日経・毎日の実に不思議な記事(第446回)

11月18日の日経新聞に何とも奇妙な記事が掲載された。
その後、20日にも毎日新聞が報じたのだが、その見出しが『「反物質」0.2秒 閉じ込め成功』というのである。
記事内容は、理化学研究所などが参加する8カ国の国際研究チームがジュネーブにある欧州合同原子核研究機関の装置を使って、「反水素原子」をつくり、それを内部に強い磁力を加えられる瓶のような装置に0.2秒閉じ込めたという話である。
こうした素粒子物理学の世界は謎だらけで非常に興味深い話が山ほどある。
まず、物質には電荷が逆になった「反物質」(つまり水素原子はプラスの電荷、反水素原子は電荷がマイナスという具合)があるのだが、なぜか自然界では発見されていない。
なければならないものなのに、現在のところ宇宙のどこにも発見されていない。
これは不思議である。
したがって、今回の研究チームのように人工的に作ってやらなければならない。
そして、それを0.2秒も特殊な瓶に閉じ込めたのである。
こういう何の役に立つのか分からないことに世界中の頭脳がまじめに取り組んでいるのが実に楽しいし凄いことだと思う。
毎日新聞の記事では、理化学研究所の山崎上席研究員のコメントが出ており、その結論部分はこうである。
『物質と反物質は、宇宙の誕生当時は同じだけあったと考えられており、山崎さんは「今後の実験で、なぜ宇宙に物質だけが残っているのか解明する手掛かりが得られるかもしれない」と話している。』
宇宙誕生時、つまりビッグバン直後には、物質と反物質があった。
ところが、今は反物質は見つかっておらず、物質しかない。
それを解明できるかもしれないというのである。
映画スターウォーズのなかでは反物質はエネルギー源とされており、もし反物質の製造が安価でしかも十分に制御できるならエネルギー問題は解決ということになる。
ただ、一説によれば0.25グラムの反物質をつくるのに、兆の単位を遥かに超える莫大な電気代がかかるという。(「宇宙は何でできているのか」村山斉著≪幻冬舎新書≫)
うまくしたもので、人類はそうそう楽に人生を送れないということになっている。
また、むしろ楽をしてはいけないのだろうとも思うのである。


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