日別アーカイブ: 2012年11月1日

地震予知について

私は、地震予知ができるとは思っていません。それが常識だと思っていましたので、10月16日の日本地震学会シンポジウムやイタリアでの地震学者に対する有罪判決にはいささか違和感を覚えました。
地震の研究は非常に進みましたが、そのメカニズムを知れば知るほど、避難のための『予知』は不可能だという結論になります。
たとえば、プレートというと巨大な岩盤というイメージですが、残念ながら均質ではありません。したがって、仮に常に同じ方向から常に同じ力が加わったとしてもどこが割れるかなど分かるはずがありません。まして常に同方向の同程度の力など実際にはあり得ません。
また、プレートそのものも生成途上にあったり、プレートとプレートの境界も実際にはあいまいなものです。むしろ『プレート』という言葉が誤解を招いているきらいもあります。
プレートが動く理由である地球内部の温度差にしても、同じ場所が常に同じ温度であるはずがなく、プレートの動きも生成も均質・均一であるはずがありません。したがって、予知などできるはずがないということは至極当たり前のように思えます。
10月16日のシンポジウムでは地震調査委員会委員長の津村氏は「地震や地殻変動などの観測はメカニズムの解明につながっている。今後も予知を掲げるべきだ」と主張し、東大大学院のロバート・ゲラー教授は「これまで観測網を強化してきたが、地震を予知できた事例はなく、このまま研究を進めても予知につながらない」と主張しました。お二人とも間違ったことは言っていません。予知はできないがメカニズムの解明は進むと言っているだけです。
結局のことろ、地震の時間と場所と規模を特定することは現時点ではできないということなのでしょうが、私は今後も不可能だろうと思っています。
ただし、だからと言って研究をやめろ言っているのではなく、地震メカニズムの解明や津波の予測により予算をつぎ込むべきだろうと思います。地震の予知そのものについては衛星による列島の変形を見ていた方がましかもしれません。
海溝型の地震ですらこうなのですから、活断層にかかわる地震、プレート内部の地震については推して知るべしです。
私たちは、予知に頼るのではなくあくまでも減災という観点を忘れずにしなければと思うのみです。