの中でこう述べている。
『借金返済のピークがまさに始まりつつあるため実質公債費比率のようなフローベースの指標はさらに悪化し、改善の傾向にある横浜市を抜いてこちらも政令市ワースト1位となっています。さらに国民健康保険の収支悪化によって、とうとう連結ベースでは赤字決算となりました。
今後の財政見通しですが、しばらくは今までの財政運営のツケを払う時期が続きますので平成29年度までは借金返済のピークが続き、実質公債費比率も高止まりして財政運営は厳しい状況です。』

他人事のような語り口が気になるのは私だけだろうか?
基本的には政令市になって基盤整備を行ったことが原因だろうが、それにしても財政悪化の凄まじさに驚かされる。
さて、わが松戸市はどうだろうか?
松戸市は、実質赤字比率も連結実質赤字比率も赤字がないので数値はない。
実質公債費比率が6.9、将来負担比率は29.9%である。
千葉市との違いは明瞭である。
県内主要都市の指標と早期健全化基準を掲載しておこう。 <br>
自治体名実質公債費比率将来負担比率
千葉市21.1%306.4%
船橋市2.6%負担解消
松戸市6.9%29.9%
市川市2.2%32.3%
柏市11.5%110.3%
野田市11.2%106.8%
流山市7.7%49.9%
我孫子市3.9%21.0%
鎌ヶ谷市7.8%60.0%
早期健全化基準25%350%

国民体育大会の謎(第421回)

第65回国民体育大会「ゆめ半島千葉国体」 が無事終了した。
今回の一番の特徴は、施設整備費を最小限に抑えたことだろう。
前回の新潟国体の203億円、前々回の大分国体の166億円に比べ、今回は45億円と過去5年間のうちで最小だった。
経済効果も過去5年間で最少の320億円だったとのことだが、これはいたしかたない。
さて、国体というといつも疑問に思っていたのが、『なぜ開催県が総合優勝するのか?』ということである。
今回も天皇杯、皇后杯を千葉県が獲得した。
前回は新潟県だったし、前々回は大分県だ。
ずっと遡って行くと、昭和52年の青森国体で天皇杯は青森県だったものの皇后杯は東京が取っている。
つまり昭和53年以降はずっと開催県が両杯を獲得しているのである。
いかなる採点方法なのだろうか?
今回初めて知ったのは、おおよそ以下のような内容であった。
まず競技ごとに1位が8点、2位が7点、以下3位6点、4位5点、5位4点、6位3点、7位2点、8位1点という競技成績の点数がつく。
これとは別に、競技に参加すると参加点として10点がつく。
そして、開催県は必ず参加はできる。
以上のような成績決定方法なので、開催県は参加すれば10点がもらえるのに対して、その他の都道府県は8位以内に入らなければ参加点がもらえないというわけなのである。
分かってみれば・・・・という感が無きにしも非ずである。
ちなみに開催県以外で天皇杯を獲得しているのは、第10回(昭和30年)以降では千葉県と東京都だけである。

侮りがたし「ハウステンボス」(第420回)

現在、ハウステンボスは経営再建中であるが、その将来構想は野心的ですらある。
環境都市を創ろうとしたそもそもの「まちづくり」構想を見ると、正直なところ非常に難しい気がする。
日常生活と切り離された場所で定住促進策を行うのは少なくとも一企業の仕事ではない。
しかし、観光という面に焦点を当ててみると学ぶところは多い。
中国からの観光客をどう呼び込むか、という一点に絞ってみても、たとえば上海との間に船舶による格安航路を開く。
航空機ではなく船というのがいい。
輸送人数が格段に違う。1000人単位の人を乗せることができる。
船の中に様々な仕掛けをつくれる。公海上であればカジノが開ける。
カジノから得られる利益は、船中での様々なイベントによって可能な限り乗客に還元する。
1000人オーダーの観光客を呼び込めるなら船中カジノで無理に儲ける必要がなく、むしろ儲けない方が良い気がする。
さらにもう一つの仕掛けとして、中国でのテレビドラマのロケ場所としてハウステンボスを使ってもらうのだと言う。
また、生涯教育は最高の娯楽産業だという発想に立てば、日本語の使用できない環境をつくり国内留学生を呼び込むこともできるかもしれない。
いずれにせよ、これら野心的構想を実らせるのはやはり資金である。
ハウステンボスは10年間の固定資産税免除を受けている。
年間9億円ほどだと言う。
この9億円のうちどれだけの金額が魅力あるイベントや新規投資に使えるかがポイントとなる。
ほとんどが維持管理費に消えてしまうのであればそれまでだ。
今後、ハウステンボスがどういうテーマパークに変貌しているのか興味はつきない。

ふと秋の日に思う「松戸市の時差」(第419回)

めっきり日が短くなってきました。
『釣瓶落とし』とはよく言ったもので、俳句の世界ではこの10月の季語です。
そこでふと松戸市の時差について考えてしまいました。
ちなみに松戸市役所は北緯35度47分、東経139度54分です。
時差というのは、360度÷24=15度ですから経度が15度について1時間の時差が生じます。
つまり1度について4分の時差というわけですね。
北海道の納沙布岬は145度49分、長崎県の野母岬は129度44分なので松戸市との経度の差はそれぞれ5度55分、10度10分の差です。
すると松戸と納沙布岬では約24分、野母岬とでは約40分の時差があることになります。
北海道と九州ではざっと1時間の時差。
あらためて日本の大きさを感じている秋の日であります。