月別アーカイブ: 9月 2010

どうしたいのか?後期高齢者医療(第401回)

ようやく民主党代表選挙が終わった。うんざりするほど長い期間だった。
そこで、いち早く結論を示してほしいのが後期高齢者医療制度だ。
鳩山内閣のマニフェストでは『後期高齢者医療制度・関連法は廃止する。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する。』とされていた。
もともと国民健康保険の赤字がにっちもさっちも行かなくなったので、10年議論して導入したのが後期高齢者医療制度である。
廃止には多額の負担が必要だ。
それは国が支援すると言うのだが、要するに民主党が負担してくれるわけではなく、国民が負担させられるのである。
「国」というと自分とは遠い機関のように聞こえるが、これは「国民」と読み換えながら理解しなければならない。
したがって、あまりにも愚かしいマニフェストであり、私たちは先の衆議院総選挙でも批判してたきた。
それが、鳩山さんが失脚し、菅総理になるとマニフェストが変質した。
『(結論を得るまでの間は)後期高齢者医療制度を存続させることにしました。』
共産党などが「マニフェスト違反である」と痛烈に批判している部分である。
鳩山マニフェストの『関連法は廃止する』という表現は専門家的な書き方だ。
関連法が廃止されると『医療費適正化計画』がなくなり、大きなお世話と言う批判がある『メタボ検診』がなくなる。
さらに前期高齢者医療制度等の財政調整がどうなってしまうのか、療養病床再編がどうなってしまうのかも皆目不明となる。
つまり???だらけなのである。
今回、菅代表が決まったということは、菅マニフェストが生き残るので、「当面は後期高齢者医療制度は存続」という『?』に輪をかけた宙ぶらりん状態が続くことになる。
地方の立場から言わせてもらえば、「もういい加減にしてくれ!」と言うことだ。
ぶれにぶれる政権ではあるが、ほかの話ではない。ことは国民の命にかかわる重大問題 なのである。
もっと真剣に、もっと早く後期高齢者医療制度をどうしたいのか、結論を出してもらいたいのである。

新市長の50日間(第400回)

私の手元に「広報まつど」7月15日号がある。
6月13日の市長選で当選した本郷谷新市長の就任あいさつが掲載されている。
そこにはこう書かれている。
『私は「55のマニフェスト」を掲げて戦ってきました。そして、その約束を実行するのが私の使命です。
その一つが、松戸市立病院の紙敷への移転計画を中止し、現地での建て替えを推進することです。
(中略)しかし、すでに反対行動を起こしている人がいると聞いています。この問題は政治的に決着がついております。具体的な案を早急に策定し、実行に移して行きたいと思っています。』
移転中止は政治的に決着がついているのでガタガタ言うな!という発言である。
私の手元に「広報まつど」9月1日号がある。
初めての議会での新市長の所信表明が掲載されている。
そこにはこう書かれている。
『私が掲げたマニフェストへの取り組みのうち、主なものを順次ご説明します。
一つ目は、市立病院の紙敷への移転中止です。市立病院については、現地での建て替えについて、技術的・専門的検討を早急に行い、検証経過を広報やインターネットで公開していきます。』
就任挨拶では「移転は決着済みで議論の余地はない」という趣旨の強気な発言だったが、それから2カ月も経たないうちに議会では「現地建て替えができるかどうか技術的・専門的検討を行う」というのである。
しかし、そんなことはこれまで議会ではさんざん議論してきたことではなかったか?
その議論を本郷谷市長は百も承知ではなかったのか?
だからこそ、立候補する前の本郷谷市議会議員は、紙敷の土地買収の議案に賛成したのではなかったのか?
数々の疑問がわく。
ちなみに、この「広報まつど」9月1日号の本郷谷市長の所信表明の次ページ(2ページ)の冒頭には、『学校選択制のご案内』のお知らせが掲載されている。
松戸市では、かねてより入学する小中学校が選べることになっている。
この、とうの昔から実施している松戸市の施策「学校選択制」について、本郷谷氏は『55のマニフェスト』の中で『学校選択制を導入を実現します』と掲げている。
本当にこの人は松戸市のことを考えているのだろうか?

10年前の今日?東海豪雨のこと(第399回)

