月別アーカイブ: 11月 2012

他人はどうなってもいい?

表題にあるような『他人はどうなってもいい』という発想をどう廃していくか、古来からの大命題です。
先日行われた「松戸健康福祉センター運営協議会」の折に配布された資料に、クロイツフェルト・ヤコブ病の患者さんが1名とあるのを見つけたものですから思うところがありました。
1994年から1995年にかけて、イギリスで若い世代に10例ものクロイツフェルト・ヤコブ病の発生がありました。同病は高齢者に発症する稀な病気だったので非常に注目を集めました。
イギリスでは1985年にBSEが大量発生しました。その原因が肉骨粉だと判明し、イギリス政府は1988年7月に反芻動物に対する餌として使用することを禁じます。
ところが、その時点からイギリスから肉骨粉の輸出が急増します。1989年は3倍近く増え、その約半数がフランスへの輸出です。
フランスではその後BSEの牛が急増します。フランスもあわててイギリスからの輸出を禁じますが、ほとんど手遅れでした。
イギリスはその後もどんどん肉骨粉を輸出し続け、ヨーロッパ各地、アメリカ、カナダ、そしてアジアにも輸出されていきます。
肉骨粉にBSEの病原体が混入していた可能性は素人目にもわかりますし、イギリスは十分承知していたはずです。
にもかかわらず、自国の産業や業者の利益のためなら、たとえ隣国で病気が蔓延しようとどうなってもいいという発想です。
それが国際政治だと言ってしまえばそれまでですが、日本国憲法にある「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という前文が空しくなります。
日本の対応はといえば、農水省が肉骨粉を餌として牛に与えないようにとの通達を出したのが1996年です。
日本で初めてBSEの発生があったのが2001年9月10日。結局、2001年には3件発生しました。その後は2002年に2件、2003年に4件、2004年に5件、2006年に7件と増えていきます。
「諸国民の公正と信義を信頼する」と宣言できるのは、本当は自らの力で自らを守れる者だけなのかもしれません。

本日、追い込まれ解散

今日の野田首相の解散は、やはり『追い込まれ解散』だと思います。
11月14日の読売新聞夕刊に『予算削減 各省ゼロ回答』という囲み記事がありました。
それによると、民主党が各府省に求めていた概算要求額の3%カットに対する回答が、具体的提示なしの『ゼロ回答』だったというのです。
記事では『官僚が野田政権に見切りをつけ始めたとの見方も出ている』とされていましたが、こういう記事が出てきたということは、それ以前から相当の退陣圧力を党の内外から受けていた証左だと思います。
そこで「近いうち」との約束を果たすのは今しかないということや、その他様々な考えがあって「11月16日解散・12月16日投票」という結論になったのだと思います。
なんでもワシントンポストには、今回の選挙は『7年で7人目の首相を選ぶ選挙』と揶揄されたそうです。
今度こそ、良いことばかり書き連ねたマニフェストに騙されずに、本当に国民の側に立つ政党はどこなのか見極めていただきたいと思います。
そもそも「国民の生活を守る」と言うからには、少なくとも国民の中に根を張って国民の身近なところにいる政治家、国民の声に耳を傾ける政党でなければなりません。
国民との接点のない風まかせの政党では、「この3年間の民主党政権の繰り返しになる」と力の限り訴えてまいりたいと思います。

危機感欠如、スカイマーク

政治はいよいよ衆議院解散で慌ただしく回転し始めました。私たちも渾身の力で有権者に訴えてまいりたいと決意を固めています。
しかし、「県民の命と生活を守る」ということは、衆議院解散とは関係なく、私たち県議の重大な責務ですので油断なくチェック機能を働かせていこうと思います。
今朝の新聞各紙にスカイマーク社に対する東京地裁の賠償命令の記事がありました。
2010年2月にキャビンアテンダントの一人が風邪でおおきな声が出せないことを理由に機長が交代を指示したところ、スカイマーク社会長から交代要員がいないのでそのまま出発することを命じらました。それを機長が拒否したところ自宅待機、解雇されたというのです。
2月のといえばインフルエンザの季節です。私は、このキャビンアテンダントが本当に風邪なのか別の病気ではないのかというところから疑ってしかるべきだと思います。スカイマーク会長は、2002年のSARS問題のことを完全に忘れ去っています。
2002年2月11日、中国広東省で原因不明の急性呼吸器不全で感染者350人、死者5人と世界保健機構に報告が入りました。
2月11日、治療にあたっていた65歳の医師が香港のホテルに宿泊し病原菌を持ち込み、このホテルに宿泊していた客がその後、トロント、ハノイなどに移動します。そして世界各地に拡大していったのです。
その後、ニューヨークやシンガポールにも飛び火して、ようやく原因がコロナウイルスと判明するのが4月16日。
成田国際空港をかかえるわが千葉県においても県内各地でSARSへの体制を整えるのに大わらわでした。千葉大学では専用の病棟まで急造しました。
中国から情報を拒まれながらも3月時点で世界に警告を発した世界保健機構は評価を高めました。逆に情報を拒んだところは厳しい批判にさらされました。もはや航空機、空港に関連したところでの感染症情報はフルオープンにしないと世界から批判されるのが常識の時代なのです。あっという間に病原菌やウイルスが日本各地、世界各地へ拡散するのですから。
こうした危機感を持つことが航空会社には求められるのです。
私が気になっているのが、機長がカナダ人だったことです。もし日本人機長であったなら、はたして会長命令を拒否できたのでしょうか?スカイマークのこの裁判は実に根深いものを秘めているように思えてなりません。
※写真は羽田空港です。スカイマーク機ではありません。

