日別アーカイブ: 2012年1月22日

消費税アップは見識か?

野田総理は「消費税増税に不退転の決意」だと言います。「ネバーネバーネバー・・・」だと言います。
そして、総理主催の有識者会議の参加者はこんな話をします。
「2005年9月のドイツ総選挙では、医療保険を将来的にも安定させるために、キリスト教民主同盟党首のメルケル氏は付加価値税の16%から19%への引き上げを公約した。そして、選挙に勝利し公約通り2年後に税率を引き上げた。日本人もそれくらいの見識を示さなくてはならない。」(趣意)

しかし、このようなドイツでは・・・日本では・・・・という論理展開は、私はだいたいが眉唾だと思っています。
そもそも、課税売上高1000万円以下の事業者の納付が免除されます。ドイツではありえないことです。
また、5000万円以下の事業者はみなし仕入れ額などといういい加減な課税方式です。
さらに、大企業や輸出企業に益税が発生しやすい問題もあります。
つまり、基本的にだれが負担するのかがあいまいな制度であり、それもこれもインボイスがないことが原因です。
ヨーロッパの優れた制度を歪めておいて、それに触れずにドイツ人は見識が高く、日本人は・・・というのはやはり無理があります。
私は、今の消費税の欠陥を放置したまま税率を引き上げることこそ見識を疑われると思うのです。
(画像はインボイスです)

政治(家)改革の条件

『国家の発展は、人民各自の勤勉の力と真面目な行いとが総合して現れるものである。国家の衰退は、人民各自が怠慢で利己的になり、悪行が積み重なった結果である。』(「自助論」S・スマイルズ)
この人々に自立を促す大著のテーマは、必要条件であっても十分条件ではないと私は思います。
Aという商品を選ぶかBという商品を選ぶかというとき、私たちは優れた方・使い勝手の良い方を選びます。その際、買った商品に欠陥があった場合は製造者に苦情を出すこともありますが、良いものを買ったと思った時には私たちは声を上げません。次にもその商品を買うだけです。
政治に対しても同じで、政策に反対の時には声を上げますが、賛成の時には声を上げません。これは自然な行為なのだと政治家は素直に受け止めねばなりません。
政治をよくする場合の問題は、第一にAがダメならBという選択肢が確保されているかどうか、第二に、選択が正しく行えるかの2点です。
間違っても大連立のような選択の自由を奪う手法はあってはなりませんし、選ぶべき候補者が一人しかいないという状況をつくり出す選挙制度、一人しかいない状態をつくってしまいがちな選挙制度は間違いだと思います。
次に、正しい選択とは何かというのが第二の問題です。
小選挙区制度というのは、どうしてもその選挙区に限っての正しい選択になりがちです。
社会問題における対立のパターンとして、その地域で正しいことがもう少し広い範囲、広い地域では正しくないことがしばしばあります。
八ツ場ダムは、洪水の脅威と関わりのない人には必要ないものでも、利根川、江戸川近くに住む人たち、ゼロメートル地帯に住む人たちには必要だとなります。北陸新幹線は、使うことのあまりない人には不必要でも沿線の人たちには必要ということなります。
紙数がつきてしまいますので、いきなり結論めいた話になってしまいますが、そもそも地域単位での選挙制度が本当に正しい選択となるのかは、おそらく将来世界の大きな課題となると私は思います。
地域単位のみならず課題単位の選択という新たな選挙制度を模索することになるのかもしれません。
いずれにしましても、まず第一の段階、すなわち『自立』を私たちは今一度心していかねばなりません。

ひどすぎる野田さんの演説

「ひどい」の語源は「非道」すなわち「道に非ざること」です。
1月21日付「夕刊フジ」の『鈴木棟一の風雲永田町』に書かれていた野田総理の2009年8月の大阪府堺市での街頭演説をYouTubeで見てみました。
さすがにひどい。道に外れた発言だと言わざるを得ませんでした。
野田総理は、消費税増税を「不退転の決意でやる」「ネバーネバーネバー・ギブアップだ」と言っています。
その同じ人物が、2年半前にはどう言っていたか?

「(マニフェストに)書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです。」
「書いていないことを平気でやる。これっておかしいと思いませんか?書いてあったことは4年間何もやらないで、書いてないことは平気でやる。それはマニフェストを語る資格がない。」
天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ消費税増税はおかしいんです。徹底して税金の無駄遣いをなくしていく。それが民主党の考え方です。」
「天下りを許さない。渡りは許さない。それを徹底していきたいと思います。」

YouTubeの映像には、道路脇で演説する野田さんと、その野田さんの演説にいちいちうなづいている民主党候補らの姿があります。この脇でうなづいている人たちは、いま何とも思っていないのでしょうか。
このYouTubeを見た人たちの感想が秀逸です。
「この野田っていう人の言うとおりだと思う。今の総理大臣に聞かせてやりたい言葉だ」
こうした批判精神があるうちはまだまだ日本も大丈夫だという気にさせられます。しかし、正論に耳を傾けていたら民主党代表など務まらないのが現実なのでしょう。
「演説はうまいが中身は詐欺」
おそらく現在のわが国の多数意見だと思います。