月別アーカイブ: 5月 2012

ホルムアルデヒド断水の教訓

基準値を超えるホルムアルデヒドの検出により、19日に北千葉浄水場、栗山浄水場の取水が停止されました。
35万世帯が断水となり、皆様には大変ご迷惑をおかけしました。
かつては東葛地域の自治体も100%井戸水を使っていました。ところが、人口急増により水需要に対応するために北千葉広域水道企業団をつくりました。
松戸、柏、野田、流山、我孫子、八千代、習志野の7市と千葉県の8団体です。そして、構成団体である千葉県は北千葉の水を鎌ヶ谷、白井、市川、船橋へ配水しています。したがって、北千葉浄水場の影響は、11市に及んでいます。
さて、このたび江戸川の水からホルムアルデヒドが検出されたところですが、ホルムアルデヒドは水に溶けやすく、その水溶液がホルマリンです。生物標本の腐敗防止などに使われています。
1リットル中に0.9ミリグラムあったとして、それを毎日2リットル10年間飲んでも大丈夫と言います。
しかし、国の基準は0.08ミリグラムです。今回はその3倍ほどの数値となり取水を停止しました。
今回の教訓としなければならないことがいくつもあります。
大前提として、今後起こるかもしれない災害に対しての備えに資するものとしなければなりません。
今回の対応で良かった点、悪かった点を徹底的に検証しなければならないと思います。
まず、断水したところと断水を回避できたところとで何が違っていたのか?
それは、対策が不可能なことなのか?
たとえば災害対策用・緊急用の井戸はどう活用されたのか?
一つの浄水場がだめになった時に別の浄水場からの配水の代替ルートがあるのかないのか?
ないとすれば将来に備えて作れないのか?
こういう事態の際、上流のダム放流のマニュアルはどうなっているのか?
病院など優先的に水を供給しなければならないところへの給水対処は万全だったのか?
自衛隊の要請のタイミングは的確だったのか?
対策会議へ駆けつけるべき人がちゃんと駆けつけることができていたのか?
情報伝達手段はやはり今回も心配な点でした。
まず、「今の状況はどういう状況か?」「断水、減水はどうなるのか?」「給水はどうなるのか?」「健康への影響は心配ないのか?」「断水解消などの見通しはどうなのか?」
こうした情報を的確に出せていたのか?どういう方法で伝達されたのか?それは伝わっていたのか?
こうした検証をきっちり行うことが、そのまま災害対策につながると思うのです。
起こってしまったことを取り消すことはできません。今後の教訓に生かしていきたいと思うのです。

国会議事堂の探検

今朝の日経新聞に『8階に知られざる「ダンスホール」 国会議事堂中央塔』という記事がありました。
『政界回り舞台』という囲み記事ですが、そこにはこう書かれています。
『ピラミッド型の屋根がある部分は中央塔と呼ばれ、ここには国会議員も特別な機会しか入れない「開かずの間」がある』
掲載の写真にはダンスホール風の結構広い円形の部屋の中央に螺旋階段が天井へ、そしてさらにその上へと続いています。
私は22歳の大学卒業間際に国会で働き始めましたので、この『開かずの間』に一度だけ入れてもらったことがあります。
エレベーダーも人目につかないところにあり、全体としてうす暗い空間です。
この8階のホールはかつてはダンスホールとして使われていたそうですが、私が入った時にはポツンと電話機が置かれているだけの洋間でした。
私は、やはり一番興味のある中央の螺旋階段を昇らせてもらいました。どうしても少しでも高いところがあれば昇らずにはいられない性格なのです。
昇っていくと、そこは窓も何もない、いわゆる国会議事堂の真ん中のピラミッド型の塔の頂上なのでした。
その日は雨模様の一日で夕方の薄闇がすでに漂っていました。
私は、何気なく塔の上から後庭の方を見下ろしながらシャッターを切りました。フラッシュがポッと焚かれました。
それから数分後です。数人の衛視の方が私のもとにあわてて駆け込んできました。
議事堂の塔がピカッと光ったので、「すわっ爆弾か!」「テロリストか!」と騒然となったというのです。
ちょっとしたことでも国会議事堂内の警備体制は瞬時に発動されるのだとあらためて実感したのでした。
日経新聞の記事から30年前の忘れていた記憶が呼び起されました。