以下は、9月6日に行った私の千葉県議会代表質問からの抜粋である。
『ちょうど10年前の2000年9月10日から9月12日にかけて、秋雨前線は東北地方から山陰沖へ伸びた状態で停滞しておりました。
一方、9月11日、大型で非常に強い台風14号が南大東島の南南東約120キロの海上をゆっくりと北西に進んでおりました。
秋雨前線は列島上にある。台風は上陸するのではなく九州のはるか南海上を日本から離れるように横切っていく。ある意味では珍しくもなんともない気圧配置であります。
しかし、このパターンは、台風からの暖かく湿った空気が大量に流れ込み、停滞する前線を刺激するというきわめて嫌なパターンでもあります。
愛知県では夕方から12日の明け方まで県内各地で記録的な雨となりました。
名古屋地方気象台では11日19時に時間最大雨量93ミリを記録し、降り始めから12日までの総雨量は567ミリに達しました。
ちなみにこれは年間降雨量の実に3分の1にあたります。
こういう状況ですから、当然のように、一日の降水量も428ミリに達し、これは名古屋地方気象台観測史上最大を記録しました。
この結果として、庄内川では河口から4キロ付近の一色大橋下流右岸で越水。新川では名古屋市西区の左岸堤防が約100メートルにわたって決壊。氾濫面積8.3キロ平米、浸水家屋7000棟という大変な被害となりました。
実際の水位が、計画高水位を超えた場合、堤防がいかに脆弱かということを見せつけたのも大きな教訓の一つでありました。
また、愛知県東部では、天白川の水位は危険水位を超えて堤防高に達し過去最高水位を記録、支川から溢れた水により8200戸が浸水。さらに、この地域では地下鉄や主要幹線道の浸水により深刻な被害を出しました。
一方、矢作川水系では総雨量が伊勢湾台風時の2.7倍以上にあたる595ミリに達し、上流部では土石流による家屋の流出、斜面崩落、大量の土砂と流木が流出する、いわゆる「沢抜け」などにより地域が孤立。
中流部の豊田市では越水、氾濫。そして堤防の方は、至る所で法面崩壊、漏水といった被害がおこりました。
この豪雨による愛知県の被害状況は、死者7名、負傷者107名、浸水家屋2万7606棟、堤防決壊20か所、越水315か所でありました。
この東海豪雨は東北地方から山陰地方にかけて秋雨前線が伸びておりました。これがもう少し南に寄っていたら、中部圏ではなく首都圏が被害を受けていたかもしれません。
いずれにせよ、この名古屋での甚大な被害はコンクリートとアスファルトで固められた都市というものが、いかに水害に弱いかを露呈しました。
水道やエネルギーと言ったライフラインのもろさ、また、千葉市内でもたとえば稲毛区役所前など多数のアンダーパスがあり、登戸など今なお工事中ですが、これらアンダーパスがことごとく使えなくなるという道路網のもろさ、水洗トイレも使えない生活様式面のもろさ、駅やビルディングの地下空間の危険性、そして水害後のあまりにも大量のごみなど都市特有の課題であります。
また、私達は堤防が決壊する、破堤すると言うことを、普段はほとんど考えておりません。しかし、東海豪雨を見れば破堤はいつでも起こりうるということが良く分かります。
計画高水位を超えた場合は、真っ先に破堤を想定しなければなりません。堤防は天端まで大丈夫と言うつくりにはなっておりません。
東海豪雨のケースでは、本当はもう一つダムがあるという想定にたって計画高水位を計算して堤防をつくっておリました。
ところが諸般の事情からそのダムは今なおできておりません。ダムは完成しておりませんでしたが、そのダムがあるという想定で計画高水位が計算されておりますので、ほとんどの一級河川で警戒水位を超え、庄内川、矢作川では計画高水位を超えてしまいました。
この事例は、私ども千葉県の河川と群馬県のダムにおいても聞いたような話ではあります。
実は破堤は、現実の問題としてあちこちで起こっております。もし仮にダムを作らないのなら、東海豪雨クラスの降雨にも間違いなく大丈夫といえる対策を一日も早く講じて欲しいものであります。』
以上、長い引用で申し訳ありませんでした。
さて、今朝の日経新聞の『けいざい解説』で土屋直也編集委員はこう書いている。
『八ツ場ダムはすでに周辺工事がほぼ済んでいる。本体工事で浮くお金は620億円にすぎない。工事中止の場合に1都5県に返済しなければならない約900億円すらひねり出すことはできない。(中略)自然保護などのために八ツ場ダムを造らないと政治判断できなくもないが、洪水リスクにさらされる下流住民を説得するのは至難の業だろう』
民主党政権には、嘘のない正確な検証をお願いしたいものである。

東京?館山間 この10年(第398回)

大きな流れとして、県内の鉄道運行が今日までどういう変遷をしてきたのかを概観してみた。
県立西部図書館で古い時刻表を出してきてもらって確認した結果は以下の通りである。
10年前の2000年8月のダイヤと本年2010年8月のダイヤを比較したところ、内房線の東京?館山間は、この10年間で、特急が4本なくなっていた。
一方、各駅停車の方は2本増えていた。
特急と各駅停車を一緒にして議論するのもどうかとは思ったが、あえて言えば差し引きで2本の減少となる。
1日に2本なので、年間では730本の列車が東京・館山間を走らなくなっており、往復では1460本ということになる。
では、この内房線の沿線自治体の人口は減っているのかといえば、実はそんなことはない。
まず、千葉市を含め、千葉市より東京方面の自治体は、当然のように大きく人口を増やしている。
一方、市原市を含めそれ以南についても35万8000人から41万7000人へと約6万人も人口は増えている。
人口6万人と言えば、県内都市では、東金市、袖ケ浦市、印西市、山武市クラスである。
見方によれば、内房線沿線に袖ケ浦市がもう一つ誕生したほどの人口増なのである。
このように人口が増えているにもかかわらず、列車の本数が減らされれば、住民から見れば著しい利便性の低下であり、県内観光への影響も懸念される。
一つの事例としてJRの内房線での検証となったが、県内鉄道交通網の維持・強化にもしっかりと目を配っていかなければならない。