日別アーカイブ: 2010年9月21日

見落とされがちな接種率問題(第404回)

子宮頚がんワクチン接種の機運が高まってきている。
この機をとらえて一気に接種率を高めねばならない。
この接種率は非常に重要で、先ごろ開催された自民・公明両党の「子宮頚がん予防ワクチンに関するプロジェクトチーム」での今野良教授(自治医科大学附属さいたま医療センター)の講演でも指摘されている。
今野教授の講演によれば「接種率が30%だと子宮頚がんは20%しか減らない。接種率5%だとワクチンを打たなくても同じだ。(9月21日付公明新聞による)とのことである。
いま私の手元に同教授の行ったモデリング調査のグラフがある。
これは接種年齢を12歳とし、HPV(ウイルス)の検出率を71%とし、定期検診率13.6%、不定期検診率40%という条件で死亡率がどれだけ減っていくかをみたものである。
このグラフを見ると、5%接種で3.4%しか効果がなく、以下30%接種で20.7%、60%接種で42.4%、100%接種で73.2%という結果となっている。
つまり、接種率60%では死亡率は半減もしない。
子宮頚がんに限らず、そもそもワクチンは接種率が高くなければそ社会に有効ではないということは直感的にも分かるが、それが数値で裏付けられているのである。
したがって、接種率を高める方策もまた重要だ。
接種費用の自己負担を限りなくゼロに近づけることも必要だろう。大田原市はじめ各地で取り組んでいる集団接種もきわめて大事だ。
そして、それに加えてワクチン接種をすれば、たとえば国民健康保険料が軽減されると言ったインセンティブを付与することはできないものだろうか?