北千葉に高度処理施設を

千葉県水道局技術部浄水課『ホルムアルデヒド検出による断減水について』の第7報が入り、数十時間にわたる激闘は一応の終結をみました。関係各位の昨日からの奮闘に心から敬意を表します。本当にお疲れ様でした。
また、丸一日にわたり野田市、流山市、柏市、松戸市にはじまり八千代市、木更津市までもの議員諸氏から活動状況など様々な貴重な情報提供がありほぼ状況把握ができていました。ありがとうございました。
さて、水道局の第7報にはこう書かれていました。
『栗山浄水場については、午後6時40分から取水を開始しましたので、第6報でお知らせした区域を含め、千葉県水道局の給水区域での断水は、回避できる見込みです。』
ホルムアルデヒドの発生源については、群馬県を水源とする烏川らしいという程度で、まだ特定できていませんが、これほどの事件を引き起こすのですから相当大量に流れたのだと思います。
そうした発生源を割り出しての安全対策は当然として、今回、同じ江戸川に取水口がありながら、全く問題なく取水していた東京都の金町浄水場と千葉県の野菊の里浄水場の存在は特記すべきだと思います。
これら二つの浄水場に共通しているのは、水の『高度処理』を行っているということです、
これは、通常の浄水処理方法では十分に対応できない臭気物質、トリハロメタン前駆物質、色度、アンモニア性窒素、陰イオン界面活性剤等の処理をオゾンなどで処理するものです。
高度処理は、もともと『おいしい水』のために導入したのですが、ホルムアルデヒドのような化学物質対策にも力を発揮することがあらためて証明されました。
今回、断水したり、またその危機にさらされた松戸市はじめ野田市、柏市、流山市、我孫子市、習志野市、八千代市そして千葉県がつくっている北千葉広域水道企業団は、江戸川から取水する北千葉浄水場に一日も早く高度処理施設を導入すべきだと思います。
それが今回の教訓だと思うのです。

消費税論議

読売新聞に『ここが焦点 一体改革』という囲み記事の連載があります。
今日は『軽減税率』がテーマでした。(ちなみに17日は『景気条項』でした)
この軽減税率の記事に私たち日本人にとってはちょっと不思議なことが書かれていました。
『ドイツではハンバーガーを店で食べると付加価値税率は19%で、自宅などで食べる持ち帰り用は7%、フランスではチョコレートは19.6%だが、庶民向けとされる「板チョコ」は5.5%だ。』
後者のフランスの例は、わが国においてもビールの麦芽を少なくする発泡酒の事例を思い出せば理解できますが、ドイツの例は不思議です。
要するに、店で食べれば、それはあくまで『嗜好品』であって、家に持ち帰るとそれは『食品』になるということでしょう。
消費税に関しては、このような決めなければならない細目が山ほどあります。
マニフェスト違反の消費税導入は、国会でも今後揉めに揉めることでしょう。そう簡単に賛意が得られるとは思えません。
そして、仮に導入が決まったとしてもおそらく細目の決定には1年程度はかかるのではないかと思います。
制度、特に税制の変更は、私たちのライフスタイルから業界の消長という広範囲かつ重大な影響を及ぼします。
したがって、他の政策ならともかく、こと税制の改革については国民に信を問うということが条件になると私は思うのです。

セシウムの毒性は?

放射性セシウムの毒性がよくわかりません。
中部大学の武田邦彦教授が「青酸カリの約2000倍」というショッキングな発言をされました。
その一方で、Wikipediaによれば「大部分のセシウム化合物は(略)わずかな毒性がある」とされています。
カリウムが人体内にあるのは周知のとおりで、それが「わずかな毒性」というのと「青酸カリの2000倍」とではあまりにも違いすぎるところです。
塩化セシウムのマウスにおける半数致死量値は体重1キログラム当たり2.3グラムだそうで、この値というのは塩化ナトリウムや塩化カリウムにほぼ等しいといいますので、まさにわずかな毒性ということになります。
一方、武田教授によれば放射性セシウム137の半数致死量は成人で0.1ミリグラムだといいます。
もしこの両者が正しいとするならば、60キログラムを成人体重とすれば、塩化セシウムのほうは138グラムが半数致死量であり、それよりも放射性セシウムは138万倍毒性が強いということになります。
wikipediaには、放射性セシウムについてはこのような記述もあります。
「ブラジルのゴイアニア廃病院からセシウム137が盗難に遭った上、光るセシウム137の塊に魔力を感じた住民が体に塗ったり飲んだりしたことから250人が被ばくし、4人が死亡する大規模な被曝事件が発生している」
半数致死量がどうあれ、少なくとも人を死亡させるほどの被害を引き起こす物質であることは間違いないようです。そうであれば、私たちはセシウムについてもっともっと認識を高めねばなりません。