特定財源と赤字財政

現代社会において、民主主義という体制が最も望ましい仕組みであることは多くの人の支持を得ていることと思います。
しかし、そこに衆愚政治への危険性もあるということも社会全体の共通認識だと思います。
社会全体が少ない負担で多くのサービスを受けたいと思えば、財政が赤字になりがちになるのは自明のことです。
欧州諸国がユーロ加盟の条件として、一定以上の赤字財政を認めないとしたのもよく理解できますし、そういう他国との決め事がないとなかなか赤字財政の解消は進みません。
国家が破たんした時に、IMF主導による財政の立て直しが行われますが、このことも「自らの赤字財政を自らの決断で解消していくということは不可能」という裏付けなのかもしれません。
では、どうしたら財政の健全化を図れるかといえば、唯一考えられるのは表題の『特定財源』の考え方です。ある種の財源は赤字財政の解消に使うということを決めてしまうわけです。
昭和29年に揮発油税が道路特定財源になってから、自動車関連諸税は平成21年までの63年間にわたって道路建設と維持管理に機能し続けました。これが使命を果たし終えたのかどうかはさておき、この手法がなければこれほどの道路網整備はなかったでしょう。
この夏の3党合意による「消費税はすべて福祉に使う」という目的税化の考え方も同一の発想です。
そうしてみると、民主主義社会において財政赤字の解消を財政という立場から考えた時に、この考え方以外に解決策はどうしても思いつかないのです。
問題は、揮発油税と道路特定財源のような一定の結びつきのある財源があるのかどうか。さらに、道路をつくるといったインフラ整備ではないため、経済成長への寄与が限定的であることが予想されることです。
そこで、少なくともプライマリーバランスを黒字にするまでという期限を区切ることと、そこに至る計画が誰の目からも明確であることが求められます。

結局、オバマの圧勝

アメリカ大統領選挙は、結局のところオバマの圧勝でした。
それまで接戦だ!とほとんどあらゆるマスコミが報じていたのに「なんだかなあ」という気がしました。
同時に行われた各州の住民投票も非常に気になるもので、11月8日の朝日新聞によると『大麻「合法化」 コロラド州 ワシントン州』『同性婚「容認」 メーン州 メリーランド州』『遺伝子組み替え表示義務「反対」 カルフォルニア州』などと報じています。民主党のリベラルな政治の雰囲気がますます拡大する感があります。
それはそうと、話を元に戻して大差のついた大統領選です。
日米のマスコミともに接戦の報道、世論調査でも接戦。これは何を意味するのでしょうか?
身も蓋もない話ですが、マスコミの側からすれば、大統領選をお祭りと見立てて、そのお祭り騒ぎを煽れば煽るほど収益がプラスになるという構図はあるでしょう。おそらくそれが本質論だと思います。
しかし、もう一つ見落としてはいけないのは、ハリケーン『サンディ』の襲来です。
ニューヨークですらほぼ1週間の停電に見舞われるほどの被害で、翌週のニューヨーク・マラソンも中止になりました。
電気が使えないというのは暖房もダメ、少なくとも多くの人が住んでいるマンションでは水も出ない、地下鉄が動かず公共交通機関はバス中心となり、基本的にうんざりするほどの満員でしょうから乗れるんだか乗れないんだか来てみなければわからない。日本と違って夜間の危険性を考えれば明るいうちに帰宅しなければなりませんので大変なストレスでしょう。
そういうハリケーン襲来のときに、さぞオバマは格好良く振る舞ったのだろうと思います。当選を決めたオバマの勝利宣言も実に格好良かったですから。(日本の総理と天地雲泥の差です!)
ハリケーンの来襲とアメリカに漂うリベラルな雰囲気の心地よさ、そうしたものがオバマの圧勝に寄与したのかもしれないなどと思うのです。