日別アーカイブ: 2012年11月30日

帰宅訓練をしてみました

3・11の東日本大震災では大勢の方が徒歩で帰宅することになりました。
そこで、私も一度は歩いてみなければならないと思い、都合2度にわたって上野駅から松戸方面へのルートを歩いてみました。
スタートは上野駅の浅草口としました。メインルートは国道6号線となります。
まず、隅田川に出るルートも様々あります。
浅草通りがあり、言問通りがあり、合羽橋本通りがあり、そのほか細かいところ入れれば無数にあります。
まず考えなければならないことは、それらルート上にどのような危険地帯があるかであります。
仮に、言問通りを選んだ場合、浅草3丁目が倒壊危険地域に指定されています。一方、言問通り中間点には交番があり、交番の存在が心強いといった判断ができるかもしれません。
次に隅田川に出たとして、どうやって向こう岸へ渡るかも問題です。
南から駒形橋、吾妻橋、言問橋、桜橋があります。
吾妻橋から北は、隅田川の両岸が避難場所に指定されている隅田公園です。
しかし、常識でわかりますように川の流域は軟弱地盤で液状化の危険があります。無理して渡るのが良いかどうかは、そのときの判断のしどころです。
向こう岸・左岸に渡れば、そこには墨田区役所がありますので、そこへ逃げ込む方法があります。
左岸へ渡れたとして、今度は向島3丁目交差点から向島4丁目一帯は倒壊危険地帯であるだけではなく、火災危険地帯でもあります。
特に危険性が高いのが、東向島1丁目交差点から鳩の街通りと、東向島3丁目交差点から地蔵坂通りまでで、両方とも火災危険地帯です。
実際に歩いた感じでは、これをどう抜けるかが大きなポイントであると思いました。
さて、途中を省略して四ツ木橋を渡ります。
上野から松戸までの間に大きな河川が4本あります。
隅田川、荒川、中川、江戸川です。
その2番目の荒川を渡るのが、四ツ木橋であり、新四ツ木橋です。
どちらの橋も、液状化危険地帯にあります。
ここから本田広小路交差点、立石5丁目、白鳥交差点付近から青戸7丁目までも同じく液状化危険地帯です。
3本目の中川を何とか渡って、少し下り坂を行くと、気持ちの良い緑道が横切っており、道端にベンチが置いてあります。
長時間歩いて来れば、ベンチは非常にありがたい存在で、普段ならここでしばし憩うところですが、実はこの緑道は昔の河川跡です。
都内には、こうした、かつて河川だったところが、今は暗渠になっているという場所がいくつもあり、こういう場所がまさに、液状化危険地帯です。
ここを超えると金町は目と鼻の先です。金町広小路から高架になった国道6号線の下、道路のわきを歩いて江戸川の堤防に上がります。
堤防に上がる階段は、一か所だけしか設置されていません。
しかし、その階段へたどり着くまでの周辺は、火災に対して非常に脆弱な住宅密集地です。
果たして江戸川の土手に登れるのかどうか、最後の最後で不安になります。
以上、長々と述べましたが、ザックを背負い、頭を守る帽子をかぶり、けがを避けるための手袋をつけ、水や行動食をもつという万全の体勢であっても、大きな河川を何本も超え、火災危険地帯、倒壊危険地帯、液状化地帯を抜けて帰宅するのは容易なことではありません。
千葉県はじめ、首都圏各都県で帰宅支援ステーションを設けました。
たいがいはコンビニですが、実際に歩いてみると6号線のような幹線道路では駐車場が確保できないために、そもそもコンビニがあまりありません。
ガソリンスタンドがあるたびに、「こちらは帰宅支援ステーションですか?」と尋ねても、残念ながら「なんですかそれ?」という回答ばかりです。
幹線道路で一番目につくのは、自動車のディーラーなので、ここが支援ステーションになってくれればよいとも思いましたが、ディーラーの店舗は、ほとんど全面がガラスという造りなので、むしろ返って危険かもしれません。
なお私が歩いた8月の時点では、支援ステーションになっているカラオケ店は一つもありませんでした。
帰宅支援対策も実際に歩いてみるとなかなか単純なものではないことがわかります。
まず大事なことは、どこに何があるかという地図であり、地図に示す内容も支援ステーションの場所だけではなく、ここに利用できる公園がある、ここは倒壊、火災、液状化危険地帯、ここはエスケープルートがあるといった役に立つ情報が必要だと思いました。
そのためには、千葉県のみならず、東京都など首都圏各都県の帰宅ルート途上にある、密集市街地の情報も得なければなりません。
渡らねばならない荒川などの河川堤防は、どこが整備されていてどこが未整備なのか、という情報も必要でしょう。
そのためには、より一層、国土交通省や東京都などとの連携が求められます。
以上のような、実践に即した帰宅困難者対策を11月28日の千葉県議会の代表質問で質しました。
ぜひ千葉県議会のホームページでご覧になっていただければ、と思います。