日別アーカイブ: 2012年12月27日

右手のことを知らない左手

これまでの民主党政権の過ちは幾つもありましたが、その一つに国家戦略の無さがあげられます。
国家戦略何とか会議だかが設置されましたが、果たして何をやっていたのかよくわかりませんでした。
しかも、この機関は経済財政諮問会議を廃止して設置したのですから、少なくとも諮問会議の役割を果たさねばなりません。
経済財政諮問会議は、消費税率を3%から5%へ上げた時に社会保険料の値上げと重なってしまい、それが大きな景気後退を招いたという反省に基づいて設置されたはずでした。
橋本内閣時代の、その説明を聞いたときに、『財政当局は社会保険料の引き上げのことを知らなかった』という事実に私はあきれたものです。
まさに「右手のことを左手が知らない」そのものの愚かさです。わかっていれば消費税率の値上げをずらすなりしたはずです。
(もしかすると本当はわかっていたのにこの時期をずらすと消費税を上げられないという判断があったのかもしれませんが)
いずれにせよ、税率のアップと社会保険料のアップの同時期実施が消費に大きく影響したことは間違いなく、国民負担全体をきちんと把握しなければならないという発想で経済財政諮問会議が設置されたというのが私の認識でした。
このたびの総選挙を受けて、自公連立政権が誕生しました。
12月25日の自民・公明連立政権合意文書にはこう書かれています。
『経済財政諮問会議と日本経済再生本部を設置する。この強力な司令塔のもと、物価目標2%を設定し、大胆な金融緩和を断行することによりデフレからの脱却を図る。』
「この認識や良し」と思いますし、もし連立政権でなければこのような強いメッセージ性をもつ文書もなかったはずです。
連立政権にはこうした(付属の)メリットもあったのだなと認識しなおしました。

黒部川のボート転覆事故

お昼に県本部から電話がありました。
東庄町でカヌーが転覆し15人が行方不明だというのです。
ちょうど2月議会の打ち合わせで公明党県議全員が県庁に集まっていましたので、教育庁、警察本部から情報収集する一方、地元東庄の山崎町議、香取の田代市議、小野市議と分担して連絡を取りました。
赤間県議、秋林県議と私の3名が現地へ急行することを決め、阿部県議がプリントアウトしてくれた地図を胸ポケットに入れて赤間さんの運転で飛び出しました。
東関東自動車道路に入ったあたりで、NHKのニュースで全員救助され命の別状なしと流れ、ひとまずは安心しました。
この事故は千葉県競技力向上推進本部が主催する「ちばジュニア強化事業」であり、県内外の9つの高校から生徒39名、教員14名が3泊4日の合宿に参加していました。
この日はシングルスカルのボートで34名が出艇し、うち18艇が強風などで転覆しました。
東庄町の山崎町議は自宅で防災無線を聴き、内容はよくわからなかったものの町役場へ飛んで行ったそうです。
その町役場で、われわれ3人と地元の山崎さん、田代さん、小野さんと落ち合い、まずは現場を見に行きました。
写真が黒部川の小見川ボート場ですが、強い風で白波が立っています。
6人が病院に搬送されましたが、ともかくも命に別条がないとのことでこのブログを書くことができます。
私も学生時代に文部省主催の大学山岳部リーダー研修に参加した経験があります。かなりハードな訓練で非常に勉強になりました。雪上技術に自信が持てるのもこの経験があればこそです。
その一方で、私の参加した研修では重症者が2名でましたし、数年後にはお二人が訓練中に亡くなっています。
積雪期の日本アルプスクラスの山にメンバーを連れていくという重い責任を負うリーダーたちの研修ですから厳しいのは当たり前ですが、技術を磨くことと安全のトレードオフは常に悩ましい問題です。
黒部川の現場に立ちながら、あの吹雪の北アルプス・剣沢でのハードな訓練を思い出していました。